はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

63年ぶりの再会

2008-02-06 13:38:19 | はがき随筆
 冬晴れのある日、朝からそわそわである。彼女は昭和20年種子島から集団疎開で現在の大口市立東小学校の4年生に5ヶ月間、在校しておられた。
 一目で彼女だと分かった。想像していた通りの明るくすてきな人だった。遠く親元を離れ、習慣も違う田舎で各家庭に1人ずつ分かれての生活。心細さに耐えた5カ月だったろうに。楽しかった思い出話ばかりされ、校歌も覚えておられて白寿を迎えた伯母と一緒に歌い、元気をもらったと喜んで帰られた。
 あれから63年。平和な時代に、お互い健康で再会できたことに感謝している。
   大口市 宮園アイ(72) 2008/2/6 毎日新聞鹿児島版掲載