はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

笑って笑って

2008-02-16 19:18:44 | 女の気持ち/男の気持ち
 瀬戸内寂聴師が「笑うと人生が変わります。おかしくなくても笑顔になると脳が笑っていると勘違いをし、元気になったり、病が軽くなることもあります」と、テレビで話しておられたことがあった。
 数年前から悪いことが次々に起き、くよくよ悩む性格の私は落ち込んでいた。ある日、鏡を見て驚いた。72歳で亡くなる直前の母とそっくりの顔になっていた。写真に写る自分の顔が引きつったように見えた。
 寂聴師の話を思い出し、鏡の前で作り笑いをと、「ニタッ」としてみた。ところが長い間笑うことを忘れていたためか、口角が痙攣して口元がゆがみ、笑顔にはほど遠い顔になる。
 四六時中、笑顔を作ることばかり考えるようになった。テレビに映し出されたいろいろな人の顔を見るたびに、その人の口元が気になる。あっ、と思い出して「ニッ」。自分と話す相手の口を見ては「ニッ」。
 3カ月ほどたつころ、口角が痙攣しなくなったのに気づいた。くよくよすることが少なくなり、しだいに性格も大らかになっていったように思う。写真を撮る時には、ニッコリ作り笑顔でポーズをとれるようになった。友人が「笑顔がすてきよ」と言ってくれた。
笑顔は人を変えるという節は間違っていないと思う。さあ、皆さんも「笑って、笑って」。
   山口県美弥市 萬代信子(66)2008/2/16 
毎日新聞鹿児島版「の気持ち」掲載

ありがとう

2008-02-16 18:53:23 | はがき随筆
 年末からの長期入院、やっと解放され我が家へ。生死をかけた大手術で何とか命をもらった。リハビリで薄紙をはがすように身体機能が戻りつつある。
 寝室から見る万両、水仙、クロガネモチ、サザンカ、南天、名も知らぬ色とりどりの花。庭は今、梅の花びらで一面雪景色だ。自然の変化は美しく優しく、心を癒してくれる。
 病院の先生、看護師のかゆい所へ行き届いた面倒見に恐縮。中でも看護師の笑顔、澄んだ瞳は、ともすれば落ち込みがちな心を優しくふんわりとつつむ。
 私は今、身も心も幸せいっぱい。ありがとう。
 薩摩川内市 新開譲(82) 2008/2/16 毎日新聞鹿児島版掲載