はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

慌ただしいお正月でありました…

2009-01-15 16:01:24 | アカショウビンのつぶやき
 年末から連休過ぎまで、てんてこ舞いのアカショウビンでした。
 年末に息子から「僕、結婚します」と、ドラマのワンシーンのような電話があり、待ちに待ったひと言だったのですが…、親ばかでしょうか、喜びと不安で、お正月の準備が手がつかぬという慌てようでした。

 帰省した息子は、フィアンセの実家、S県までご挨拶に行き、あれよあれよという間に、話は決まってしまいました。なるべく早くフィアンセに会いにきてとの息子の頼みで連休に上京、K市に住む娘と共にお互い緊張の瞬間…でありました。息子の言葉通りしっかりした娘さんなので2人で支え合い、足らざるは補い合って温かい家庭を作ってくれることでしょう。
今後の準備はすべて2人でやるから心配しないでとの息子の言葉に安心するやらちょっと寂しいやらの母でありました。形式にとらわれない手作りのお式になるようですが、2人のブランに任せましょう。

「汝、病めるときも、健やかなるときも、これを愛し、敬い、慰め、助け、そして命の日の限り堅く節操を守ることを誓うや」との言葉を厳粛に受けとめ、どのような試練のときも2人で乗り越えてほしいと切に願う母であります。 

菜の花マラソン

2009-01-15 15:28:06 | アカショウビンのつぶやき
 800万本の菜の花が咲き誇る薩摩路を走る「第28回いぶすき菜の花マラソン」が、11日指宿市で開催された。全国から集まった参加者は、フルマラソン14.573人。10㌔コースが2.850人。

 高校生から80代までの市民マラソンランナーたちは、苦しくなると景色を楽しみ記念撮影したり、それぞれがマイペースで美しい新春の薩摩路を堪能したと言う。

 昨年、ラジオ番組で取材させて頂いたUさんは、「来年は家族全員で菜の花マラソンに参加します」とおっしゃっていたが、きっと家族4人、楽しい時を過ごされたことだろう。そしてまた来年も! と。
  2009/1/12 毎日新聞鹿児島版 掲載記事より

ダイダイを器に

2009-01-15 15:21:12 | はがき随筆
 子供のころ、私の故郷はダイダイの木の多い集落だった。お正月のお飾りと食酢にするためだ。そのせいか酢なますや酢の物が大好物になった。
 3児の親になったころ、自分で大根なますを作ってみた。ダイダイを横二つに切り、身を取り出して器にする。枝と葉を残すとふたになる。具は大根とニンジンと昆布に、ダイダイ酢をかけたスローフード。おせち料理に飽きてくるころ、さっぱり味で消化も良い。
 我が家の庭のダイダイも実がなるようになった。息子たちが帰省したら、久しぶりに自慢の大根なますで新年を祝おうか。
   鹿屋市 上村 泉(67) 2009/1/15 毎日新聞鹿児島版掲載

お屠蘇

2009-01-15 15:12:28 | はがき随筆
 まだ明けやらぬ中、鎮守の境内に横なぐりの小雪が舞っている。静かに両手を合わせ旧年の御利益に感謝していると体がふるえてくるのです。昨年は元日早々病魔に見舞われ、家族らとのお屠蘇の酌み交わしもなく即入院、2回の大手術。一時の油断も許さぬ病との闘いの連続でした。至福にして暮れ近く、担当医より全治診断の結果を感涙の中で受けられたのです。元日の朝、粛然と社の前に立っている自分が虚構に思えてなりませんでした。お屠蘇の酌み交わしが始まると孫が「じいちゃんの元気な顔が一番好き」と言って満悦の笑いを誘っていました。
   鹿児島市 春田和美(73) 2009/1/14 毎日新聞鹿児島版掲載

長島路

2009-01-15 15:02:34 | はがき随筆
 天空にそびえ立つ風力発電の塔。ゆったりと回転している。
 美しい海岸線、どこまでも続く青い海。
 バレイショの作付けを待つ赤土の畑。草一本も生えていたい。やがて春を迎えて一斉に花開く野菜(エンドウ、タマネギなど)。
 海の幸もいっぱい(ウニ、水イカ、海草など)。
 過去5年間住んだ地。魚好きの妻は大満足。人情豊かな島、お宝がいっぱいの島。
 新しい年を迎える息吹を感じた。
   薩摩川内市 新開 譲(83) 2009/1/13 毎日新聞鹿児島版掲載

初詣で

2009-01-15 14:56:26 | はがき随筆
 1月1日、家族の年始祝をすませ恒例の南州神社参りに。なぜ南州神社かというと、昭和40年代前半をこの地に住んで、周辺の広場や境内で存分に土や草にまろぶ機会をほとんど毎日得たから。広場は桜島、錦江湾を眺望する風光明媚なところで、ブランコ、鉄棒の遊び、人々との出会いなどがあったので懐かしいこと第一。帰り際、境内の一隅にある大きな石灯ろうに新しい立て札が立っているので、しっかり目を通す。江戸城無血開城で戦火をのがれた市民からの感謝の一灯と知った。ここにも天璋院と西郷の偉業となった苦心苦慮によるまことが…。
   鹿児島市 東郷久子(74) 2009/1/12 毎日新聞鹿児島版掲載

ラッキーな1日

2009-01-15 14:36:39 | はがき随筆
 夫が逝ってから父の墓参りがままならない。M子さんのお里は根占という。途中まで乗せてくださいと頼んでいたら、さっそく冬晴れの1日、声をかけてくださった。しかも父の墓所まで夫婦で付き合ってくださった。お陰で念願の墓参りが出来た。また墓守を頼んでいるいとこ宅にも寄って、お礼も言えた。
 父の里・小野原から荒平へ抜けてM子さんのお里へ。絶好のドライブ日和で車窓から薩摩半島や開聞岳がくっきりと見える。こちらの半島は長く伸び、佐多岬や島々も見える。せっかく来たのだからと錦江町田代の花瀬公園へも回ってくださった。
   霧島市 秋峯いくよ(68) 2009/1/11 毎日新聞鹿児島版掲載

でかしたぞ娘よ

2009-01-15 14:30:19 | はがき随筆
 平成20年3月、満68歳にて小学校教諭免許状を取得した。再試験、再々試験の時もあった。生半可なことでは出来ぬことを知った。
 娘の方も挑戦した。結果は上場である。どの教科も1回でレポート、試験合格である。しかも「優」である。娘の才知、努力を改めて知らされる。
 娘に負けたおやじはぶざまである。今までの歩みは何だったのだろうか。20代には勝てぬ古稀である。老いぼれの悲哀を感じる。娘は娘で親父に勝った自負がある。平成21年新春、おやじの挑戦が始まる。
   出水市 岩田昭治(69) 2009/1/10 毎日新聞鹿児島版掲載

2009年

2009-01-15 14:25:40 | かごんま便り
 「百年に一度の金融・経済危機」「先行きの全く読めない厳しい時代」。県内諸団体の年始会では「篤姫」ブームへの期待感にあふれていた昨年から一転、暗いあいさつが相次いだ。

 そんな中、全国高校サッカー選手権大会での鹿児島城西の快進撃は久々の明るい話題だった。多少粗削りながら怒濤(どとう)の勢いでゴールに迫る圧倒的な攻撃力。点を取られてもそれ以上に取り返すたくましさ。直球で押しまくる剛球派投手さながらの“力技”は、素人目にも実に壮快だった。

 大会得点王の新記録を作ったFW大迫勇也君を筆頭にチームとしても大会最多得点記録を更新。広島皆実の堅守の前に頂点にはあと一歩届かなかったが、記録と記憶、双方に存在感を示した城西イレブンの活躍は、県民にとっても大きなお年玉となった。

 前述の年始会で、今年の話題として取り上げられたものを紹介する。

 まずは島津斉彬公(1809~58)の生誕200年。「篤姫」の翌年というのが少々残念だが、ブームの余韻とあいまって引き続き観光面での恩恵にあずかれれば、むしろ好都合かもしれない。

 次に肥薩線の全線開通100年(当時は鹿児島線の一部)。SLブームのころマニア注目の的だった矢岳越えのD51重連が懐かしい。現在は観光列車「いさぶろう」「しんぺい」号が人気だが、100年記念でSLが復活するのも楽しみだ。

 そして7月22日の皆既日食。最も長く皆既が見られる悪石島(十島村)では混乱も予想され、手放しでおめでたいとはいかないが、鹿児島に世界の目が注がれることは間違いない。

 09年はどんな年になるだろうか。当然、景気のいい話ばかりがそう転がってはいまい。「怠らず行かば千里のはても見ん、牛の歩みのよし遅くとも」という道歌もある。やはり地道に頑張るしかない、か。

鹿児島支局長 平山千里 2009/1/13 毎日新聞掲載