鹿大法文学部の「マスコミ講座」は、県内に取材拠点を置く新聞・通信・放送各社が大学側と協力して授業を展開する全国的にも珍しい試みだ。一線の記者やデスクなどを講師に、取材の実習などを交えながら、報道機関の役割や課題などを学んでもらう狙いである。
先日、担当するクラスで作文の模擬試験をやった。課題は「09年はどんな年になると予想(または期待)しますか」。併せて「漢字1文字の題」をつけてもらった。京都・清水寺で発表される「今年の漢字」をまねた訳ではないが、若者の新鮮な感覚が時代をどう表現するか興味があった。
10編の作文で、出てきた漢字は次の九つ。安・活・協・差・実・変・耐・魅・迷──。
「変」「迷」「差」「耐」などは、深刻な不況など、今の暗い世相を比較的ストレートに表現している。
次はちょっとひねった部類。「活」は、08年に表面化した「活(い)きにくさ」からの脱却を望む内容。
「就活(就職活動)」の不安を取り上げた点はいかにも学生らしい。「実」は、食の問題で露呈した誠実さの欠如、実態なき経済が生んだ不況、実績を残せなかった麻生内閣など、失われた〝実〟の回復への願い。「協」は、失業者を支援する派遣村ボランティアの話題から、人々が助け合う必要性を訴えていた。
明るいイメージの漢字は素直な期待感の現れ。「安」は、北京五輪の感動を引き合いに、野球のWBCやサッカーW杯最終予選での日本チームの活躍が、国民の不安を吹き飛ばしてほしいとの趣旨だ。
「魅」はかなりの変化球か。新世代の環境対策車にみられる優れた省エネ技術が景気回復への足がかりだととらえ、資源の乏しい日本で培った技術力が世界を「魅せる」年になってほしいという希望が述べられていた。
さて、あなたは今年の漢字に何を予想(期待)しますか?
鹿児島支局長 平山千里
2009/1/19毎日新聞掲載
先日、担当するクラスで作文の模擬試験をやった。課題は「09年はどんな年になると予想(または期待)しますか」。併せて「漢字1文字の題」をつけてもらった。京都・清水寺で発表される「今年の漢字」をまねた訳ではないが、若者の新鮮な感覚が時代をどう表現するか興味があった。
10編の作文で、出てきた漢字は次の九つ。安・活・協・差・実・変・耐・魅・迷──。
「変」「迷」「差」「耐」などは、深刻な不況など、今の暗い世相を比較的ストレートに表現している。
次はちょっとひねった部類。「活」は、08年に表面化した「活(い)きにくさ」からの脱却を望む内容。
「就活(就職活動)」の不安を取り上げた点はいかにも学生らしい。「実」は、食の問題で露呈した誠実さの欠如、実態なき経済が生んだ不況、実績を残せなかった麻生内閣など、失われた〝実〟の回復への願い。「協」は、失業者を支援する派遣村ボランティアの話題から、人々が助け合う必要性を訴えていた。
明るいイメージの漢字は素直な期待感の現れ。「安」は、北京五輪の感動を引き合いに、野球のWBCやサッカーW杯最終予選での日本チームの活躍が、国民の不安を吹き飛ばしてほしいとの趣旨だ。
「魅」はかなりの変化球か。新世代の環境対策車にみられる優れた省エネ技術が景気回復への足がかりだととらえ、資源の乏しい日本で培った技術力が世界を「魅せる」年になってほしいという希望が述べられていた。
さて、あなたは今年の漢字に何を予想(期待)しますか?
鹿児島支局長 平山千里
2009/1/19毎日新聞掲載