はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

今年の漢字は?

2009-01-19 19:30:51 | かごんま便り
 鹿大法文学部の「マスコミ講座」は、県内に取材拠点を置く新聞・通信・放送各社が大学側と協力して授業を展開する全国的にも珍しい試みだ。一線の記者やデスクなどを講師に、取材の実習などを交えながら、報道機関の役割や課題などを学んでもらう狙いである。
 先日、担当するクラスで作文の模擬試験をやった。課題は「09年はどんな年になると予想(または期待)しますか」。併せて「漢字1文字の題」をつけてもらった。京都・清水寺で発表される「今年の漢字」をまねた訳ではないが、若者の新鮮な感覚が時代をどう表現するか興味があった。
 10編の作文で、出てきた漢字は次の九つ。安・活・協・差・実・変・耐・魅・迷──。
 「変」「迷」「差」「耐」などは、深刻な不況など、今の暗い世相を比較的ストレートに表現している。
 次はちょっとひねった部類。「活」は、08年に表面化した「活(い)きにくさ」からの脱却を望む内容。
 「就活(就職活動)」の不安を取り上げた点はいかにも学生らしい。「実」は、食の問題で露呈した誠実さの欠如、実態なき経済が生んだ不況、実績を残せなかった麻生内閣など、失われた〝実〟の回復への願い。「協」は、失業者を支援する派遣村ボランティアの話題から、人々が助け合う必要性を訴えていた。
 明るいイメージの漢字は素直な期待感の現れ。「安」は、北京五輪の感動を引き合いに、野球のWBCやサッカーW杯最終予選での日本チームの活躍が、国民の不安を吹き飛ばしてほしいとの趣旨だ。
 「魅」はかなりの変化球か。新世代の環境対策車にみられる優れた省エネ技術が景気回復への足がかりだととらえ、資源の乏しい日本で培った技術力が世界を「魅せる」年になってほしいという希望が述べられていた。
 さて、あなたは今年の漢字に何を予想(期待)しますか?
鹿児島支局長 平山千里
2009/1/19毎日新聞掲載

ボンジュール

2009-01-19 13:58:48 | はがき随筆
 日曜日の夜9時半は、モロッコに住む娘一家と、テレビ電話での交信を楽しんでいる。
 「モニア、美佳、ナディア、ご機嫌いかが」
 「ばあば、おじいちゃんが『ボンジュール』って言っているよ」
 「はいはい、ボンジュール」
 画面いっぱいにアップしたナディアの後ろで、モニアのパパとママが手を振っている。
 「美佳たちと一緒に住めてとてもうれしい。遊びに来てね」
 パパはフランス語の先生だそうだ。
 私も、今年はフランス語の勉強を始めることにしよう。
   阿久根市 別枝由井(67) 2009/1/19 毎日新聞鹿児島版掲載

三が日

2009-01-19 13:52:57 | はがき随筆
 昼からビールを飲みだして、酔いで頭のしんがしびれ睡魔がやってくる。駅伝の中継は佳境に入るが、遠いかなたの出来事のように聞こえる。
 妻に促されてベッドに潜ると吸い込まれるように眠りに落ちてゆく。日は西に傾くが、ぬくもりから抜け出すのはつらい。
 ほえ続ける遼太郎の声に、仕方なく運動に出る。一風呂浴びて、今度は焼酎に切り替える。
 駅伝の中継がいけないんだと勝手な言いがかりをつけての3日間。いくら正月といえども古稀を迎える身としては自戒の念も顔を出す。一年の計は元旦にあり、でした。反省してます。
   志布志市 若宮庸成(69) 2009/1/18 毎日新聞鹿児島版掲載