はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

持ち前

2009-01-21 08:16:20 | はがき随筆
 夕げの支度に取りかかった。精進揚げのピーマンに包丁を当てるとすーっと刃が引けた。その切れ味のよいこと。キャベツの千切りは細かく美しく切れた。私が外出した間に、夫が包丁を研いでくれた。「あなた、ありがとう」と感謝する。
 私がうまく研げないから、いつのころからか、ころ合いを見て研ぐようになった。その度に夫のやさしさを感じた。
 包丁の切れがよいと料理も楽しくなる。包丁差しに出刃、刺し身、大小の菜切り包丁がきれいに磨かれていた。
 料理は一切しない夫だけど、さりげなく手伝ってくれる。
  出水市 年神貞子(72) 2009/1/21 毎日新聞鹿児島版掲載