はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

隣の仙ちゃん

2006-01-10 19:08:31 | はがき随筆
1月10日
 隣の家の仙ちゃんは1歳半の男の子。私と妻を「ジイちゃん、バアちゃん」と呼ぶのがうれしい。
 ジイとバアが仙ちゃんに「いらっしゃい」と腕を広げると、拳と腰をふりながら抱かれにいくのは……バア。
 まだ〝女性〟だよと言いたげな妻に「ボインに負けた」と悔しがる私。仙ちゃんのママがクスクス笑う。
 我が家で様子を見ていたイヌのハナがカン高い声で吠える。
 仲間に入れろというのか、やきもちからか……。
 本当の孫のように可愛い仙ちゃんは、4月にお兄ちゃんになる。
    高尾野町柴引  清田 文雄(66)

ハナゴミ

2006-01-09 19:01:26 | はがき随筆
1月9日
 私が小さいころは川がよく氾濫して、流域の住民たちは一方ならぬ難儀苦労をしていたが、洪水の後には川岸の小灌木や竹やぶに流木や枯れ竹が流れ着いていた。川沿いの人々は、それをハナゴミと称して拾い集めて煮炊きや風呂炊きに利用していた。母たちはハナゴミと言っていた。「大隅肝属郡方言集」(野村伝四著)には、洪水の時、地上や床の上などにたまった塵芥と説明してある。近年、燃料はガスや電気に切り替えられ、ハナゴミなど見向く人もなく、いつまでも放置されている。つつましく、物をを大切に利用していた人々の暮らしを思う。
  肝付町前田 竹之井 敏(80)

国際交流

2006-01-08 18:22:36 | はがき随筆
1月8日
 国際交流の一環として中国、韓国からの留学生や研修員の若い人たちと、霧島の紅葉を見に行った。翌朝はサイクリングで自然ふれあいセンターから坂を下り、近くの硝子工房を見たり、足湯につかったりしてはしゃぎ回った。しかし帰りのセンターまでは上り坂。70過ぎの私は登りきれずに時々、自転車を押すはめになった。もう紅葉の観賞どころではない。どうにか〝完走〟できた。センターでは若い人たちが手を振って待っていて、皆の笑顔の中に自転車で突っ込んだ私は、うれしくて国際交流という言葉さえ忘れてしまった。
   鹿児島市紫原 高野 幸祐(73)

9歳になる三希子

2006-01-07 10:00:28 | はがき随筆
1月7日
 「ねえ、父ちゃん、9歳になるっていいよね」。8歳の一人娘、三希子が、もうすぐ69歳になる夫に歌うように話しかけた。「そうだねえ。9歳か。いいねえ」。2人して顔を見合わせてク、ク、クと笑っている。おしろい花のように小さくて可愛かった娘も、いつの間にかたくましく成長し、ひまわりのような娘となり、今年は9歳。小学4年生だ。わが家のたった一つの宝物の三希子と9年間も一緒に暮らせて、父ちゃんも母ちゃんも幸せ。ありがとう。今年も3人で出来る限りク、ク、クと笑いながら1年を無事に過ごせたらいいなあ、と心から願っている。
   鹿児島市真砂本町 萩原 裕子(53)

ありがとう

2006-01-06 10:52:28 | はがき随筆
1月6日 
 昼下がり、下の町で買い物しての帰りのこと。土地を掘って工事をしているので「家が建つのですか」と聞くと「そうです」との返事。後ろにいた若い人が「先生してたでしょう。国語を習ったよ」と。10年位前の学校が出た。「していました」「○○先生が僕の担任でした」。じっと見つめると見覚えがある。
 そして2,3日後の夕方。中央駅のバス停で遅れたバスを待っていると下車する中の1人が「先生、○○中にいらっしゃいましたね」と。こちらは同僚。名乗ってくださった。声を掛けていただいて、とてもうれしかった。
   鹿児島市唐湊 東郷 久子(71)

冬の野の花

2006-01-05 10:41:04 | はがき随筆
1月5日
 山茶花や水仙や葉ボタが寒い風に吹かれて、冷たい雨に打たれて咲いている。

 晩秋はツワブキの花が小春日和を浴びてぬくもりを伝えていたのに、時の移ろいの中、与えられた命を懸命に生きようと呼びかけているようだ。

 今はリフト車が普及して、それらの野の花をも車窓より車椅子のままで見る事が出来て、心にシャワーを浴びた気持ちになり、優しさがなえし身体を抱いてくれた。
   加治木町木田 志風 忠義(66)

謎の川内川源流

2006-01-04 10:32:40 | はがき随筆
1月4日
 熊本県白髪岳の川内川奥の深い谷川を何回探しただろう。文献「三国名勝図会」と、地図を見ては歩き、歩いては見た。
 とうとう、ある機関が公表した川内川の源流とは違う源流をほぼ突き止めた。ほっ、とした。やはり4年前探して確信した谷の上流だ。今も変わらず、チロ、チロ、トロンー、と水音が響く。
 だが、文献の「水源は、求麻群法ヶ八重より…」という文の「法ヶ八重」は、公表された源流ではなさそうだが、正確な場所は歴史に埋もれたままだ。「三国名勝図会」が発刊されて偶然100年目。川内川源流は、なお謎が残る。
   出水市大野原町 小村 忍(62)

冬の散歩

2006-01-03 11:17:45 | はがき随筆
1月3日 
 万歩計をつけたら不思議なもので、一万以上の数字を目指すようになった。ほとんど毎日、午前6時半ごろ、家を出る。正面に桜島を仰ぎ、向かうは錦江湾である。与次郎の外堤防を歩く人は多く、知らない者同士なのに、「おはようございます」の挨拶が飛び交うのは、今の世相では考え難い出来事に思えてならない。冷たい潮の香を胸いっぱい吸い込むと爽やかで見も心もリフレッシュする。故郷の甑島を思い出す。「甑の寒鰤はうまかったなあ。おふくろはどうしているだろうか」「桜島そっと噴火を止めて冬」。又もう一つ年齢を重ねる冬が来た。
   鹿児島市鴨池 川端清一郎(58)

名刺づくり

2006-01-01 11:00:00 | はがき随筆
1月1日
 年始めに名刺づくりに着手。「ホームヘルパー二級終了、ガイドヘルパー終了、はがき随筆会員」を入れて、100枚ほど作る予定である。名刺づくりに一つの夢をもつ。福祉関係のボランティアに率先して携わる。今以上の自分を作りだし、遠慮せずに行動しようとの思いが強い。
 「はがき随筆」会員を公言する以上は、随筆づくりに専念しよう。今までに1200編ほどの創作である。良き作品づくりにと思うがなかなか。5年も10年もの歳月を要するだろう。飽きることもなく、今日もせっせとつくる。老身の楽しみでもある。一つの生きがいでもある。
   高尾野町唐笠木 岩田昭治(66)

はじめまして

2006-01-01 10:59:47 | アカショウビンのつぶやき
 毎日新聞西部本社の各地域面に毎朝掲載される「はがき随筆」は、僅か250字のミニエッセイです。鹿児島県版の投稿者は小学生から80歳代後半の熟年世代まで幅広く切磋琢磨しながら250字の世界に思いのたけを込めて書いています。もっともっと多くの方々にお読み頂ければと願いブログを開きました。
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