マッシュムラムラ(仮) ――クラ鈴が斬る!――

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氷室京介、あぶない刑事、マンガ etc

新選組哀歌(エレジー) るろ剣北海道編・巻之七

2022-05-04 22:37:45 | マンガ


斎藤がここまで言われっぱなしなの、初めて見た。

この直後も、「一度、この目で直に、新選組の負ける姿を見たいと思っている」「それが最強と謳われたガムシン(永倉)と一(はじめ)君の敗北なら、最高じゃないか」なんて言葉をかけられたりね。
ほかにも、斎藤単独では、「大した自信だが、せいぜい気をつけろよ。おまえの敵は今回の暗殺犯だけじゃない」「おまえは新選組から今日まで、多くの血刀を振るい、多人の命を殺めた男」






「おまえを憎む者、恨む者は、其処此処にいるからな」



といった言葉も。
剣客兵器追討の任務のために、札幌に赴いた斎藤、永倉、三島栄次。剣客兵器を誘き寄せるために、現地の役人を囮にしたいと申し出たところを伊知川という責任者に拒否されます。
それでも断念しない斎藤らに、自ら囮になることを申し出た役人が。
阿部十郎――ただし、この男は元御陵衛士の残党で、新選組局長・近藤勇を狙撃した者と近い存在でした。
阿部としては、斎藤、永倉、そして原田左之助は、自身が御陵衛士時代に慕っていた服部武雄を目前で殺した相手。さらに、斎藤は御陵衛士の一員と成りすまして潜入し、自分たちを裏切る形で、多くの仲間たちを葬った相手。
一方の永倉、斎藤としては、御陵衛士残党は近藤の仇。
阿部と、永倉、斎藤が対立するのは当然ではあるのですが・・・この際、斎藤は前述のとおり、言われっぱなしでしたね。
斎藤といえば、前作――「無印」のるろ剣においては、高圧的で、辛辣な言葉を吐く男であり、それは北海道編でも健在ではあるんですが・・・阿部に対しては、いまのトコは黙って、相手の話を聞いている感じです。まあ、そこは斎藤なんで、七つ年上の阿部に対しても呼び捨て、タメ口ですが(笑)。
ともかく、この北海道編の斎藤は、阿部との件を見るまでもなく、なんつーか、





「人間らしさ」や「哀愁」みたいなものが、見受けられるようになってますよね。



斎藤といえば、「高圧的で、冷めた男」「ただし、意外と多弁で、常に辛辣な言葉を」といったイメージではあったんですが、この北海道編では今回のように図星をつかれたり、言われたい放題だったり、あるいは戦闘面においても、苦戦を見せたり・・・。
凍座白也(いてくらびゃくや)戦といい、今回の追憶による服部武雄戦といい・・・。
あ、凍座戦のことは、こちら(斎藤一は、まさに狼! るろ剣北海道編第六幕)も。
ともかく、斎藤だけでなく、剣心も明らかに「衰え」が表現されているので、「今現在の戦い」である白也戦はしょうがないと思うんですよ。剣心も彼には苦戦しているし。
ただ、抜刀斎と互角だったはずの「幕末・斎藤」でさえ、服部戦は苦戦してますからね。
っていうか、これは服部が強すぎるんですかね?



斎藤、永倉、原田の、新選組幹部三人をもって、ようやく倒せた男ですからね。

まあ、それでもね、なんつーか、北海道編における斎藤や、あるいは剣心もそうだけど、





「最強なんだけど、最強になりきれない」「かつては化け物だったのが、『人間レベルの天才』に」



といった面がね、個人的には魅力に思えますね。
ガンダムだって、化け物クラスであるアムロやララァより、「彼もたしかに天才なのに」ってキャラであるシャアのほうが、面白味はあるでしょ? いや、アムロもララァも好きだけどさ(笑)。
ともかく、今回、相対する剣客兵器・雹辺(ひょうへ)に対しても、斎藤は苦戦を強いられています。しかも、永倉とのコンビで戦っているにもかかわらず。
ただ、そうはいっても、そこは斎藤です。
おそらくは今回、初めて披露したであろう、





牙突四式(ししき)



をもって、雹辺に一刺突(ひとつき)、ダメージを負わせます。
この四式、永倉に「牙突の――シュッとするやつ」などと言われてましたが(笑)、ノーモーションから、最短、最速、そして正確無比に、相手の体を捕える牙突で、その代わり、斎藤自らが語っているように、「牙突の中で、最も威力が低い」といった性質です。
ノーモーションといえば、「斎藤にとっての奥の手」とされる零式も一見、そのように見えるかもしれませんが、あれは上半身のバネをフルに使ってますからね。それに比べれば、この四式は明らかに無拍子でした。
ただし、最も威力のない牙突であっても、そこはやはり「斎藤の牙突」。官憲支給の刀では、その一撃に耐えられず、白也戦同様、斎藤の刀は砕け散ります。
それでも雹辺と対峙し、退くことを知らない斎藤と永倉。
そのとき、拳銃を手にした阿部が、雹辺に奇襲をかけ、彼から苦悶の声を引き出します。
阿部としては、斎藤、永倉が苦戦する相手を自分が倒すことで、「新選組が敗れ、御陵衛士が勝利する」といった形を実現しようとしているようで、それはたしかに成就したかのように見えるんですが・・・まあ、もう一波乱、あるでしょうね。
っつーか、「最後は斎藤、永倉、阿部の三人がかりで」といったことになるんですかね? あるいは、雹辺が「また会おう!」とばかりに?
いずれにせよ、どう決着をつけるのか、楽しみです。
コメント
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