この作品は
1692年3月
ボストン近郊セイラム
数人の少女たちが
突然暴れ出すなど
悪魔憑きの症状を
呈しはじめたのをきっかけに
短期間のうちに
200人近い村人が
魔女(女とはかぎらない)として告発され
逮捕拘禁のあげく
19人が絞首刑
1人は拷問中に
5人が獄中で
命を落とすという
凄惨な結果を招いた
集団ヒステリー事件
通称「魔女裁判」事件を
題材にした作品です
Bunkamuraシアターコクーン「るつぼ」スポット動画
春まだ浅い深夜の森
アビゲイル・ウィリアムズ(黒木華)と
数人の少女達が
ウィリアムズ家に仕えている
ブードゥー教の呪いなどに詳しい
ティチュバと共に
踊っている(うち数名は全裸)のを
パリス牧師(大鷹明良)に発見される
パリス牧師にとがめられ
踊りは中断するも
少女のひとり
パリス牧師の娘ベテイと
地主である
トーマス・パトナムの娘が
意識不明となってしまう
医師にも
意識不明の原因が
分らず
パリス牧師をはじめ
村人たちは混乱し
そんなところへ
トーマスの妻アン(秋本奈緒美)が
「悪魔のせいだ」と言いだし
遂には
悪魔払いの
ヘイル牧師(溝端淳平)が
招集される事態となってしまう
深夜に儀式を
自身と関係をもち
今だ
思いをよせる農夫ジョン・プロクター(堤真一)を
妻であるエリザベスから引き離し
自分が代わって
妻になろうとするアビゲイル
亡き母に会いたい一心で
ブードゥー教の
死者と会話できる儀式をしたと
父パリスに言えず
心身を病むベテイ
そして
深く考えることもなく
好奇心で儀式に参加した
少女達も
真実を語る事はなく
噂が独り歩きをはじめる
元々
村に生じていた
パトナム家とレベッカ・ナース(立石涼子)
及び
ジャイルズ・コーリー(青山達三)との抗争
等が拍車をかけ
アビゲイルは
真実を語るどころか
自分に
都合の悪い人間を
悪魔の手先
魔女と言い始め
一連の行動や言動に
口裏を合わせる少女達
数々の虚言が
遂には
彼女達を聖女として崇めていく
セイラムでは
無実の人々が次々と逮捕
処刑されていく
アビゲイルとの不義のため
妻エリザベス(松雪泰子)と気まずい関係にあるジョンは
パリス牧師が気に入らず
教会に行かないことをヘイルに指摘され
魔女の嫌疑をかけられてしまう
そこへ
ジャイルズが妻が拘引されたと駆け込む
ジョンは
魔女告発の一人である下女メアリーの言動から
パトナムやアビゲイルの陰謀に気づくが
時すでに遅し
アビゲイルの魔の手は
エリザベスにまでおよんでしまう
ジョン
ジャイルズらは
ヘイル牧師の協力で
ダンフォース判事(小野武彦)に
魔女騒ぎはパトナムのでっちあげと訴え
ジョンも
自ら犯したアビゲイルとの過ちを告白し
妻の赦免を願いでるも
アビゲイルの虚言と
アビゲイルに起因する
少女達の
集団ヒステリーによって
逆に入牢されてしまう
季節は
秋から冬になろうとしている
この間にも
聖女と化した
少女達によって
魔女とされた
多くの村人が入牢する事となり
家畜が村をさまよい
収穫もできないまま
田畑は荒れ
セイレムの村は
混沌とした状況となる
この段階でようやく
村人達は
この現実に疑問を持ち始めるのだが
身の危険を感じた
アビゲイルは
パリス牧師の家から
お金を盗みだし行方をくらましてしまう
パリス牧師は
アビゲイルに
騙されていたと気付くも
己の過ちを
悔い改めるどころか
自分の保身の為
ダンフォース判事は
裁判の正当性と保身の為
夜明けと共に執行される
処刑を中止させるとジョンに持ちかけ
虚偽の告白をさせさせようと試みる
一方
アビゲイルの企みに
いち早く気付いたいたヘイル牧師も
ジョンをはじめ入牢にている
無実の村人達に
神を信じて命を失うよりも
偽りの告白であったとしても
生きることこそがすべてであり
神の御心に背くことなのだ
と説いて回るのだが…
エリザベスから
最後まで否認を貫いた
ジャイルズとその妻マーサの
死の真相を聞かされ
虚偽の告白することが
ジャイルズや同じ死刑の判決を受けた
レベッカ・ナースら仲間を
裏切ることになると悩むが
一方で
エリザベスや
残される3人の息子達への愛を
断ち切ることができず
刻一刻と
処刑の時間が近づいていく
後日談知りたいです
物語的には
パリス牧師
ダンフォース判事をはじめとする
一派はひとり残らず
殺されるか
裁判で罰せられるんだろうね~
少女達も
セイラムにいられなくなって
家族共々出ていくか
離散かなぁ~
と言うか
セイラムの村自体が
廃墟と化すとか?
今でこそ叔父である
パリス牧師の下で生活しているけれど
アビゲイルって
相当辛いと言うか
凄惨な幼少期を過ごしたんじゃ~
ないんだろうかと思いました
ベティにしても
母恋しさ度が普通じゃない!
パリス牧師との関係も
上手くいってなかった気がする
そういう
設定で演じていたのかな
少なくとも
アビゲイルを演じていた
黒木華さんからは
そんな雰囲気を感じました
すご~く
小賢しいイヤな小娘です
それを演じた
黒木華…
アントン・チェーホフの
『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』なんか
ぴったんこの舞台女優さんです
正統派の舞台女優?
真っ正直に神を信じ
限りなく正しく生きようとする
エリザベスの生き方は
夫や息子に対して
正直とか誠実なんじゃなくて
あくまでも
対神様 対教え
何をおいても‘神’ありき
なんですね~
典型的な
一神教の考え方
気高いと言えば気高いけれど
清廉潔白過ぎて
柔軟さに欠けており
結婚なんかしないで
修道女になればよかったんじゃない?
と若干腹立たしくなるキャラでした
一本筋の通った妻を演じた
松雪泰子さんは流石です
旦那のジョン
人間的と言うか
‘迷える羊’感満載でした
アビゲイルに
ちょっかい出したばっかりに…
髪の毛短くしたせいか
堤さん
実年齢より
若く感じたのは
σ(^_^;)だけ?
教徒として殉ずるか
はたまた
夫として父親として生きるか
多くの雑念と誘惑が飛び交う中
最後に選んだ道が
正しかったのかどうかは
分かりません
分かりませんが
報われて欲しいと思いました
堤さん!
今回もえがったっす
溝端淳平さん
素人のあたいが言うのも
何ですけど
上手くなったよね~
何か所かかんだけど(笑)
亡き蜷川幸雄さんも
喜んでくれてると思うよ
この話は
明らかに
集団ヒステリー
集団パニック
今の時代じゃ~
絶体有り得ない
とは言いきれないから怖い
見えない‘悪魔’の存在
その手先‘魔女’として
告発されることへの不安と恐怖
入牢されたものへの嗜虐的な愉悦
それぞれの内に秘めた「思惑」「邪心」「欲望」
それらを払しょくする神に対する畏敬の念
人って
些細な事で
疑心暗鬼に陥る生きものなんですね~
るつぼとは
物質を溶かしたり高温処理するときに使う耐熱性の容器
色々なものが混ざり合っていること
興奮や熱狂した雰囲気がその場を支配したさま
見応えのある
舞台ではありましたが
理路整然とした台詞まわし
抑え気味の会話からは
タイトルもつ意味あい
興奮や熱狂した雰囲気は感じませんでした
どちらかと言えば
混沌とか信仰の矛盾とか
そんなモノを感じました
画像は
演劇・ミュージカルのポータルサイト シアターガイドより引用しています