時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

あやかし屋台なごみ亭1~金曜の夜は不思議な宴~46

2016-12-15 | 読書
那珂川通りには
不思議な屋台がある

木戸浩平が
それを耳にしたのは
成人式で
顔を合わせた同級生達の
噂話からだった

その翌日の朝

あ~~あったま痛え~
おはようさん
ああ、うん・・・おはよう~
おはよう?
朝の挨拶は
‘おはよう’だろう?

二日酔いで目覚めた
ぼくの部屋の
ぼくが寝ている
ぼくのベッドの
ぼくの隣りに
見知らぬ男がいた

だ、だれね!? 
コン
オレを主のところに帰してくれないかい?
・・・その主って
どこにおるんですか?
中州


帰り道が
わからないと言うコンに
戸惑いながらも
コンを中州に連れていった
清流公園からほんの六歩
そこで僕は
椎葉なごみと出会った
椎葉なごみ
毎週金曜の夜だけ営業する
屋台‘なごみ亭’の主人だ

それからと言うもの
何の因果か
なごみ亭の‘客引き’こと
注連縄稲荷神社の
神使の見習いの見習い
狐のコンと共に
なごみ亭で
働くことになる

那珂川通りには
不思議な屋台がある

その屋台にはメニューがない
誰もが行けるわけではない
いつもあるわけではない
店主の女性はモデル並みの美人


毎週金曜日の夜
訳ありの客と
妖が集まる
ちょいと不思議な
お店だった



食べ物にまつわる
楽しい思い出と言うか
辛い思い出と言うか
懐かしい思い出と言うか
トラウマと言うか
そんなモノを
内に宿したお客さんだけが
踏み入れることのできるのが
ここ‘なごみ亭’
本人がふらっと
来る人もいれば
人に寄り添い
ペットとして生きてきた
もののけに導かれて
来る者もいる
そのどれもが
まぁ~
切ないんですよ

『はじまりの一夜』
『二夜・あの子のシチュー』
『三夜・金曜日の醤油風味』
『四夜・お節介な餃子奉行』
『五夜・玉子焼きとやさしい番人』
『番外夜・ある日、彼女の憂鬱』

どれも
切なくてですね
心がほっこりする
お話なんですけど
涙腺弱い方は
家読みをお薦めします

特に
『二夜・あの子のシチュー』
車内で読んでたんですけど
やめてよ

切な過ぎて
鼻はズルズル
泣ぽろぽろ
その他もろもろ
こらえるの
必死でした

なごみの作る料理は
唯一無二
その人だけの
特別なメニューです
実は
小生にも
特別なメニューあります!
二度と
口にする事の出来ない
メニューが!!
だからかなぁ~
なごみ亭に来店した
お客さんに
人一倍
感情移入してしまいました

あぁ~
こうして
キーボード打ってるだけど
思い出して
泣きそうだよ…