たまごのなかみ

千葉県北西部在住。映画・観劇、近隣のこと。毎日 元気に機嫌良く♪

もうひとつ泣けなかったわけ

2006年03月01日 16時02分54秒 | 観る
もう 月が変わってしまいましたが、先週の金曜日『オリバー・ツイスト』を観てきました。

『オリバー・ツイスト』(劇場にて)

制作国:イギリス(2005)
監督:ロマン・ポランスキー
音楽:レイチェル・ポートマン
出演:バーニー・クラーク(オリバー)、
   サー・ベン・キングスレー(フェイギン)、
   ハリー・イーデン(ドジャー)、
   ジェイミー・フォアマン(ビル)、
   エドワード・ハードウィック(ブラウンロー)、
   リアン・ロウ(ナンシー) 他

救貧院でも 奴隷さながらに働く事になった葬儀屋でも居場所を失い、孤児オリバー・ツイストは ひとりロンドンに向かって歩き始める。やっとの思いで辿り着いたロンドン...そこでオリバーが身を寄せたのは、フェイギン老人率いるスリ団。貧しさという不幸の底にいるオリバーに希望の光を与えたのが、彼の純粋無垢な性質を信じてくれたブラウンロー氏。

という、物語としては 極単純なシンデレラストーリー。オリバーは、確かに スリに手を染めてはいなかったけれど、だからといって なにか特別な事をしたわけではなく たまたま白羽の矢が立ったという感がなきにしもあらず。孤児版の『マイ・フェア・レディ』の様相です。『マイ・フェア・レディ』も、物語自体は ちょっぴり男尊女卑的だったり 時代背景ゆえの‘お金があった方が幸せ’的構図が見え隠れ(見え見え?)だったりするわけで、決して奥深い話ではありません。当然ながら『マイ・フェア・レディ』の見どころは、ミュージカルシーンにあるといえます。

『オリバー・ツイスト』の場合も それとよく似た事が言えるのではないでしょうか。時代の風景を切り取った中に 一筋の希望の光が差し込んだ様なお伽噺...。‘どん底of貧困’から来る豊かさへの憧れは、それ以上でもそれ以下でもありません。この場合、映画化で大切になってくるのは 物語性よりも どんな映像に仕上げていくかということ。そういった意味では、実にきめ細かく丁寧に作られた作品だと言えます。

さてさて、感動のラストシーン...監獄に囚われの身となったフェイギンに面会に行くオリバー...確かに 涙を誘う場面なのですが、オリバー以外の子ども達は どう考えたって 生活が豊かにも幸せにもなっていないに違いないわけで...どうも それがチラチラ気になってしまって 心おきなく涙を流すには至らなかったわけです。
スリを繰り返すしか生きる術の無かった子ども達の行く末がねぇ...。

あまりにも有名な‘オリバー!のテーマ’に彩られたミュージカル映画『オリバー!』('68年 英作品、監督:キャロル・リード、主演:マーク・レスター)と、比較して観てみると面白いかも知れません。生へのエネルギーを感じるカラッとしたラストも いいかも...。お奨めです。


本日 観て参りました『ミュンヘン』については、また後日。いやぁ...ひとりで行ってよかった。友達と連れだって行く向きじゃないや...。‘ヘビー’過ぎて...書けるかな...。
コメント (5)
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