KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

あっぱれ絶景かな洞雲山・碁石山・大嶽

2024年12月13日 | 香川の里山

 

前回寒霞渓馬の背を登って、その西にある四方指から眺めたデコボコした洞雲山から大嶽の稜線。

馬の背の溶岩が固まった特異な地質の尾根を登った後、その四方指からの景色を眺めながら、『そう言えば以前

に登ったあの洞雲山から碁石山も同じようなガチガチ固まった稜線だった』のを思い出し、隣に居たあっちゃん

に『あの稜線も岩場になっていて楽しいですよ』と話をした。

その事を思い出して今回はまた小豆島に出かけてみることにした。計画としては坂手から洞雲山に登って碁石山

へ縦走、そこから大嶽へとアプローチするのだが、YAMAPの活動日記で事前に調べてみると、どうやら碁石

から大嶽への山頂直下のロープ場が難所らしい事が分かった。でもまあロープがかかっているという事はそれ

なりに歩いている人がいるのだろうと考えて、そのままロープ場を下って大嶽へ登った後、麓の苗羽(のうま)

に下る周回コースとした。

 

小豆島の山を登るときに一番考えるのはフェリーとバスの時間。取りあえず早めには出かけたいのだけれど、若

干一名が朝の早いのを難色を示す。それならと7時20分発の土庄行のフェリーに乗って、8時30分発の田ノ

浦行のバスに乗り継いで坂手港に向かうことにした。この時間だと今度は帰りの時間が気になるのだが、距離も

標高差もさほどではないので何とかなるだろう。

 

田ノ浦行のバスは坂手東で折り返して田ノ浦(映画村)へと向かう。その坂手東でバスを降りて、まずは『夏至

観音』で有名な、島霊場88ケ所の1番札所の洞雲山へと集落の中の道を登って行く。

坂の途中で振り返ると坂手港と田ノ浦の半島の横に五剣山が見えた。そこからしばらく歩いて行くと、2013

年の瀬戸芸で出品されたビートたけしとヤノベケンジの彫刻作品のある美井戸神社があった。

 

 

 

坂道の正面に見える岩壁に『あの上登るんかな~』とあっちゃんのテンションが上がってきた。洞雲山へのコン

クリート道はこの季節、行き交う人がいないのかたっぷりと落ち葉が積もっていた。コンクリート道からへんろ

道に入ると、さらに道は荒れていた。

 

 

 

オリーブの木が植えられた牧場の跡地を横目に見ながら更に登って行くと、第3番札所観音寺の奥の院・隼山

に着いた。大師堂の前の広場からは播磨灘を一望に、鳴門・淡路島が見える讃岐十景の展望地。銀色に輝く海

に空に浮かんだ雲が影を落とし、穏やかな風景はこちらの気持ちまで和ませてくれる。

 

 

 

その大師堂から洞雲山へと向かう途中に展望台があった。坂手の町を見下ろす展望台からは対岸の東讃の里山の

奥に、阿讃の峰々が続いているのが見える。

 

 

 

その展望台の先の参道からは、坂手の集落から見えた岩壁がそそり立っているのが目に飛び込んできた。

老杉の並ぶ境内に入ると、その岩壁の下に大きな洞窟。洞窟の中に本堂八角堂が薄明りに照らされていた。

 

 

 

洞雲山を後に一旦参道を引き返すと途中に、『洞雲山碁石山登山口』の小さな案内板が木の幹に掛けられている。

そこから乾いた土に足を滑らせながら岩壁の南側へと登って行く。

 

 

 

岩尾根特有のウバメガシの密集する急登を登って行くと岩壁の南端に出る。そこには先ほどの展望台より見た景

色より高度が上がって、さらに奥の内海湾の景色が広がっていた。

 

 

右手に視線を移すと草壁の町や寒霞渓、そしてこの稜線を眺めた四方指。坂手の町の奥には入り組んだ形の田

ノ浦の半島と、さらに先には釈迦ケ鼻のある半島が見える。

 

 

そこから先は岩尾根。馬の背同様露岩自体はしっかりしているが、高度感はかなりある。

碁石山のこんもりしたピークの先に、最終目的地の大嶽の垂直の岩壁も見え始め気分は上々!

五剣山屋島冠ケ嶽の岩壁とは比べようもない高さの岩壁の大嶽。そんな岩壁を眺めていて、あの上に立つこ

とはできないが、足元はどこも同じで土溜まりになっているはずだろうから、いつか真下から見上げてみたい。

あわよくば岩壁の弱点(岩登りではなく、木の生えている場所を辿りながら)を見つけて登れないかななんて、

不相応な大胆な考えをする。

 

 

 

そんな岩壁の下のゆるやかな裾を引く山肌は今が紅葉真っ盛りで、白い岩肌とのコントラストが対照的だ。

その岩尾根の高度感に腰の引けているルリちゃん。とはいえ足元のデコボコした露岩に足でも引掛けようものな

ら、奈落の底へ転落だ。『あわてずゆっくりでいいからね!』と声をかける。

洞雲山の石祠の前で記念撮影。『あっちゃん、それ以上後ろに下がらないでね!』

 

 

 

 

その石祠から先をひと登りすると洞雲山山頂の山名札が置かれていた。ネットを見てみると先ほどの石祠のある

場所を洞雲山山頂として写真を撮っている人が結構いるが、355mの標高はこちらの方が高いので、しかも地

元の山の会がわざわざ山頂と書いて置いているので間違いはないだろう。ちなみにYAMAPのランドマークと

もズレてはいる。ただこの山頂からの景色はこちらも申し分がない。

 

 

 

 

洞雲山山頂から碁石山へはウバメガシの林の中の尾根になる。碁石山寺への分岐を過ぎてさらに進んで行くと、

2回ほどアップダウンをして最後にひと登りしたら碁石山山頂。

 

 

 

 

 

山頂は木々に囲まれているが、その木々の頭越には千羽ケ岳と拇岳、そして島の最高峰の星ケ城が見える。

ここから大嶽まではまだ少し時間がかかるので、ここでお昼ご飯にすることに。ザックから取り出した先週と同

じ、巻きずしと稲荷寿司の弁当の蓋を開けたらその拍子に全部地面に落としてしまった。

おむすびコロリン・コロコロリンならぬ、巻きずしがコロコロ転がって行ってしまった。ガックリ肩を落として

いる私を見かねて奥様たちがおむずびとドーナツを恵んでくれた。ありがたや~ありがたや。

 

 

 

お昼ご飯を食べ終えたら、さぁここから今日のメインイベント、最難関のロープ場の下りになる。

山頂から少し北に降りると細いロープが谷あいに伸びていた。足元を確認しながら特攻隊長あっちゃんがまずは

降りて行く。ロープの最後の場所に降りると『ここは足掛かりがあるから大丈夫』と声がする。写真では伝わら

ないが結構な斜度の上にロープが細い。途中で輪っかを作ってくれているので助かる。

さらに下からは『2本目のロープは足掛かりがないので滑りやすくて難しいわよ』と声がした。

 

 

 

 

 

 

 

ロープ場が終わっても急坂は続いていく。ただ木の幹に掴まりながら降りられるので問題はない。

一旦降りて巨大な岩塊の左下を巻くように進んで行くと次に岩壁が現れる。

 

 

その岩壁には黒いロープがかかっているのでひょいとひと登りした後、もう一本ロープをやり過ごすと岩尾根の

上に出た。

 

 

 

背の低い木々の間を抜けるとまた絶景が広がっていた。麓の苗羽地区に黒い建物群が見えるのはマルキン醤油の

工場だろうか?そしてもう目の前に大嶽の岸壁が迫ってきた。

 

 

 

ここから一旦下って行くとその苗羽地区への分岐になる。大嶽に登った後はここまで戻って下って行く予定だ。

 

 

 

分岐から少し進んで露岩の上を登って行くと大嶽山頂だ。山頂にはネズミサシの枝に小さな山名標がかかってい

て、足元には「洞雲山行者講」の陶板が石に埋め込まれていた。

 

 

北と南に分かれた岩壁の間に深い神秘の谷が広がっていた。ロストワールドのここが大嶽の岩壁の弱点となるの

か、なんとなく下から登れそうな気がしないでもないが、好奇心だけでは今日は時間がない。

そして北を見ると数年前にセニョさんと二人で登った拇岳が『いいね!』と指を立てている。あっちゃんを誘っ

たら絶対に『行きたい!』と言うだろうから、今日は黙っておこう。

 

 

 

東を見ると淡路島と対岸の須磨が見えた。そしてふと見ると西側の南の岩壁にはロープがかかっていた。誰か

があそこまで行ってロープまで付けている。またひとつ興味が増えた大嶽だった。

 

 

 

分岐まで戻って西に苗羽へとウバメガシの木の枝に掴まりながら下って行く。足元はその小さな落ち葉が積もっ

て滑りやすい。道は踏み跡もしっかりあり、テープや青いペンキの目印も木の幹や岩に付けられているので迷う

ことはない。

 

 

 

 

途中には木材搬出用のヤグラと滑車が残っていたが、この周りに植林した様子はなく何の木材を伐採運んでいた

のだろうか?また太い鉄管も転がっていて、この辺りで搬出以外の何かの作業されていた形跡が残っている。

 

沢筋になってくると大小の石が転がっていて歩きづらい。右に左にそんな石を避けながらしばらく下って行くと

やっと車道に出た。樹林帯を抜け集落が近づいてくると色づいた木々越しに大嶽の岩壁がはっきりと見えた。

南北の両岩壁の間には確かに神秘の谷が見えている。

 

 

 

 

小豆島で人気の島宿真里の横を通り、醤の里の工場まで来ると醤油の独特な匂いがした。県道まで出ると奥様た

ちは、さっそくマルキン醤油記念館へしょうゆソフトクリームを求めて飛び込んだ。

時間的には計画していたバスより1便早いバスに乗れ、乗り継いだフェリーも1時間早く乗り込むことができた。

マルキン醤油の工場の屋根の奥に見えた大嶽は、その存在感は小豆島だけに限らず、香川の里山の中でも抜きん

でていた。

 

 

 

あの大嶽の岩壁をもっと近くで見てみたいと思うのは私だけだろうか?できればもう一度この山だけを訪れて、

探索できればと。またひとつ出かけたい山ができてわくわく感が止まらない。

 

 

 

 

 


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