里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

プール育苗'24~種播き

2024年04月10日 | 水稲プール育苗

プール育苗の種播きをしました。
プール育苗を始めた当初は毎年多少の変更をしましたが、もう10数年基本的なことは変わりありません。
前日までに苗箱はプールに並べてあります。
種播き当日は早朝に準備を始めます。それは種籾の準備に多少の時間が必要だからです。
芽出しをしていた種籾をタンクから引き上げ水を切り、ゴザに広げて水気を取ります。


このために若干の時間を要します。但し、乾かす必要はなく播きやすい程度に水分が取れれば良しです。
種籾は前日夕方には大方芽が出ているのを確認しています。
一晩経って、目安通り完全な100%芽出しの状態になっています。


無加温育苗では発芽が一番の問題ですが、完全に芽出しがされていればまず発芽不良になることはありません。
普通は鳩胸程度が基本とされています。器械播きなら多少心配になるところですが、手播きなので支障はありません。
播種量は1箱当たり乾籾で120~130g。催芽籾で約230CC。
ただこれでは分りにくいので、我が家では1升マスで測り、それで7箱半を目安にしています。


種播き前に苗箱に軽く散水。これは灌水ではなく土の表面を僅か湿らせ播き具合を見やすくするためのものです。


種播きは手作業で行います。
並べてから播く方は少ないと思いますが、我が家ではプール育苗をする以前、30年以上前からこのやり方です。
記憶も曖昧になるくらい昔の話しながら手動の器械を使っていたことがあります。
器械を使うには3人は必要になります。しかし、手播きなら一人でもできます。
1枚ごとに仕上げるのではなく、目安の枚数を少し薄めに播き、その後補正するようにして仕上げます。
この程度で目安の播種量です。


手播きなので当然箱からはみ出る籾が出ますが、あまり気にしなくて大丈夫。問題になったこともありません。
これで半分。ほどなく助っ人が応援に来てくれました。


順調に播き方は終了。


次は灌水です。
これが最も気を遣います。発芽するまではプールに水を張ってはいけません。
発芽が揃いシートを剥ぐまで土が乾かないように、そしてプールに水が溜まらないようにします。


経験上、目安にしているのは育苗箱の土の表面に水がわずかに浮き出る程度。


一度掛けで済まそうとすると灌水ムラが出やすいので何度か往復し土に水を馴染ませながら行います。


次に覆土。
種もみが隠れる程度が目安です。


これも一度で済まそうとするとムラになりやすいので一通りかけ終わったら補正します。
時間が経つと水分が上がって覆土の薄いところは種籾が見えるようになってきます。
次にシートを掛けます。
まず不織布(ラブシート)。


そして、その上にシルバーポリトウ(80#)。


シルバーポリトウはしっかり密着するようにします。周囲を直管パイプで抑えます。


当初はシルバーポリトウ1枚だけでした。そのため一部に葉焼けの出ることがありました。
不織布(ラブシート)との二重掛けをすると葉焼けはかなり抑えられます。
これで一連の種播き作業は終了です。
このままの状態をほぼ1週間保ちます。
このやり方には我が家独自の部分がかなりあるのではないでしょうか。それぞれの条件に応じたプール育苗の方式があると思います。


プール育苗'24~種播き前日の苗箱並べと催芽

2024年04月09日 | 水稲プール育苗

水稲の種播き前日の作業です。
プールに苗箱を並べ、同時に種籾の催芽(芽出し)を行います。
ハウスの屋根には遮光シートを掛け、換気をせずに気温を下げるようにしています。


普通、苗箱を並べるのは種播きから覆土まで種播きの一連の作業を終わらせてから行います。
我が家も昔はそうでしたが、30年以上前両親健在の頃から事前に並べるようになりました。
しかし、前日に並べるようになったのはプール育苗を行うようになってからです。
作業が分散でき、体への負担が少なく高齢者にとっては楽にできるのが良いところ。
すでに育苗箱は土入れを終え、ハウスの両妻の空きスペースに積んであります。


プールには近い方の妻側から苗箱を運ぶようにします。


通路が広く、プールに並べるのも1列ずつなので楽にできます。
プールの両端は1箱分くらい開けて並べるようにしています。入水する時や苗箱を移動する時などに便利です。


プールの枠と苗箱の間隔は数㎝開け、入水する時の流れを良くします。


普通、苗箱を並べるのは種まきして灌水、覆土まで終わらせてからなのでかなり重くなります。
それに比べると乾いた床土厚さ1㎝だけのため重さは半分もなく、楽に作業できます。
但し、乱暴に扱うと床土が動きやすいので注意が必要です。
何分にも老体。無理をして一度に何枚も重ねて運ぶようなことはしません。
片側に積んである苗箱分を並べ終えました。
プールに余裕があったので中央にも空きスペース設けることにしました。


苗箱並べは終了です。


苗箱並べと同時に、種籾の催芽(芽出し)を行います。
芽出しは鳩胸程度が目安とされていますが、我が家は100%の完全な芽出しが目安です。
我が家は発芽器を用いない無加温育苗です。無加温育苗で一番の問題になるのは発芽。
そこで、まず種播きの段階で完全な芽出しをすることで発芽が悪くなるリスクを抑えます。
種播きは器械ではなく手播きしているため完全に芽出しをしても支障がありません。
我が家では催芽器もないので、これまた我流の芽出し法です。
浴室のシャワーに簡単な仕掛けをし、塩ビパイプでお湯をタンクに引き込みます。


引き込み時のお湯の温度は35℃くらいになるよう設定し、種籾をお湯に漬けます。


途中温度を確認し、25℃くらいに下がったところでお湯を入れ替えます。
お湯は数回入れ替えれば十分。大概は3回程度で済みます。


概ね一昼夜で芽出しができますが、完全芽出しが目安なので1昼夜半掛けるようにしています。
これで種播き前日の苗箱並べと催芽(芽出し)は終了です。

プール育苗'24~育苗箱に土入れ

2024年04月06日 | 水稲プール育苗

水稲の育苗箱に土入れをしました。
育苗は今年も例年どおりプール育苗です。今年はプールはすでに出来上がっています。
年によって後先逆になることもありますが、どちらが先になっても作業に支障はありません。
昔からみると箱数は大幅に減り1/3くらいになりました。
生産調整の拡大や道路の拡張で面積が減少、育苗方式が成苗から稚苗へと変化、さらに植付け密度も少なくしました。
育苗ハウスは余裕十分なので、土入れの作業は全てハウスの中で行います。
事前に育苗箱と培土はハウスの両妻側の空きスペースに運び込んでおきます。


プールに運ぶのに好都合なようハウスの両妻側でほぼ半量ずつ行います。
沢山作る方は土詰めから種播きまで一連の作業を器械で行うのが一般的です。
我が家は僅かばかりなので土入れも全て一人の手作業です。
なかなか効率的な方法が見つからず、今年も例年と同じやり方になりました。
シートを2重に敷きます。


それに育苗箱を5枚並べます。


育苗箱の底には紙シートを敷きます。


シートの必要ない育苗箱もありますが、我が家は昔から一度も替えていません。
紙シートを敷くのは必須で、これも何年も使い続けています。
培土は昔は箱数も多かったので、自分で土を取りピートモスと肥料を混合して作っていました。
今は数も少ないため市販の培土を使っています。覆土分も含めて1袋で7箱半くらいの使用量になります。
経費は掛かりますが、高齢の身には取り扱いやすく負担が少ない。
諸資材の価格が高騰している中では、やむを得ない程度で済んでいます。
培土を育苗箱に少し多めに入れます。


ならし板を使って培土を厚さ1㎝に入れます。プール育苗では培土の厚さが1㎝程度まで節約できます。


これがならし板。


市販のならし板では土が多く入るので、少なくなるよう細工しました。
溢れた培土はシートを持ち上げて寄せて置き、次に並べた育苗箱に入れます。


これを繰り返します。もっと効率的な方法がありそうなものですが、思いつきません。
土入れが終わった育苗箱は不安定にならない程度の高さに積んでおきます。


直射が当たらないよう覆いを掛けておきます。


全体を縛っておくと、地震などがあった場合でも容易には崩れません。
反対の妻側にも土入れの終わった育苗箱を積んでおきます。


これで土入れの作業は終了です。

プール育苗'24~プールを作る

2024年04月05日 | 水稲プール育苗

プール育苗をするためのプールを作りました。
プール育苗の基本は同じでもプールの作り方は様々。我が家のプールもオリジナルの部分が結構あります。
すでにベットの整地を終え準備は整えています。

プール作りは一人でも可能ですが、二人の組作業でやればより効率的にできます。
今回も助っ人の応援があったので大いにはかどりました。
昔と違い育苗の枚数が少なくなりハウスは大余裕。通路を広く取り育苗箱2枚が並ぶ幅にプールを作れば十分です。
まずプールの位置に黒ポリマルチを張ります。
これには幅135㎝の黒ポリマルチがピッタリ合います。このマルチ幅に合わせれば計測や目印をする必要がありません。
昨年マルチが張られた跡でほぼ張る位置が分かります。
両端に目印を付け、二人で黒マルチを引き伸ばします。
そして、手前から二人で黒ポリの両側を引っ張りながら適当な間隔に丸皿付きピンで止めていきます。


黒マルチをしないと草が生えだし始末が悪くなるので、これは必須。
中央と両サイドの通路は約60㎝になり、一輪車が通れます。
次にプールの枠になる抜き板を立てます。
まず大まかに抜き板を配置しておきます。


黒マルチに合わせて抜き板を立てるとプール幅ピッタリになります。


丸皿を外したマルチ止め用ピンで抜き板3カ所に刺して枠を立てます。
この方法は10数年になりますが、非常に効率が良い。


次に透明ポリシートを2枚敷きます。ポリシート1枚では傷が付くと水漏れのリスクがあります。
一昨年まで下には使い古しの透明ポリを敷いていましたが、昨年からは2枚とも新品にしています。
まず1枚目。
幅が180㎝のポリシートがぴったり合います。但し、マルチ用ポリではなく厚さ0.03㎜のトンネル用ポリです。


所々を洗濯ばさみで仮止めしておきます。
その上にもう1枚透明ポリを敷きシートを2重にします。


仮止めの洗濯ばさみをはさみ直します。


さらに透明ポリの周囲を直管パイプで押さえます。


これでプール作りは完了です。
昔は幾つかの作り方を試行しましたが、現在の方法にしてから10数年になるでしょう。
プールの作り方には様々な方法が見られます。専用のシートも販売されています。
それぞれの条件に合わせ最も効率の良い方法で行うのが良いと思います。


プール育苗'24~プール作りの準備

2024年04月04日 | 水稲プール育苗

今年も水稲の苗作りの季節がやって来ました。
昔からみると育苗する数も大幅に少なくなりましたが、失敗は許されないのでしっかりやりたいと思います。
例年どおり育苗はプール育苗です。
両親が亡くなりすでに20数年。その後も勤め人稼業との二足のわらじを履き続けました。
それが出来たのは助っ人達の応援が一番ですが、技術的にはこのプール育苗があったからと言っていいでしょう。
通常の育苗なら日中誰もハウスを管理する人間がいないのはリスクが大きすぎます。
その点プール育苗はそのリスクを大きく軽減することができます。
プールを作るのは一人でも可能ですが、二人でやればより効率的です。
そのため助っ人の応援を得る前日までに、準備をすっかり整えておくようにしています。
ハウスは開放せず、晴天なら屋根に日よけ用の遮光シートを掛けます。今回は曇天だったのでそのままです。


雪害対策用の支柱を外し、ハウス内を整地します。
すでに軽く掃除はしているので比較的綺麗です。


雑草防止と均平を保つために張ったままにしている古い黒マルチを外します。

黒マルチの効果で殆ど草は生えませんが、わずかスギナの芽が出てきました。


プール育苗で一番大事なことはプールを設置するところの均平です。
プールに水を張った時に高低差は分るので毎年チェックし調整しています。
このハウスの地盤はプール育苗を始める前は10㎝以上の高低差がありました。
2年ほどは水糸を張って全体の均平をとりましたが、その後は微調整をしているだけです。
黒マルチを張りっぱなしにしているため傷みが少なく、長年微調整を繰り返したことで殆ど高低差がなくなりました。
もっとも実用的には2、3㎝の高低差は許容範囲です。枠で小さく区切る方法もあります。
今年も黒マルチを張っている場所がブールの位置になるので、そこを微調整すればオーケーです。
昨年、竹の根がベットの位置まで張り出したため掘り上げ均しました。そこが少し下がり調整が必要です。
部分的なので水準器だけで確認しながら均平を図りました。


2カ所あります。


あとは多少の凸凹をレーキで軽くならしながら整地する程度で十分です。


最後にほうきで掃除し、ハウス内の整地は終了です。


我が家のプール作りに必要な以下の資材をチェックします。
1、プールの枠を作る抜き板(昔から我が家にあったもの)
2、プールに敷く透明ポリ(厚さ0.03㎜、幅180㎝、長さ100m)
3、マルチ用黒ポリ(厚さ0.02㎜、幅135㎝、長さ200m)
4、マルチ止め用丸皿付きピン(張りぱなしの黒マルチから抜いたもの)
5、木枠を止めるマルチ止め用ピン(丸皿を外したもの)
6、ポリシートの仮止め用洗濯ばさみ
7、ポリシートを抑える直管パイプ(解体したパイプハウスの古材)





一昨年まではプールの下敷きにする透明ポリは使い古しの透明ポリを使っていましたが、昨年からは全て新品にしています。
その分費用は掛かりますが、片付ける時に助っ人達の手を煩わせる必要がありません。
今年は在庫の中から必要な分を補充しただけで、新ためて購入するものはありませんでした。