怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

中野信子「脳の闇」

2024-11-18 21:19:30 | 

最近テレビのコメンテータとして出演することの多い中野信子さん。

脳科学者としての知見をもとに世情極端に走りがちな議論に冷静かつ穏やかな口調で異なる見解を述べてくれます。因みにテレビに出続けているうちにどんどんあか抜けて美しくなっていくような気がしているのですけど、私の偏見?

そんな姿が人気を呼んで書いてる本もベストセラー続出。図書館の貸し出しを見ても新刊は予約で一杯で、なかなか順番が回ってきません。

でもこの本は少し様子が違います。

「はじめに」に書いてますが、テレビやラジオのメディアでのコメントは1回の発言につき数秒から数十秒という限られた時間枠の中で誤解を招かないように物事を切り取り、味わっていただくと言う作業は楽しいと言っているのだが、当然ながらその制約の中で語ることが出来ない何かが少しづつ澱のようにたまっていく苦しさもあると言う。

この本はそのような溜まった澱を遠慮なく吐き出して書いた面がある。一般大衆に媚びているわけではないのですが、メディアの性格上分かりやすくしなくてはならずタブーも多々ある。どこかで「王様の耳はロバの耳」と叫びたくなるのもムベなるかな。

それでも本にする以上、表面だけ読んでもそれなりに読めるようにしたつもりだが、本意は声にならない声を聴くことのできる人だけが読めるように書いたと言うのですが、こんな風に書かれると読者の知的リテラシーが試されているように思われる。

その意味では、第1章以下読むのに緊張感が必要でした。

「あとがき」でも書いていますが、自分のことを考える以上の何かを考えられるほど、知的能力に余裕のある人はごくまれであり、言いたいことを言っても真意が伝わることはなく、いわば砂に水を撒くようなものかもしれないと。それでも長い沈黙の間に呟かれる内面の声がちりばめられた内容がどれほど読者に聞いてもらえるのかアポロンの愛を試すつもりで投げてみようと思うと言うことは、読者への挑戦状?

そのためか、この本は中野信子さんの著書としては図書館の予約に待ちがない。一般大衆としては取っ付きの悪い本になっているみたいです。普通著者が読者を試すように書きたいことを書いた本というのは商業的には厳しく、企画は通りにくいはずですが、そこは売れっ子の中野さんだからと成り立つ企画なのでしょう。

私にはもとより知的リテラシーと言えるようなものが乏しく、大衆レベルの表面的なことしか理解できそうもないので、この本の内容について書くことは中野さんに分かっていないな~と言われるだけのような気がしますので、触れません。それでも「承認欲求」「正義中毒」「健康という病」などなど現代社会の病理を切り取る濃い内容だと言うことは分かったつもりなので、中野さんの挑戦を受けてやろうようと思う人は是非挑戦を受けて立ち、読んでみてください。

 

 


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