ごっとさんのブログ

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遺伝子組み換え作物の話 続

2015-05-04 10:30:13 | 自然
前回、遺伝子組み換え作物は安全かという話を書きましたが、世界情勢を見ると、大豆やトウモロコシの大部分が組み換え作物となっており、20年近い年月の間に特に問題は出ていません。1990年代の後半に初めての組み換え作物として、ペクチン分解酵素を抑えたトマトが商品化されて以来、非常に多くの組み換え作物が開発されてきました。日本はこういたものを栽培することもなく、たぶん輸入することもないため、それに伴う情報が入ってきませんでした。現在は従来から行われている、育種による品種改良と同じような感覚で、組み換え作物が扱われているようです。

初期の組み換え作物は、除草剤耐性にするとか、害虫抵抗性作物といった、いわば生産者のための改良でした。先のトマトも保存安定性が非常に良くなるものです。こういったいかに収穫量を増やすか、生産性を上げるかといった改良から、すでに次の段階に移っています。つまり生産者の利益を上げるような改良から、消費者をターゲットにした改良がおこなわれています。その代表的なものが、オレイン酸のような健康に良いとされる物質含量を上げた大豆や、ビタミンAやEの含量を増やした大豆などがすでに開発されています。またジャガイモをフライにするとき高温で生成し、問題とされているアクリルアミドが少ない品種なども出始めているようです。

このような第2世代の遺伝子組み換え作物については、日本もそろそろ規制を解除すべき時期に来ているような気がします。

日本で唯一栽培されている組み換え植物が、青いバラの花です。これはすでに20数年前の話ですが、サントリーがバラの遺伝子の中に青くなる遺伝子の導入に成功したという話は、我々の間で大きなトピックスとなりました。このころはまだ遺伝子工学というような言葉があり、遺伝子操作というのはかなり難しい分野でした。挿入したい遺伝子を他の植物から取り出し、それを目的の植物に入れるということは、現在ではかなり簡単なことになってきましたが、当時は画期的なことでした。企業としても、開発に成功したとしても、それほど大きな利益が期待できるわけではないのに、いわば夢の実現に研究費を割くというのは、すばらしいと感じていました。それから商品化までに十数年かかっていましたが、植物の遺伝子組み換えを成功させた日本では唯一の例となりました。

植物は同じ生物といっても、動物細胞より扱いやすいようですが、日本ではこの分野に遅れているのか、あるいは良い研究をしても出てこないだけか分かりません。植物にもいろいろな可能性がありますので、この分野の進展も注視したいと考えています。