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BCGワクチン、新型コロナの保護効果

2020-09-09 10:17:27 | 健康・医療
新型コロナ感染症が昨年12月武漢で報告されてから、これまでに世界で約2,600万人が感染しそのうち約87万人が亡くなっています。

現時点では新型コロナに対して予防効果が期待できるワクチンはまだなく、効果が期待できる予防薬はいくつか承認されていますが、まだ十分とはいえないようです。

こうしたなか世界的に注目されていた結核のワクチンであるBCGの呼吸器感染症全般における保護効果が、公表され話題になっています。子供のころに接種されるBCGは、結核とは無関係の感染症においても保護効果があり、生存率を向上させることが明らかになっていました。

今回の二重盲検ランダム化比較試験では、新型コロナで重症化しやすい高齢者へのBCG接種においても、同様の効果が期待できることが確認されました。新型コロナに関するデータによると、罹患率と死亡率は国によって劇的に異なることが分かっています。

その要因は複雑で、民族性、生活習慣、気候、社会的行動、遺伝的差異などが挙げられています。そして潜在的な要因として注目されていたのが、BCGの接種国であるかどうかでした。

BCGが義務化されている国では、接種しない国に比べすべての年齢層において新型コロナの罹患率と死亡率が減少していることが分かりました。

オランダのラドバウド大学の研究グループは、BCGのさまざまな感染症に対する「訓練された免疫」と呼ばれる防御効果について研究してきました。今回入院した65歳以上の患者たちを対象に、退院時にBCG接種を受けるかプラセボ接種を受けるかをランダムに割り当てました。

BCGが幅広い感染症から患者を保護できるか確認するために、1年間の追跡調査を実施しました。この198人の高齢者を対象とした臨床試験のうち、150名の中間分析では、既に明確な差が認められています。

臨床試験の結果、プラセボ群(78人)では高齢者の42.3%が感染症を発症しましたが、BCG群(72人)では25%にとどまりました。またBCG群ではワクチン接種後に平均16週間で新規感染が報告されたのに対し、プラセボ群では11週間と短くなりました。

このようにBCGワクチン接種は、新規感染の発生率を低下させ、特にウイルス性呼吸器感染症の予防に効果があることが分かりました。

残念ながらこの期間中の新型コロナ感染者はあまりにも少なく、比較することはできなかったため、新型コロナにも効果があるという直接的な証明はできていません。

この免疫の訓練とは、細胞間の情報伝達に必要なサイトカイン産生能と抗菌機能が向上するためとしています。

BCGの接種は獲得免疫のように特定のウイルスに特化した攻撃性はありませんが、個人の自然免疫を高めて感染症からの予防や重症化を低下させるものとして期待されています。



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