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ミューズ細胞により腎臓病改善

2017-10-30 10:25:23 | 健康・医療
東北大大学院医学系研究科の研究チームは、ヒト由来の「Muse(ミューズ)細胞」を慢性腎臓病のマウスに注射すると、腎組織が修復されて機能が回復するという研究成果を発表しました。

慢性腎臓病は重症化すると人工透析や移植以外に有効な治療法は今のところありません。研究成果によって、患者の負担が大幅に軽減される点滴治療の開発が期待できるとしています。

ミューズ細胞というのは、東北大学の研究チームが2010年に発見したもので、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)に続く第三の多能性幹細胞とされています。骨髄や末梢血、あらゆる臓器の結合組織に存在し、さまざまな組織や臓器に成長する能力があるようです。

傷付いた組織からのシグナルを受けてその部位に集積し、組織に応じた細胞に自発的に分化し、修復する機能を持つと報告されています。ES細胞が胚という特異な部位からしか得られないのに対し、ミューズ細胞は脊髄細胞や、脂肪吸引により得られる組織からも分離可能とされており、大量取得もある程度できるようです。

またミューズ細胞はゼラチンコーティングした培養皿上で培養すると、自発的に分化し、そのなかに神経系マーカーを発現する細胞になることが確認されています。

また動物を使った実験でも、ラットの大脳動脈閉塞モデルに、ヒト皮膚繊維芽細胞由来のミューズ細胞を投与すると、脳内に生着後神経細胞に自発的に分化し、行動改善が認められるといった実験も行われています。

今回の研究では、体内の老廃物をろ過する腎臓の組織「糸球体」は、糖尿病や高血圧などによっていったん損傷すると治らず、腎臓病の原因となります。

研究チームは、糸球体が硬化して慢性腎臓病を発症したマウスの静脈に、ヒトの骨髄から採取したミューズ細胞をごく少量注射すると、細胞は損傷部位を狙って集まり、糸球体の細胞に分化しました。

ろ過機能を調べる検査でも、数値が改善して正常範囲となりました。対照実験で食塩水だけを注射したマウスは、数値が大幅に悪化していました。7週目以降は免疫拒絶によりミューズ細胞がなくなりましたが、5週目までは回復が確認できたようです。

免疫拒絶を起こさない免疫不全のマウスでは、7週目以降も多くの細胞が腎臓内に生存していました。研究チームは、ヒトの体内であれば、さらに長期間ミューズ細胞の生存が可能であり、慢性腎臓病を治療できるようにするためのステップであるとしています。

このように非常に多くの利点を持つミューズ細胞は期待されているのですが、その割には関連研究が少ないような気もします。


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1 コメント

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お聞きいたします (藤本和彦)
2019-09-01 16:48:36
私は13年前に脳幹出血に倒れました。以後、左半身麻痺で苦しんでおります。13年も経った私でもmuse細胞の効果はございますか、教えていただけないでしょうか、お願いいたします。まだ、シグナルは出ていますか。
sou971203@outlook.com
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