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脂質異常症の新たな標準薬が開発

2024-10-03 10:34:18 | 
先月健康診断の一環で血液検査をしましたが、その結果が今月帰ってきて幸い問題となるような異常値はありませんでした。

昔は私もコレステロール値がやや高かったのですが、薬を飲むほどではないと放置していましたが、自然に正常値となったようです。このコレステロール値を下げるクスリとしては、「スタチン」が有名です。

この開発には日本人研究者が深くかかわっていて、その研究を基に米国人研究者がノーベル賞を受賞しています。それ以降、世界中の動脈硬化に悩む患者の命を救ってきました。血液中に含まれる脂質とは、コレステロールや中性脂肪を指します。

身体に悪いイメージがありますが、糖質、タンパク質と並び、健康の維持に欠かせない3大栄養素のひとつです。とりわけコレステロールは、全身の細胞構造を維持する役割を担い、ホルモンやビタミンDなど生命活動に必要な物質の原料となります。

しかし血液中のコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化の原因となります。動脈硬化とは、血管の内壁にコレステロールやカルシウムが蓄積し、血管の弾力性が失われるとともに、血管の内側が狭くなってしまう状態です。

進行すると徐々に血流が悪くなり、心臓病や脳卒中の発症リスクが高まります。血液中の脂質が増加した状態を脂質異常症と呼びます。とりわけLDLコレステロールは、心臓病の発症リスクを高める危険因子であることが知られています。

脂質異常症の治療において、中心的な役割を果たしてきたのがスタチンです。スタチンはコレステロールの合成に必要な酵素の働きを抑えることでLDLコレステロールを低下させます。

スタチンの効果は単にLDLコレステロールを下げるだけでなく、心臓病の発症リスクを低下させることが複数の大規模臨床試験によって明らかにされています。

英国医師会によれば、世界83か国において約1億4500万人がスタチンを使用していたと報告されており、世界で最も服用されている薬のひとつといえます。しかしスタチンを処方された患者の25〜50%で、1年以内に服薬を中止することが知られています。

この様にスタチンの服用が継続できなくなる状態をスタチン不耐と呼びます。スタチン不耐は女性や高齢者、糖尿病を有する人で多いことが知られており、スタチンに代わる効果的な治療薬の開発が大きな課題でした。

そのような中、脂質異常症の新たな治療選択肢として注目されているのが「ベムペド酸」です。ベムペド酸は、スタチンとは異なるメカニズムでコレステロールの合成を抑えます。スタチンが肝臓だけでなく筋肉細胞にでも作用するのに対し、ベムペド酸は主に肝臓で活性化されます。

そのため筋肉に対する影響が少なく、スタチン不耐の患者にも使用できると考えられています。ベムペド酸はまだ臨床試験が終了した段階ですが、これで選択肢が増えるのは期待できそうです。


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