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人類以外の生物の「ガン」

2018-07-20 10:44:32 | 自然
ガンは何度も書いていますように、細胞がコントロールされずに増殖を続け、組織内や他の組織へ浸潤したり、転移する悪性の腫瘍を指します。

最近無脊椎動物にもガンになるという論文が出ましたが、ここでは人間以外の生物のガンについて書いてみます。

世界的に人類の寿命が伸び、老化が進んでからも長生きするようになっています。日本人の場合、一生のうちガンにかかる確率が男性で62%、女性で46%、ガンで亡くなる確率が男性で25%、女性で16%といわれ、罹患率も死亡率も60歳前後から増加すると言われています。

こういったガンがある程度ランダムに起きるとすれば、身体が大きくて細胞の多い生物はガンになる確率は高くなると予想されます。しかし実際はゾウやクジラなどの大型生物は、小型の生物と比べてガンになる確率は高くないようです。

これを「ペトのパラドックス」と呼んでいますが、ガンと大型で長寿のゾウやクジラについて多くの研究がなされています。ガンにかかりにくいゾウが持つ特性を知ることで、ガン治療へ生かそうという試みです。

DNAが傷ついた場合、異常な細胞を増殖させないように、細胞のアポトーシス(自死作用)が促進されますが、それを司る遺伝子の一つにTP53があります。最近の研究によれば、人類が1コピーしか持っていないこのTP53という遺伝子を、ゾウは少なくとも20コピー持っていることが分かっています。

また200年以上の寿命があると考えられているホッキョククジラは、DNAを修復したり、脂肪の分裂周期や代謝調整に関する遺伝子を持っていることも分かってきました。

他の生物が、ガンをどうやって制圧し、ガンにならずにいる機能を持つようになったのかという研究が行われており、最近イギリスの研究グループが、人類を含む4000種以上の生物のガンについてのこれまでの研究をまとめる論文を発表しました。

この論文によれば、センザンコウやアリクイ、カモノハシなど一部の生物ではまだガンの報告はないのですが、哺乳類のほとんどの生物がガンにかかり、鳥類、爬虫類、両生類といった哺乳類以外の脊椎動物、さらにヒドラのような無脊椎動物もガンにかかることが報告されているようです。

サルの仲間で多いのは大腸ガン、リンパ腫で、乳ガンや肺ガン、脳腫瘍は少ないとしています。捕獲飼育されているサルでは、大腸ガンやメスの生殖器のガン等が目立つようになることが示差的と研究者は指摘しています。

蝙蝠(コウモリ)の仲間は体重の割に寿命が長い生物で、最高齢では41歳という記録があります。蝙蝠は抗ガン的な機能を持つとされ、ある種の蝙蝠はガンの抑制遺伝子のコピーを50~60も持っているようです。

こういった他の生物は観察する個体数が少ないため、なかなか人間との比較は難しいのですが、ゾウやクジラなどは明らかに少ないようで、こういった研究は面白い結果が出そうな気もします。

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