ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

人類以外にも「ガン」発症するのか

2019-04-25 11:01:25 | 自然
ガンとは細胞がコントロールをされずに増殖を続け、組織内や他の組織へ浸潤したり、転移したりする悪性の腫瘍です。

この悪性腫瘍に正常な細胞や組織が得るべき栄養を奪われ、身体が衰弱していき死に至ることの多い病気です。人類とガンとの戦いは依然として続いていますが、人類以外の生物ではどうなのでしょうか。

最近、無脊椎動物もガンになるという論文が出ていました。世界的に人類の寿命が延び、老化が進んでからも長生きできるようになりました。

日本人の場合、一生のうちガンにかかる確率が男性で62%、女性で46%、ガンで亡くなる確率が男性で25%、女性で16%といわれ、罹患率も死亡率も60歳前後から増加し、高齢になるほど高く、60歳以降は男性の方が女性より高くなります。

多種多様な原因があるとしても、ある程度ガンがランダムに起きるとすれば、身体が大きくて細胞の数が多い生物は、ガンになる確率が高くなりそうです。しかしどうもゾウやクジラなどの大型生物は小型の生物と比べて、ガンになる確率は高くないようです。

これは一般に認められており、「ペトのパラドックス」といいますが、ガンと大型で長寿命のゾウやクジラの関係について多くの研究がなされてきました。私はこのあたり若干疑問を持っています。

つまり人間特に日本については、全員が詳しく把握されており、何人がガンになったかなど正確な数値を出しています。ところがゾウやクジラは全世界にどの程度いるのかわかりませんが、その内人間が把握している数はごく僅かで、ガンになりにくいという結論を出すほどの数を調べているとは思えません。

また飼育したり保護したりしている動物が、自然環境と同じはずがなく、ガンの発生の全体像をつかんでいるか怪しいような気がします。それでもガンにかかりにくいゾウが持つ特性を知ることで、ガン治療へ生かそうという試みは多いようです。

ガンは遺伝子の異常によって引き起こされ、DNAが変異してしまった場合、普通は異常な細胞の増殖を止めるため、細胞のアポトーシス(自死)が促進されますが、それを司る遺伝子がTP53と呼ばれています。

最近の研究によれば、人類が1コピーしか持っていないこの遺伝子をゾウは少なくとも20コピー持っていることが分かっています。

近年、イギリスのリバプール大学などの研究グループが、人類を含む4000種以上の生物のガンについてのこれまでの研究をまとめる論文を発表しました。この論文によれば、哺乳類のほとんどの生物種がガンにかかり、鳥類、爬虫類、両生類といった脊椎動物、さらにヒドラのような無脊椎動物や植物もガンにかかることが報告されています。

詳細は省略しますが、やはりガンはどんな種類であっても生物が逃れられない宿命の病気といえそうです。

アルツハイマー病につながる新説か

2019-04-24 10:23:17 | 健康・医療
現在の高齢化社会では、アルツハイマー病を主とする認知症は最も問題となる病気かもしれません。

このブログでも何回か取り上げているように、アルツハイマー病の治療薬の開発はことごとく失敗しているようです。研究は非常に多く実施されており、歯周病との関連や運動で筋肉から分泌される分子がアルツハイマーを改善するといった報告は出ていますが、治療法はほとんど進展がないのが現状と言えます。

スペインのオチョア分子生物学研究所から、極めて単純な免疫組織学的研究で、アルツハイマー病を神経変性として捉えるだけでなく、神経再生の異常としてもとらえるべきという新説が発表されました。

この研究の目的は、アルツハイマー病自体ではなく、成人の脳でも新たな神経が作られているかどうかを組織学的に確かめることです。

これまで、脳細胞の増殖期に取りこまれた大気中の放射線を調べる研究により、神経細胞は大人になっても新しく作り続けられることはわかっていましたが、大掛かりな装置と大量の脳組織が必要な方法を一般研究に使うことは難しく、人間の脳で神経再生を調べる方法が求められていました。

この研究では、新しく造られた神経細胞のマーカーとして広く認められているダブルコルチン(DCX)という分子マーカーを人間の組織でも利用できないかを検討するところから始めています。

DCXは微小管と結合する分子であるため、普通に処理した脳細胞では検出が難しくなってしまいます、この研究のハイライトは、解剖で取り出した後の脳組織を処理する条件を改良したことで、80歳を超える人の脳組織もDCX陽性細胞が存在することを示しています。

この方法でさまざまな年齢の脳組織を調べると、海馬の歯状回でだけDCX細胞が存在し、この細胞から派生したと考えられる分化細胞も同時に検出されることを示しています。

不思議なことに歯状回でだけ、ほぼ一生にわたって神経が新しく作られ、そこから分化した細胞がリクルートされている可能性が強く示唆されました。

海馬が病変の中心であるアルツハイマー病ではこの神経の新生はどうなっているのかを同じ方法で確かめています。するとDCX陽性細胞は病気の初期から著しい低下がみられ、年齢とは無関係に病状に応じて低下していることを発見しました。

さらに分化マーカーを用いた研究から、新しくできた細胞から成熟する過程が強く抑制されていることが示されました。

アルツハイマー病では新しく細胞ができても、分化が抑えられ脳回路に統合できなくなっていることが示唆されます。今回の研究結果はアルツハイマー病の新説とまで言えるか、この神経細胞の異常が原因か結果なのかは難しいところです。

それでも新しい事実が判明すればその対処法という新しい治療の可能性が出てくるのかもしれません。

男女平等 女性は均等法でよくなったか

2019-04-23 10:21:49 | 時事
平成の時代は雇用機会均等法に続き、男女共同参画社会基本法(1999年)、女性活躍推進法(2015年)と、女性の社会進出を促進する法律が成立しました。

それによって、企業社会に男女平等の概念がより浸透したことは確かと思われます。しかし実際は女性の進む先が、「スマートにかっこよく自立する」ではなく、望まない労働も男性と対等に課せられることも確かです。

ここに日本の企業社会が持つ根本的な問題が存在するようです。我々団塊の世代が定着させてしまった、いわば悪習が全く改善されていません。

男性が家のことはほとんど顧みず、長時間労働を含め会社に尽くすというスタイルが、我々世代では当然のことでした。この時代は男性が中心で、女性はいわば男性を助ける存在として職場にいたという状況でした。

時間外に勤務をしても、例えば夜接待などは残業もつけずに遅くまで働くことが当然のような時代でした。この時は現在よりももっと職場環境は厳しく、過労死などもあったはずですが、全く聞いたこともなく問題になっていなかったのか、当時の社会人は頑健で過労死などなかったのかはよくわかりません。

従って完全に男性社会で、男女差別などは当然のように存在していました。私が勤務していた会社も学卒初任給Ⅰと初任給Ⅱがあり、同じ学卒であっても初任給から男女差がついていました。

これは均等法後に無くなりましたが、総合職と一般職といったような形に変わり実質的な女性差別が残りました。このあたりは男女平等にする過渡期として、やむを得ないような気もしています。

さらに現在でも一部残っている終身雇用(転職がしにくい)と年功序列ということが、女性が家庭と職場を両立させることを難しくしています。(私の個人的見解としては、終身雇用と年功序列は弱い人を助ける効果がある評価できる制度だと思っています。あくまで男性にとってですが。)

こういった完全男性型社会という面がほとんど変わらないまま、男女平等を推し進めると、女性も従来の男性と同じ活動をすることを求められるのは当然のこととなります。

女性が普通に働ける社会にするには大きな変革が必要ですが、現在はその途上期として少しずつ変わりつつあるような感じもします。ただ企業も何を変革すればよいのか模索の段階で、その結果として1人当たり名目GDPの低下になったとすれば、過渡期のやむを得ない状況と言えるのかもしれません。

最近の婚姻率の低下や、多分それに伴う少子化などが男女平等の過渡期の問題なのか分かりませんが、雇用均等法からの年月を考えると、女性の立場は決して良くなっていないような気がしています。

風邪を引いたら病院に行くべきか

2019-04-22 10:21:49 | 健康・医療
風邪を引いたら早めの段階で病院にかかって手を打っておきたいという人は多いようです。

仕事が忙しいのでなるべく休みたくないとか、学校で大事なイベントがあるので早めに受診して治したいという人が多いでしょう。しかし風邪の症状がまだ軽い早めの段階で、病院でできることはほとんどないというのが実状のようです。

病院で風邪薬を処方してもらえばいいと思う人もいるかもしれませんが、風邪薬は風邪を治す薬ではありません。風邪によって起こる頭痛や鼻水、咳、たん、発熱などを抑える成分が含まれているだけです。

風邪はほとんどがウイルス感染とされていますが、風邪薬にウイルスをやっつける成分は入っていませんし、そもそも風邪のウイルスをやっつける薬は存在しません。病院で処方される風邪薬と、市販の風邪薬は成分に大差がありません。

病院で処方してもらえば健康保険によって薬の値段は多少安くなるものの、つらい症状がある中で病院に出かけて行って、ようやく手に入れることを考えると割に合わないようです。

抗生物質は市販されていないから病院に行く意味はあるという考えも古くなっています。つまり風邪はほとんどがウイルス感染で、抗生物質は細菌感染症に用いる薬ですので、風邪に対しては効果が期待できません(このあたりはブログに書いているように、私は必要と思っています)。

2017年に厚生労働省が出した「抗微生物薬適正使用の手引き」において、感冒に関しては抗菌薬投与を行わないことを推奨すると明記されたことで、風邪に対して抗菌薬が処方されること自体が減っています。

点滴をしてもらえば風邪はきっと早く治ると思う人がいるかもしれません。しかし残念ながら外来で行う一般的な点滴の成分は、ほぼ水だけとなっています。水にナトリウムやカリウムなどの電解質が含まれており、成分としてはスポーツ飲料と似ており、風邪を治す成分はもちろん含まれていません。

点滴の目的はのどの痛みや全身倦怠感によって、食事や水分が取れず脱水状態になっているときの水分補給です。口から自力で水分が取れる人には点滴を行う意味はあまりありません。

以上のことを考えると、風邪で早めに受診しても、実は病院でしかできないことがほとんどないということになります。風邪は自然に治る病気ですので、受診にかかる時間と労力を考えると、その時間を使って自宅でゆっくり療養する方が有効ということになります。

ただしこれはあくまでも早めに治したいという動機で、比較的若くて元気な人のいつもの風邪の場合のことです。赤ちゃんや持病により様々なリスクを持つ人は、風邪を契機に他の重篤な感染症を合併することもありますので、人によっては早めの受診が必要なことはもちろんです。

若さのカギとなるタンパク質を発見

2019-04-21 10:28:20 | 自然
東京医科歯科大学の研究チームが、皮膚を若々しく保つ上で重要な細胞競合を促進するタンパク質があることを発見しました。

このタンパク質は「17型コラーゲン」と呼ばれ、細胞組織の適応度を維持する重要な過程である細胞競合を促進します。細胞競合により弱い細胞は駆逐され、強い細胞の複製が促進されます。

細胞競合という言葉はあまり聞かれませんが、簡単に言えば生態系における「適者生存」が細胞レベルでも起こることを言います。これは同じ細胞間や異なる性質を持った細胞間で多彩な「競合」現象が生じていることが、最近の研究で明らかになってきました。

17型コラーゲンは加齢によって減少し、弱い細胞が自己複製し皮膚が薄くなり、損傷を受けるとともに再生も遅くなります。今回の研究は、人間の皮膚と同じ特徴を多く有しているマウスの尻尾を用いて行いました。

研究チームは、17型コラーゲンの減少が起きた時点で、このコラーゲンを活性化することが可能かを調べ、皮膚の抗加齢を促進させる化合物を探索しました。

この結果「Y27632」と「アポニシン」という2種の化合物を単離し、皮膚細胞でテストしたところ、肯定的な結果が得られました。研究ではこれらを皮膚全層の損傷に塗布したところ、損傷の再生が著しく促進されたと指摘しています。

二つの化合物は、皮膚の再生促進と老化制御につながることが期待されると述べています。このうちアポニシンは、色々な植物から分離された天然の有機化合物でバニリン(バニラの香りのもと)と類似した構造を持っています。

NADPHオキシダーゼ活性を阻害し活性酸素の生産を抑制する作用があるため、抗炎症効果を持つとされている化合物です。

ここで調べられた細胞競合に関する詳細な研究は、これまでハエでしか行われていなかったようです。ここで見いだされた17型コラーゲンは、最近毛髪についての効果が知られています。この17型コラーゲンが欠損すると、白髪はもとより薄毛が進み、脱毛を引き起こすことが明らかにされています。

今回の研究は、哺乳類の正常細胞が成体組織を効果的に再配置し、弱い細胞や損傷した細胞を取り換えることができるという証拠を提供しています。研究チームは、二つの化合物が老化に対抗できることの原理証明が今回の研究で得られたと指摘しています。

さらに、他の組織における細胞競合のメカニズムを解明し、他の臓器における若返りを可能にする化合物を特定するには、今後さらに研究を重ねる必要があると述べています。

ここでは細胞競合の具体的な記載はありませんでしたが、17型コラーゲンのような若さを保つタンパク質が共通であるならば、老化防止に役立つ可能性があるような気がします。