ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ゲノム編集による治療を世界初承認

2023-12-16 10:34:17 | 健康・医療
最近遺伝子の改変技術は劇的に進み、特にゲノム編集は目的とする遺伝子だけを切断し、そこに新たな遺伝子を挿入するという画期的な技術です。

私はこの具体的な詳細が分かりませんが、1個の細胞に使う技術と思っていましたが、病気の治療にまで応用できるようです。

2023年11月イギリス政府は、2つの血液疾患についてゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」を用いた治療法を承認したと発表しました。

英国医薬品・医療製品規制庁(MHRH)によると、承認したのはアメリカの企業が申請していた「キャスジェビー」という治療法で、鎌状赤血球症とβサラセミアという遺伝性の血液の病気が対象となっています。

どちらも赤血球による酸素の運搬に使われるタンパク質のヘモグロビンの遺伝子異常によって引き起こされます。これは痛みを伴い生涯続き、場合によっては死に至ることもある病気です。

キャスジェビーの臨床試験では、欠陥のある遺伝子を編集することで健全なヘモグロビンを作り出せるようなることが示されました。1回限りの治療で症状の軽減効果が見られたとして、患者は骨髄移植や定期的な輸血を受ける必要がなくなる可能性があると述べています。

さらに永続的な治療効果がもたらされることにも期待を示しています。MHRHによると、臨床試験では安全性について重大な懸念も認められず、承認後も安全性を引き続き注意深く監視していく方針としています。

クリスパー・キャス9は、10年ほど前に細菌の免疫システムを応用して開発されました。DNAを正確に切断して操作できることから「遺伝子のはさみ」と呼ばれ、2020年にノーベル賞の対象となりました。

精密な遺伝子編集技術は、欠陥遺伝子の修正からDNAの微調整による望ましい形質の強化、農作物の増産、病気に対する防御、絶滅した種の復活まで、生命科学の世界で可能性を切り開くと期待されています。

半面特にヒトの遺伝子編集に関しては、人為的に作り出された病気の脅威や、優生思想への傾斜などの危険性もあると専門家は警鐘を鳴らしています。

確かにヒトの遺伝を好みに変えることができるというのは若干気持ち悪さがありますが、遺伝子疾患に苦しんでいる人にとっては良い成果かもしれません。

この遺伝子編集によって、多くの造血細胞遺伝子が変換されるメカニズムなどよく分かりませんが、ヒトの病気にも応用できるという事実は画期的と言えるのかもしれません。他の細胞の遺伝子に変異が起こらないかなど、注意すべき点も多いような気がします。

アルツハイマー病ワクチン開発が復活

2023-12-15 10:38:50 | 
このブログではアルツハイマー病を時々取り上げますが、76歳の私にとって認知症はガンと共に発症する可能性の高い病気と言えるからかもしれません。

最近脳から有毒タンパク質を除去する画期的なアルツハイマー病の治療薬が登場したことで、このワクチンの開発熱が復活しているようです。

米政府のデータベースを調べたところ、少なくとも7つのアルツハイマー病ワクチンの臨床試験が進行、あるいは終了していることが分かりました。ワクチンは免疫システムを制御し、同病に関連するタンパク質であるアミロイドβとタウを除去する設計となっています。

アルツハイマー病のワクチンを巡っては、20年以上前に最初の有望な開発が試みられましたが、臨床試験を受けた被験者のうち6%が命に関わる髄膜脳炎を発症したことで中止されています。

医薬品企業の科学者らは現在、最初のワクチンで何が問題だったかを理解したと確信し、過剰な炎症反応を招くこと無く免疫反応を引き起こすと期待される注射の試験を行っています。

ボストンの医療組織は、アルツハイマーのタンパク質を脳に持ちながら認知機能が正常な人々を対象にした試験を行っています。血液中にアルツハイマー病タンパク質を持ちますが、脳スキャンに記録されるほどではない無症状の人々を対象として、ワクチンを検討中です。

四半期に1度、あるいは年に2度投与するワクチンが登場すれば、アルツハイマー患者は月に2回点滴する高価な薬剤から解放されるでしょう。既に「UB-311」というワクチンの小規模な第Ⅱフェーズの臨床試験を終えており、最も期待されています。

新規な薬剤の開発によって長らく疑問視されてきたアミロイド仮説が立証されたとしています。台湾で43人の被験者を対象に行ったフェーズⅡa試験のデータでは、このワクチンは78週間後の段階で安全性と忍容性を示し、ほぼすべての参加者が抗体反応を示しています。

脳腫瘍の症例はありませんが、14%(6人)が脳出血を発症しました。脳出血は点滴型の治療でもよく見られる副作用のようです。現在開発中の新ワクチンのほとんどは、抗体を生成する免疫細胞であるB細胞を標的としています。

この様に多くのワクチン開発が進んでいるようですが、免疫システムに作用するといってもワクチンという名称が良いのかはやや疑問です。

むしろ定期的に接種する予防薬というのが正しいようですが、どの程度の価格になるのかが問題となりそうです。多くの人に接種するものですので、簡単で安価であることが絶対条件のような気がします。

その後の人生を変えた人との出会い

2023-12-14 10:31:51 | その他
私も76歳といい年になりましたので、過去を振りかえることも時々あります。その中で私の一生を変えたような人との出会いがあり、それがHさんという先輩です。

私がHさんと初めて会ったのは、大学4年の時専門の有機化学研究室に配属されたときです。この研究室は3部屋に分かれており、その中で一番小さなところに入りましたが、私の指導教官は当時助手のNさんとなりました。

しかし実質的にはNさんと同期で、K社から研究生として派遣されていたHさんにいろいろと教えてもらいました。この年は学生運動が最も激しい時でしたので、色々あったのですがここでは省略します。

さて私も就職活動をする時期になった時、HさんからK社に来ないかと誘われました。実はこのときまでK社については全く知りませんでした。

当時はネットなどありませんので、友人から会社四季報を借り調べてみると、当時従業員が1万人程度で、ある分野では有名な大企業であることが分かりました。さらにHさんから素晴らしい条件が示されました。

Hさんは卒業後すぐに大学に派遣されたのですが、既に6年も経ち次の3月で会社に帰るので、私が入社すればHさんの後任として大学に派遣されるよう手配してくれるというものでした。私はこの条件に喜び、K社に決め役員面接後無事採用されました。

大学紛争のため卒業が半月ほど遅れましたが、新入社員研修と研究所での研修を受け、6月には大学に戻ってきました。この後は時々Hさんの自宅に遊びに行き、奥さんや子供さんとも仲良く遊んだりしていました。

私も6年ぐらい大学にいるつもりでいましたが、4年後に大学の改修工事が始まり、強制的に会社に帰ることになりました。しかしそのまま会社の研究所の近くの財団法人の研究所へ出向となり、ここに2年いましたので結局私も入社6年後にやっと会社の研究所勤務となったわけです。

まあ当時は色々いい加減なところがありましたので、今では考えられないような処遇といえるようです。ここまでですとHさんは私の就職先を決めてくれた人という事になりますが、さらにその後大きなことが起こったのです。

私は順調に主任研究員となり室長として研究していましたが、40歳を超えたころなんとHさんが社長に就任したのです。その少し前常務のHさんと飲んだ時、本社は何をするのか分からないなどと言っていたのに社長になるとは本当に驚きました。

具体的なことは略しますが、企業研究者にとって常に社長の後押しがあるというのは、本当にやり易いものでした。その後Hさんから本社に来いと言われましたが、それを断り研究を続けたことに悔いはありません。

こういう点も含め、Hさんとの出会いは私にとって本当に大きなことと言えるようです。

消化器系の不快感と食事画像を見た脳の血流量

2023-12-13 10:32:40 | 健康・医療
私は若いころからあまり食事にこだわりがなく、これならばと思ったものを食べていれば満足していました。

今でも朝食は卵かけごはんとみそ汁というメニューが何年も続いています。

胃や腸の消化器系の不快感が続く病気は多いようで、診断が難しい機能性ディスペプシア(FD)という病気があります。川崎医科大学の研究グループが、この病気の患者は食事の画像を見るだけで脳に負担がかかり、精神的なストレスを感じていることを明らかにしました。

機能性ディスペプシア(FD)の患者は胃の痛みなどを訴えて病院に行っても、画像診断や血液検査では異常がないことが多いようです。FDと同じように診断が難しい消化器系の病気に過敏性腸症候群(IBS)があります。

IBSは便秘や下痢が慢性的に続く疾患で、便潜血検査や大腸カメラでも異常が見つかることはありません。

FDもIBSも不定期に症状が出ることなどから診断名が付かず、病院を渡り歩くいわゆる「ドクターショッピング」になったり、体の不調の原因が分からずうつ病を発症するきっかけになったりするとされています。

研究グループはFD患者12人とIBS患者13人、健常者16人を対象に病気を容易かつ客観的に診断できる方法の研究を行いました。研究ではまず様々な食事の写真40枚を7秒ずつ見てもらい、こってりしたハンバーガー、天ぷら、焼き肉などと、あっさりしたサラダ、寿司、蕎麦などの好き嫌いを尋ねました。

その際に好きを100点、嫌いを0点として回答をまとめたところ、健常者の平均は80点でFD患者群は40点まで下がり、IBSの患者は65点でした。

同時に機能的近赤外分光法を用いてこってりした食事とあっさりした食事の画像を見たときの脳活動の亢進の有無を調べたところ、FDの患者はどの画像でも脳活動の亢進が見られました。脳活動の亢進は脳の血流量が増加していることを意味し、ストレスがかかっていることを示唆しています。

特に左背側前頭前野での血流量が増えていました。機能的近赤外分光法は、うつ病の診断補助のために新進化領域の保険診療で使われていますが、その他の疾患では用いられていません。

研究グループは、FDの診断に応用できれば、病名も付くため患者にとってもメリットがあるとしています。また食べると症状が出るからと食事量が減る患者もおり、低栄養や痩せの原因となっているようです。

今回の研究を応用して、素早く診断して治療に結び付けたいと話しています。この患者がどのくらいいるのか分かりませんが、かみさんもよく胃の調子が悪いと言っていますのでFDの傾向があるのかもしれません。

世界のプラゴミ汚染防止へ条約作り進む

2023-12-12 10:36:19 | 時事
プラスチックゴミによる環境汚染が色々と話題になっています。

しかしプラスチックは現代社会ではなくてはならぬものとなっており、例えば電化製品などを購入すると大量の発泡スチロールなどで梱包されています。食品トレーやその包装など安くて軽い代替物はできそうにありません。

当然世界の生産量は増加の一途をたどり、この傾向に合わせるようにプラゴミの量も増え続けています。陸地や川から海に流れ込み、漂流するうちに小さくなった「マイクロプラスチック」は、海の生物の体内に入り食物連鎖を通じて人間の健康に悪影響を与える可能性が指摘されています。

この世界的なプラゴミ汚染の拡大を解決しようと、国連のもとで国際条約作りが進んでいます。しかし条約がプラゴミの排出や廃棄を何らかの形で規制し、法的拘束力がある内容になるのかは見通せていません。

国連環境計画は2020年5月に「蛇口を閉める」と題した世界のプラゴミ汚染問題を概観する報告書を公表しました。

報告書は世界のプラスチックの生産量と使用量は1950年以降飛躍的に増加し、毎年4億3000万トン生産され、このうち3分の2はすぐに廃棄物となる短命製品で、その量は増加の一途だと指摘しています。

生産量はこのままでは2060年には現在の3倍に達すると予測しています。報告書によると、生産使用されたプラスチックのうち、2020年時点で約2億3800万トンがゴミになり、約1億700万トンが海を含む環境中に流出したとしています。

また対策をしないと世界の社会的、環境的コストは年間3000〜6000億ドルにのぼると推計し、2040年までにごみの量を大幅に削減するコストは約650億ドルで済むとしいています。

報告書は製品の使い捨て市場から再利用可能な市場に、つまり「捨てる経済」から「再利用経済」により、プラゴミは2040年までに最大80%減らせると指摘しています。過剰包装など不要な使用をなくし、再利用、リサイクル、代替素材への転換が必要と強調しています。

何となく難しい問題のような気もしますが、私の住んでいる神奈川県ではほとんどのプラスチックはサーマルリサイクル、つまり燃焼して発生する熱を有効利用しています。このようにすべてのプラゴミを完全に燃焼してしまえば、環境汚染はなくなるような気がします。

結局すべての廃プラスチックを完全に回収、燃焼することによってかなり改善されるのではないでしょうか。国民全員がプラゴミを回収するという「意識の問題」のような気もしています。