ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

なぜ風邪は冬に流行、その要因

2023-12-21 10:35:06 | 健康・医療
今年は11月まで暑い日が続いていると思ったら急に寒くなり、秋という季節がなくなってしまったような気がします。

寒い日が続くと風邪がはやるようになります。まあ現在はインフルエンザの流行が心配されていますが、普段よりかなり早く流行期となってしまったようです。

風邪は鼻水、咳、喉の痛みといった上気道に限局した炎症症状を呈する疾患の総称で、様々なウイルスが原因になります。風邪が冬に流行するのは日本だけではなく、世界中の温帯地域で同様のパターンが知られています。

この冬に風が流行しやすいのはなぜかが何となく不思議に思っていました。「体が冷えると風邪をひきやすい」と信じられていますが、医学的には証明されていません。

確かに動物実験では体温を下げるとウイルスに対する抵抗力が下がることが示されていますが、日常生活において多くの人が風邪をひいている状況は、動物実験程の極端な寒冷環境ではありません。ヒトでの実験も少ないながら行われています。

かなり古いのですが1968年に報告された実験では、44人の健康な成人男性に対し、一般的な風邪ウイルスであるライノウイルスを感染させたうえで、4℃の室内及び32℃の水浴の影響を調べました。その結果、寒冷環境は風邪症状の頻度や重症度を増加させないことが示されました。

他の実験でも似たような結果が得られており、寒冷環境は風邪の発症の重要な要因ではないとされています。冬に風が流行する理由として、ウイルスの安定性が挙げられます。温度だけではなく湿度も関係してきます。

低温で適度に乾燥した冬では、風邪に関連したウイルスが不活性化されにくく環境中で長く生き残り、その分感染が広がりやすくなります。湿度が低い方がウイルスを含んだ粒子が空気中に留まりやすいことも影響しているかもしれません。

人と人との接触の機会の増加も風邪が流行する要因です。寒い冬は暖房が効いた室内に人が集まることが多くなります。身体全体が冷えるのではなく、ウイルスの侵入経路である鼻粘膜が冷えることが重要だという説もあります。

この説によると、服を着こんで体が冷えないようにしても鼻周辺が冷えていれば風邪をひきやすくなります。いずれにせよ、冬に風邪が流行するのは複合的な要因が関与しているようです。

新型コロナやインフルエンザだけでなく、普通の風邪も生活の質を落とします。手洗いやマスク着用、適切な湿度の維持、定期的な換気といった感染予防対策が必要とされています。

いろいろ述べてきましたが、結局なぜ冬に風邪がはやるのかの納得性の高い説明はないような気がします。現代の科学をもってしても、この問題はまだ謎に包まれているといってもよいのかもしれません。

昔の仲間との少し早目の「忘年会」

2023-12-20 10:36:23 | 日記
高校時代からの仲間とは時々麻雀などしていますが、会う頻度は低くなってしまいました。2年前にこの仲間だったE君が肺ガンから突然亡くなってしまいましたので、会えるうちに合っておこうと「忘年会」を企画しました。

その連絡をしたところ、M君の妹さんが突然亡くなり、非常に忙しいようでした。そこで日時を他の人に合わせて決定し、是非この日は空けるようにM君には連絡しました。

ここで問題なのが7,8年前に認知症を発症したS君をどうするかです。S君は車の運転はもちろん、パソコンやスマフォも扱えなくなったようですので、当然メールも返事が来ません。そこでS君に電話し、奥さんに症状などいろいろ聞いてみました。

身体は全く元気なのですが残念ながら症状はかなり進み、タクシーでも自宅に案内できないようでした。外に出るとすぐにどこにいるのかが分からなくなるようで、常にだれかが注意してないといけない状態のようです。

最も問題なのは酒を飲むと量の把握ができず、飲み続けてしまうという事でした。その後S君に代わってもらいしばらく話をしましたが、普段と変わらず元気そうでした。しかしこの状態では忘年会に連れ出すのは無理と判断し、いつもの5人ですることにしました。

当日は車で10分かからないY君の家に行き、帰りは下戸で酒を飲まないY君に運転してもらうつもりで行きましたが、Y君が私の車は運転しにくいという事で、いつも乗っている軽トラで向かいました。

この乗り心地が非常に悪く、いつもの駐車場につくまで尻が痛くなりました。駐車場から出るとちょうど前をM君が歩いており、3人で集合場種に向かうとすでにF君とK君は来ていました。すぐにF君が予約しておいてくれた居酒屋に行きましたが、完全個室で落ちつける良い店でした。

乾杯後最初は皆がよく知っており気になっている、M君の妹さんの話しになりました。妹さんは調子が悪いと感じすぐ近くの知人に連絡して来てもらったそうです。

そこで救急車で病院に運ばれ、脳梗塞と診断されそれなりの治療は受けたようですが、3日後に亡くなったと話してくれました。その後私からS君の状況を伝えましたが、大勢で押し掛けるのは悪いからと私とY君でお見舞い(様子見)に行くことになりました。

乾杯のビールをY君は小さなグラスに少し入れ、残りをF君が飲んでいましたので帰りも心配ないようです。私もビールだけで止めるつもりでしたが、Y君がもう一杯ぐらい大丈夫だろうというのでウイスキーを飲んでいました。

M君も色々問題があるようで、2杯飲んだ後は私と一緒に烏龍茶にしていました。3時間ほどでお開きにしましたが、やはりこの仲間が何の気兼ねせず好きなこと言い合え、一番楽しい飲み会と言えるようです。

迷走神経を刺激し糖尿病治療に成功

2023-12-19 10:33:12 | 健康・医療
糖尿病は血糖値が上がる病気ですが、それ自体にそれほど問題はないものの多くの重篤な合併症があります。

私の友人は糖尿病から腎不全となり透析を受けるようになり、従妹は突然失明してしまいました。こういった点からも血糖値の管理は重要なようです。

東北大学などの研究グループが、脳と膵臓をつなぐ迷走神経を刺激すると、血糖値を下げる「インスリン」を作る細胞が増えることをマウスの実験で発見したと発表しました。

多くの糖尿病は、インスリンを作る膵臓の「ベ-タ細胞」が減ったり働きが落ちたりすることでインスリンが減り血糖値が上がって起こるため、インスリン製剤を注射して補う治療などが行われています。

ベータ細胞を増やす治療法が期待されていますが、まだ開発されていません。体内にはもともと、肥満になるとベータ細胞が増え、インスリンが多く作られて血糖値の上昇を抑える働きがあります。

この仕組みはよく分かっていませんが、研究ループは過去に迷走神経から出る信号がベータ細胞に重要な影響を与えることを見出しています。そこで膵臓につながる迷走神経を刺激すれば、ベータ細胞が増え糖尿病の治療ができる可能性があると考え、光遺伝学の手法を活用して実験を行いました。

青い光を当てると、迷走神経が活性化する遺伝子改変マウスを作成し、その膵臓には近赤外光が当たると青く光る粒子を埋め込みました。近赤外線は生体を透過する性質をもちます。

こうしてマウスに意図したタイミングで体外から近赤外光を当て、膵臓につながる迷走神経だけを刺激して活性化できるようにしました。光遺伝学の手法により、末梢の臓器で神経を制御したのは世界初のようです。

このマウスに糖尿病を発症させ、膵臓につながる迷走神経を刺激したところ、糖分を与えたときにインスリンが著しく増えてベータ細胞が活発になりました。

2週間ほど続けて刺激すると、ベータ細胞は倍以上に増え、この方法で血糖値の上昇を抑えマウスの糖尿病を治療することに初めて成功しました。同様の遺伝子改変をヒトに行うことはもちろんできません。

ただヒトのてんかんやうつ病、一部の腸炎では手術で迷走神経に電極を取り付け、電気刺激する治療が行われています。ヒトでも膵臓につながる迷走神経を同様に刺激することで、糖尿病の予防や治療法の開発が進む可能性があると研究グループは見ています。

実際にどんな手術が必要かなど難しい問題は残っていますが、糖尿病の新たな治療法開発につながる成果と言えるのかもしれません。

ガンや糖尿病に関係する「免疫の老化」

2023-12-18 10:34:24 | 健康・医療
私は現役のころかなり長期間抗生物質を研究していました。

感染症治療に重要な働きをする免疫についても色々調べていましたが、最近この「免疫の老化」という事が話題になっているようです。

まずT細胞についてみると、加齢によって生まれたてで抗原にまだ出会っていないナイーブT細胞は激減し、高齢者の血液中のT細胞の多くは、以前の抗原の情報を記憶した「記憶型」となります。T細胞は胸腺で生まれますが、この胸腺が年齢とともに萎縮していくのです。

特に50歳を過ぎると顕著に委縮し脂肪細胞に置き換わります。このため新しく生まれるナイーブT細胞が減少し、代わって記憶型のT細胞が増えていきます。しかも理由はよく分かっていませんが、記憶T細胞はどんどん「疲弊化」していきます。

この疲弊化は特にキラーT細胞で顕著となるようです。加齢によるナイーブT細胞の減少や疲弊化記憶T細胞の増加は、感染の慢性化やガンの増加につながり、老化T細胞の増加は老化を促進する慢性炎症の増加や自己免疫疾患の増加につながると考えられます。

強靭な体を持つスポーツ選手は免疫能も高く、風邪などひかないだろうと思われがちですが、激しい練習や競技会のストレスで胸腺が委縮し、T細胞が減って免疫能は低下しています。このため優秀な選手でも色々な病気に冒されることがあります。

骨髄は加齢によって胸腺ほど萎縮することはないのですが。骨髄の支持細胞が老化しT細胞ほどでないにしても新しく生まれるB細胞は減少するといわれています。

自然免疫についても一般的に加齢によって、骨髄での造血は赤血球とリンパ球は減少し、単球や好中球への分化が増加するといわれています。

高齢者は、炎症を起こして病原体を排除するのに必要な物質である「サイトカイン」が過剰に産生され、炎症が過大に起こるサイトカインストームを起こしやすいのですが、それにはこの自然免疫系が強くなる傾向が関与しています。

さらに単球から分化するマクロファージも炎症性のM1型が多く、貪食や組織修復に関わるM2型が減少します。このマクロファージの変化も、高齢者で老化細胞の除去が減ることと慢性炎症が増えることに結びついています。

このようにいろいろな免疫の老化について述べてきましたが、その他加齢によりブレーキ役のPD-1が多く発現したりもするようです。

近年老化を自然現象ではなく、一種の病気と捉える見方が出てきていますが、やはり老化を治療することは難しいような気がしています。

生成AIはなぜ言葉を理解できるのか

2023-12-17 10:30:29 | その他
私は人工知能といわれるコンピューターは、記憶機能を持った計算機と思っています。

生成AIが開発され、人間と同じように文章の作成などできるようになりましたが、記憶している膨大なデータから単に組わせているだけと思っています。

人工知能の研究は1950年代から始まりましたが、近年人間の脳をまねた「ニューラルネットワーク」が普及したことで急速に発展しました。これは「シナプスを通したニューロン同士の電気信号のやりとり」と同じ仕組みで、学習を行うものです。

人間の言葉をコンピューターが扱えるようになったというのは革命的な出来事のようです。人間とコンピューターの最大の違いは、コンピューターは数字しか扱えないという点があります。色も映像も音声も、コンピューターの中では数字に置き換えられて処理されています。

AIに人間の言葉を処理させるために、ニューラルネットワークを使って単語の「意味」を数字で表現するという事をやっています。意味を数値化するといっても、AIに単語の意味を直接教えることはできません。

AIは計算しかできないので、何らかの形で計算ができる手順に落とし込まないと処理できないからです。そこでAI向けに、意味の似た単語を見分ける手順を教える必要があります。AIはその単語が含まれる文章や前後の文章には他にどんな単語が出ているかに着目します。

このようにある単語の周辺に現われる語彙のことを「周辺語」といいます。意味が似ている単語同士はこの周辺語が似ていたり、重なるものも出てくると考えられます。つまり周辺語を見ていくことで、意味の似た単語を分類できるのです。

周辺語が似ている単語同士は、意味も似ているといえそうです。この発想を基にすれば、AIにも意味が似ている単語を見分けることができるようになります。「周辺語が似ているならば意味が似ている」と考えて、周辺語の似ている度合いを数値として表せばよいわけです。

つまりこの考えをもとにすれば、本来の「単語の意味を数値化する」という課題を、「周辺語にもとづいて単語を分類する」という課題に置き換えることができます。

その単語の周辺にどんな単語が出てくるかを予測するという課題をニューラルネットワークに学習させることによって、求めている数値が自然とえられるのです。

その他単語の「重み」という概念などを加えて、タイトルの「言葉の理解」となるようですが、やはり人間の「理解」とはかなり違っているような気がします。

AIがどんなに進歩しても、いわゆる何かを「理解する」ことは無理のような気がしています。