今日、取引先のK君が会社に来て、嬉しそうにこう話していた。
「今日、音波歯ブラシ買ったんですよぉ」
なんでも、K君は今までいわゆる手動歯ブラシでTVを見ながら
10分以上歯ミガキをするはみがきおたくらしく、どうもこの買い物
は俺達がベンツを手に入れたくらいの、どえらい感動があったらし
い。
でも、実は俺も音波歯ブラシを使ってるねんけど、これって最初は
なんか頼りない。なんかブラシが動いてるのがよく分からんし、何よ
り今まで動かしていた手を動かさずにじっと保持せんとあかんのが、
忙しい日本人には、なんかサボっている感があってどうもしっくりこ
ないのだ。
だから俺が思うに、K君はその音波歯ブラシを持ちながらも、しば
らくはせこせこと手動歯ブラシのように使うであろうことは目に見え
ている。
そう簡単にベンツ並の感動も手に入なない代わりに、このように
色々な使い方で楽しんだ後、歯ミガキおたくもノーマル歯ブラシ人
も愛用するようになるのがこの音波歯ブラシという代物。
その素晴らしさは歯ミガキがきれいにできるということよりも、ありきた
りの日常を、ひとつの物語に変えてしまうところにある、といえばあま
りに無理やりな喜び方やろか。