昨年5月に公開された映画『ファーザー』が、TVで放映されました。
認知症老人を描いた作品で、アカデミー賞を幾つか受賞した名作と
聞いてはいましたが、劇場まで足を運ぶのを躊躇していました。
今回のTV放送はしっかり録画して繰り返し観ています。
高齢になり意識障害がある父と娘の関係が、丁寧に描かれており
混乱する意識の中、懸命に≪自分≫を生きようとする老人の
悲しみ・怖れ・怒り・戸惑いなどが、しみじみ心に染み入りました。
人間の長命化と共に、認知症は誰にでも起こり得る問題です。
「どう生きるか」「どう終えるか」、重い課題を投げ掛ける映画でした。
主人公が好んで聴いていた「真珠採り」の哀切なメロディが
いつまでも耳に残っています。