今日も午前シフト。
出勤してみたら婦長やリーダーたちがすでに何かの話題で盛り上がっている。何事かと思って荷物を降ろすと急いでナースステーションに向かった。
「もうほんっとに腹が立つ!」
普段はニコニコしている婦長がなにやらブリブリ怒っている。話をよく聞いてみると、どうやら昨夜入れ歯をなくしたおばあさんが、午後から大変だったらしい。婦長が話をしにいったところ、入れ歯紛失に関して病院に責任がないことは不承不承ながら“理解”したらしい。しかしだからといってそれを受け入れるのは別らしく、相変わらず弁償しろと言いつづけているそうだ。
さらに。
そもそも入院の理由が左肩痛ということなんだけど、私が担当した昨日の朝までの数日間、痛みに関してはまったく不平不満を述べなかった。私がいる間に専門医の回診があったけど、そのときも何も言わず、一日2回の強い鎮痛剤で痛みはコントロールされていた。ところが、私が帰った後、午後シフトになってからいきなり痛みを訴え続けたらしい。痛みの緩和は看護師にとって一番大切な処置のひとつ。患者さんが痛みを訴えると、私たちは十中八九適切な鎮痛剤を投与する。なのでこの患者さんの訴えが無視されていたはずはないのだけど、患者さんいわく「腕の痛みを訴えたのに、誰も何もしてくれなかった」。そしてひいては「訴える」とまで言い始めているらしい。
モンスターペイシェントかよ。
こういっては何やけど、80歳をいくつか過ぎた、しかも初期認知症を患っているおばあさんが、このような発想を持つとは思いがたい。どうやら患者さんの娘さんがいろいろと入れ知恵をしている様子。
この40歳前後と思われる娘さんは看護師。実は正看になるための実習で昨年うちの病院に来ていたのだけど、正看になるにはまだ力不足ということで合格しなかったらしい(この人が通っていたコースでは監督官が一緒について来るわけではなく、婦長やリーダーの判断で合格か不合格かが決まる)。その際、怒りなのか何なのか、廊下を大声でわめきながら歩き回り、婦長がなだめるという事件があったんだそうだ(なぜ私はこの話を知らないんだろう?)。ところがその後ほかの病院での実習では合格したらしく、母親である患者さんを訪ねてくるときはユニフォームで着ていた(婦長いわく「マジか!?」。そう言いたくなるぐらい怪しいレベルだったらしい)。
もとい。
この看護師である娘さんがいろいろと患者さんに言わせており、元々気の強い患者さんはそれに乗っているという感じ。「訴える」と言い出されたら病院が及び腰になるのもわかっていての行動。
むっちゃ腹立つ~
私は昨日軽く言い合いになっているので、婦長が今日の担当からは外してくれ、顔も見ないで済む病棟の反対側の担当にしてくれた。なので後から話を聞くばかり。全然痛みを訴えなかったくせに、今日はしつこいぐらいにナースコール。そして今まで何とも言わずに飲んでいた強い鎮痛剤を「効かないから」と言って拒否。そしてモルヒネばかりをリクエスト。モルヒネなんて知ってたんかい!? ついこの間まで強い鎮痛剤(オキシコンチン)が何かも知らんかったくせに。
私もかなり腹が立っていたので、今日担当になっても絶対優しくなれなかったと思う。なので離してもらって正解やったけど、時折届く話を聞くだけで十分イライラ。婦長も相当腹に据えかねたようで、今後の対策をスタッフと練っていた。ただ、クリスマスという時期も重なってすぐに行動を移すのは難しく、しばらくはウチの病院にいることになるらしい。
私は明日も勤務予定だったけど、人手が余っているとのことで急きょ休みになった。なので明日から3連休。それ間に退院してくれてるといいけど。
というわけで、今日は担当4名。これぞクリスマス!という担当患者数。大きなドラマもなく、粛々と作業をこなした。上記のことを除けばいい一日やった。やれやれ。
先にも書いたように、明日から3連休。明日の仕事終わりでシドニーに行く予定をしていたので、祝日出勤手当てがもらえないのは残念やけど、休みなら休みで早く出発し、D友達宅でのランチパーティーに参加する予定。
Dは今、帰りの電車の中。どうせ明日も同じところに泊めてもらうのだから今夜も泊まれば?と提案してみたけど、何がなんでも帰ってきたかったみたい。Dはお腹が空いてないというので、私は先ほど一人でチキンを食べた。物寂しいクリスマスイブの夕食になったけど、この後帰ってくる人がいるという安心感があるので、そこまで悲壮感はない。D帰宅後、ワインを一緒に飲む予定。チーズと野菜でも切るかな。