5月 26日

2014-05-25 21:55:23 | Weblog
  長谷寺の展望台より由比ガ浜方面を望む              


           ( 夏の海・夏潮・夏の湖 )



夏潮に足浸けしのみ離島去る              栗田やすし


目に余る夏海なれば石擲(な)ぐる           沢木欣一


夏海を見下ろして木をゆすぶれる            細見綾子


夏潮にふぐりを摶たす孤島かな             秋元不死男


遠くより風来て夏の海となる               飯田龍太


城内に入り来て蒼し夏の湖               大峯あきら


国境といはれ夏潮あるばかり              稲畑汀子


坂東太郎ここより夏の海となる             須佐薫子


夏の湖いつもさかさに故郷うつす            宮坂静生


長濤を以て音なし夏の海                三橋敏雄






男鹿・寒風山展望台より日本海を望む


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5月 25日

2014-05-24 20:33:12 | Weblog
                   ( 朴の花 )



散華てふ哀しき言葉朴の花          栗田やすし


朴咲くや津軽の空のいぶし銀         沢木欣一


朴の花山気をほしいままの白         細見綾子


朴咲くや雲より馬車の来るごとし        大串章


日のみちを月またあゆむ朴の花         藤田湘子


走る霧よどむ霧あり朴の花           三村純也


朴ひらき大和に花を一つ足す          森 澄雄


朴の香を閉ざす山雨は又晴れて         稲畑汀子


朴ひらく故郷の山の名を知らず         岩田由美


木のかたちつつむ香りや朴の花         矢島渚男





        


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5月 23日

2014-05-22 19:50:46 | Weblog
             ( 睡蓮・ひつじ草・未草 )



石臼に今朝一輪のひつじぐさ              栗田やすし


睡蓮の瞳に狂院の石畳                 沢木欣一


すいれんの池にひき鳴き雨誘ふ             細見綾子


睡蓮の黄色ばかりや雪舟庭                林 徹


漣の吸ひ込まれゆく未草                 西村和子


睡蓮の蕾一寸法師ほど                  片山由美子


佐比売野のひつじ草とは浪き夢              田畑美穂女


睡蓮や鯉の分けゆく花二つ                松本たかし


山の池底なしと聞く未草                  稲畑汀子


睡蓮や目立の音に甕坐る                 秋元不死男








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5月 22日

2014-05-21 19:14:15 | Weblog
             ( 十薬・どくだみ )


盲ひの鵜十薬の辺にうづくまる                栗田やすし


十薬の根の長々と瓦礫より                  細見綾子


禅寺の東司どくだみ明りかな                  橋本榮治


墓群よりも十薬ひしと寄り合へる                石田波郷


どくだみを引けば艮薄曇り                   蓬田紀枝子


十薬や才気ささふるもの狂気                  鷹羽狩行


村中を墓にどくだみ花ざかり                  齋藤玄


十薬の白さこの世の捨て葉書                  鍵和田釉子


齟齬ありやどくだみ摘みしあとの指               内田美紗


十薬は逢魔が刻を点す花                    中島畦雨






八重どくだみ



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5月 21日

2014-05-21 00:49:51 | Weblog
                ( 鉄線花 )



鉄線花砂にこぼるる在原寺              栗田やすし


てつせん花新聞記者の賜ひたる            細見綾子


鉄線はわが好きの花五月来ぬ             星野立子


鉄線を活けて山風畳摶つ                林 翔


病みて夫常より強き鉄線花               岡本 眸


鉄線花うづ巻く蕊をのこしけり             正木ゆう子


鉄線の初花雨にあそぶなり               飴山実


花影を重ね夕べの鉄線花                深見けん二


鉄線を咲かせすぎ父細り居る              鍵和田釉子






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5月 12日

2014-05-11 21:13:39 | Weblog
           ( 蜜柑の花・花みかん )



みかんの花浪のしぶきの墓数基           細見綾子


漕ぎ出でて蜜柑の花の匂ふ島             岩田由美


花みかん野外映画に誘ひあふ             和田 祥子


神の山裾に香りて花蜜柑               飯塚やす子


みかん咲く火の車だがみかん咲く           坪内稔典


花蜜柑煙吐かざる汽車通る              嶋杏林子


駅降りてすぐに蜜柑の花の中             加倉井秋を


花みかん匂ふ淡さの母子星              田中みどり


一湾を日照雨駆け去る花蜜柑             増田 富子


網干せば網にこぼるゝ花蜜柑             小山寒子




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5月 11日

2014-05-10 21:03:02 | Weblog
             ( 桐の花・花桐 )



うす暗き母の病棟桐の花            栗田やすし


桐の花大学裏に住みつくか           沢木欣一


桐の花北国の空いつも支ふ            細見綾子


あを空を時の過ぎゆく桐の花           林 徹


花桐や川の中まで古戦場             加藤憲曠


花桐の加賀は幻濃きところ            宮坂静生


幻聴や高みにくらき桐の花            夏井いつき


桐咲いて雲は光のなかに入る           飯田龍太


桐の花阿蘇の棚田に水溢れ            富永小谷


花桐や朝刊の香を脇ばさみ            鈴木鷹夫


山桐の花のこぼれし蔵の町            川口 厚子


遺されし母はけむれる桐の花           鍵和田釉子









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5月 7日

2014-05-06 21:57:30 | Weblog
                ( 姫女苑・ひめぢよをん )



雪三筋残せし富士や姫女苑               栗田やすし


濁流の州に残りたる姫女苑               福田甲子雄


石塀に午後の窶れや姫女苑               岡本 眸


常の日のつねのかなしみ姫女苑             鍵和田釉子


渡船場へ石ころ道や姫女苑               下里美恵子


姫女苑摘みて供ふる殉教碑               国枝洋子


踏み切りに小さき祠や姫女苑              三井あきを


江戸開府よりの石垣姫女苑                村上秋嶺


くたびれて唾の甘さよ姫女苑               小川軽舟


汝にいま人語注がれ姫女苑                楠本憲吉




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5月 5日

2014-05-05 01:42:40 | Weblog
            ( 端午の節句・子供の日・菖蒲湯・鯉・武者飾り・粽 )


端午の日七味を買へる京の坂                栗田やすし


基地囲む青田青垣鯉幟                    沢木欣一


月おくれの端午の幟一茶の地                細見綾子


幸さながら青年の尻菖蒲湯に                 秋元不死男


相模野に端午の大凧あがりたり                滝沢伊代次


木の下にゐて木の色の子供の日               今瀬剛一


金扇に紅き日輪武者飾                     山口誓子







菖蒲湯や男の子ばかりを育てたる              野一広美


端午かな生家の棚に通箱                   鷹羽狩行


馬に乗る五月五日の子を抱え                 黒坂紫陽子


踏み込んで池ゆさぶりぬ子供の日               平井さち子


鏡戸の木目艶やか武者飾る                  佐藤とみお


子の帰国待つ文机に武者飾り                 矢野孝子














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5月 4日

2014-05-03 18:33:18 | Weblog
               ( 青葡萄・青ぶだう )


婚近き教え子と食ぶ青葡萄               栗田やすし


孤児の歯を抜いてついばむ青葡萄           沢木欣一


青ぶだうの中に一粒青錆びて              細見綾子


青葡萄律を正せしピアノの上               鷹羽狩行


青ぶだう山一重づつ暮れかかり              鍵和田釉子


葉の色と同じ色して青ぶだう               渡辺 しづ


子にだけは唄ふ父なり青葡萄               能村研三


雨粒のままに雨来て青葡萄                岡本眸


山ぐにの没日みじかし青ぶだう              太田邦武


青葡萄畠の中の城の窓                  大峯あきら


不揃ひにはじく雨粒青葡萄                小野とみゑ










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