( 木の実 )
土曜日,日曜日の朝の散歩で拾ってきました。
よろこべばしきりに落つる木の実かな 富安風生
しづけさを水に拡げて木の実降る 岡本まち子
一遍像光るまなこに木の実落つ 細見綾子
木の実にも器量よしあし拾ひけり 深見けん二
( 秋明菊・貴船菊 )
干傘が秋明菊をこぼしけり 高田洋子
片づけて秋明菊を挿しにけり 黒田杏子
長雨の皆下向きに貴船菊 寺田順子
観音の影のさまなる貴船菊 阿部みどり女
伊吹嶺 9月号より
火炎木咲いて青天貫けり 陳宝来
( 磯菊 )
磯菊の冬芽にとほき日の匂ひ 中澤愛
今日26日は随筆家、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の忌日。俳句では八雲忌と
されています。
八雲忌のヘルンはハーン谺せり 中原道夫
伊吹嶺 9月号より
天草を採るたび小舟傾ぎをり 只腰和子
( 草牡丹 )
昨日のの読売新聞の川柳に「何の日か分からなくなる五連休」という一句があった。
まさにその通り、幾らゆとりの社会を目指すと言えども、私にとっての敬老の日は
9月15日。そして昨日は秋分の日。何時しか季語も国会で決まり変わるのでは?
理系の多い内閣ならあり得るかもしれません。
今夜(23日)の秋田の酒は美味い。
杉玉の新酒のころを山の雨 文挾夫佐恵
一本は彼女の為の新酒かな 稲畑廣太郎
古酒の酔とまれといふに帰りけり 星野麦人
岩塩のくれなゐを舐め古酒を舐め 日原傳
濁酒に壮年の髭ぬらしけり 飯島晴子
どぶろくを酌むと燿う杉林 宇多喜代子
伊吹嶺 9月号より
スキップの園児の家路花ざくろ 佐久間寿子
( 山杜鵑・秋分の日 )
かすかなる山姥のこゑ杜鵑草 小檜山繁子
秋分の正しき没り日拝みけり 小原菁々子
秋分の正午の日ざし真向にす 菅裸馬
伊吹嶺 9月号より
ヘリコプター若葉揺らして着陸す 近藤めぐみ
( コスモス・秋桜 )
コスモスの花の上行く肩車 大高時子
コスモスを見てゐて無駄なこと思ふ 岡本眸
秋桜ブルドーザーを逃れけり 浜野ゆかり
娘をふたり生んだしあわせ秋桜 長浜聰子
伊吹嶺 9月号より
六月の空高々とブーケ舞ふ 藤田幸子
( 羽黒蜻蛉 )
紙漉川おはぐろとんぼ早や出でし 細見綾子
青田村おはぐろとんぼ迎へ出て 野澤節子
増えて来しおはぐろとんぼ水の上 三浦 つき子
伊吹嶺 9月号より
走り梅雨樺美智子の忌の近し 斎藤眞人