二輪草の群落
森の奥に日ざしうつらふ二輪草 奥田とみ子
朝森や吐息のごとき二輪草 石田あき子
昨日は桜満開の時期に連衆をなお二輪草の群生地にご案内できて
よかった まだ武蔵野の面影のある小さな森の一斜面、天上に四十雀の
囀りを聞きながらの吟行でした
二輪草はまだ一つ目の花も咲き揃っては無かったが、いざ二輪が咲き
揃うとその一面はまさに花筵のようなあかるさが広がる
この森は区が保護しているが群落地で植えられたものではない
それだけに自然の起伏のなかに溶け込んでいるのだろう
当初は草花での吟行句に連衆は苦労があるだろうと思ったのもなんの
連衆はそのロケーションをしっかりと捉え多くの佳句を授かった
掲句の2句、鑑賞するにも鉢植えの二輪草では納得がゆかなだろう
昨日ご一緒された連衆にはなるほどと思われるに違いない
句会の連衆の佳句はそれぞれの句会にまだ投句することもあり
ここにご紹介できないのが残念です
(写真は昨年の満開の時期のものです)
( 天城吉野桜 )
世の中は三日見ぬ間に桜かな 大島蓼太
まさにこの句にあるようなここ三日の景色である
週末に連衆をお連れする二輪草の群落地、植物園、東京大仏の
様子を見に行った 東京大仏の桜は今日が満開となった
色々な季節に拝する大仏様も桜が一番似会う
お顔が優しく見えるのも桜のせいだろうか
二輪草の群落地(赤塚公園 大門地区)の二輪草は全体の三割程度の
開花をしている 数百メーターの群落はいつもながら見事
ここに来る楽しみはもう一つ 様々な小鳥に会えること
今日はコゲラ、ジョウビタキ、シジュウカラ、オナガを見て その囀りを
楽しんだ 繁殖期なのだろう皆饒舌だ
赤塚植物園は春の草花の開花が一斉に始まった、木々も沢山の
花をつけてご案内するのに一番いい時期だろう
桜はもとより桃、杏、土佐水木、日向水木、利休梅、連翹、木瓜、
辛夷、四手辛夷、山茱萸、椿、馬酔木、郁子、通草、木蓮、玄海つつじ
草花は書ききれないほどの種類が咲きはじめた、なかでもカタクリ、
ナニワズ、いわうちわ、一人静、しょうじょうばかま、わらび、ぜんまい
など等、是非楽しんでもらいたい
興味を広げると俳句どころでは無いかもしれない
いずれにしても桜の花の下でのお弁当が一番の楽しみとなった
ヒヤシンスひしめき咲きて三株かな 星野立子
水にじむごと夜が来てヒヤシンス 岡本 眸
墨の香も孫に磨らせつ風信子 瀧井孝作
ヒヤシンス(風信子)紫の花言葉は「初恋のひたむきさ」
ひたむきにする事って最近ありますか?
人は何にでも習得力があり、そこから慣れが生れる
慣れたことは手際よくこなせ、実績を積む事ができる
しかし俳句ばかりではなく創作活動は慣れこそ落とし穴があり
慣れからは新しさが生れない
新しさとは表現であり、どんな時代でも「桜」への思いは誰も
類想だと思う、俳句という詩は誰でもがそう思うことを誰より早く
表現することで納得者を数多く得て佳作の評価を得るものだろう
ヒヤシンス・ヒアシンス・ひやしんす・ひあしんす・風信子・例えば
一行詩の中に花の名前一つ記す時にも細やかな感覚を持つ事が
大切な事だろうと思う そこから新しさが生れるかも知れない
一本がみつかり見えてくる蕨 湯浅辰美
懐かしい名前が今日のNHK俳句の特選句で紹介された、俳句を始めた頃
数年、句会にご一緒させて頂き、このブログにも当初は数句をご紹介しました
「沖」の大先輩で、落ちこぼれそうになった私にも言葉少なに励ましの言葉を
かけて下さった 主宰が変わり結社が時流に揺れても辰美さんの句の姿は
昔と変わらない 賀状のやりとりのお付き合いになってしまったけれど
こうして写生一本で背筋をピンと伸ばした辰美さんの姿が浮びました
投稿の句の健やかに木の芽時