11月 30日

2021-11-30 05:32:19 | Weblog
                       干大根・懸大根・大根干す


     干し大根海鳴りいつもそこで聞く        細見綾子


     母病んで掛大根に夕日濃し           栗田やすし


     柿若木枝しなはせて大根干す          清水弓月


     大根干す伊吹の風の通り道           栗田せつ子


     並べ干す大根匂ふ湖北晴            岸本典子


     田の中に干す大根の白さかな          矢野愛乃


     家護るごとく大根干されけり          渡辺慢房


     正ちやん帽被る農夫や大根干す         磯田秀治


     掛大根くの字くの字に干し上がり        篠田法子


     縁日に買ふ藁干の凍み大根           若山智子


     真つ青の笊に千切り大根干す          長江克江


     掛大根浜の風攻め天日攻め           ころころ



          



     海に向く干大根の丈短か            菖蒲あや 


     真白な干大根の一日目             太田土男


     一村が懸大根の中にあり            杉村義昭


     一茶記念館々長宅の掛大根           黒田杏子


     大根干す土蔵の紋の仮名一字          鍵和田釉子


     干大根日かげればすぐ風が吹く         大峯あきら


     すぐ翳る浦の入江や大根干す          石川文子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。オミクロンという新株のウイルスを近づけないように



     
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11月 29日

2021-11-29 05:54:09 | Weblog
                        冬紅葉・冬の紅葉


     冬紅葉一葉一葉と散り惜しむ        細見綾子


     地に触るるばかりや御所の冬紅葉      河原地英武


     日蓮の法難の地や冬もみぢ         武藤光晴


     冬紅葉木洩れ日受くるマリア像       鈴木みすず


     固閉ざす蓮如の寺や冬紅葉         小島千鶴


     冬紅葉午後の日ざしに透かしみる      大平敏子


     にごりえの褪せし原稿冬紅葉        伊藤登美江


     武家門の白壁に映ゆ冬紅葉         幸村富江


     禅堂の煤けし竈冬紅葉           中村あきら


     留守番の子に拾ひたる冬紅葉        大島知津


     昨夜の雨湛へ輝く冬紅葉          武藤けい子


     冬もみぢ紅を極めて散りにけり       坂本酒呑狸



          

          


     
     法臘は十三にして冬紅葉          瀬戸内寂聴     


     なお燃ゆる色を尽して冬紅葉        稲畑汀子


     一人にも動くゴンドラ冬紅葉        岡田順子


     冬紅葉糸切つて歯を確かむ         鍵和田釉子


     日の当る山がきまりて冬紅葉        鷲谷七菜子


     冬紅葉あらぬかたより日のさせる      久保田万太郎 


     冬紅葉擁かれつ蹤きつ女の身        石田波郷



          

          

          板橋区立赤塚植物園2021・11近影

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。オミクロンという新株のウイルスを近づけないように
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11月 28日

2021-11-28 07:21:10 | Weblog
                        マスク


          マスクは三冬の季語ですが、今年に入ってから春も夏も秋もそして冬も
          マスクが手放せない状況になってしまいました
          風邪・インフルエンザだけでなく新型コロナウイルスの感染をたった一枚の
          ガーゼ・布・不織布で減少させてくれます しっかり着けて自分を
          周りの人を第六波から守りましょう
 



     宝くじ売場にマスクして並ぶ        栗田やすし


     桃色の大きなマスク遅刻生         河原地英武


     挨拶をマスクの二人目で交はす       中山敏彦


     マスクして立ち読みしたり古本屋      与後玲子


     白マスクはづして母の咳き込める      丹羽康碩


     眉と目の賢く見ゆる児のマスク       服部富子


     終電車マスクばかりを吐き出せり      篠田法子


     マスクしてマスクの人に近づかず      小長哲郎


     マスクしたまま居眠りの三限目       荒深美和子


     女医さんの鼻を隠さぬマスクかな      兼松 秀


     マスクして駅長の目の良く動く       漆畑一枝


     マスクして敵の陣地に入る心地       ころころ



          



     咳こぼすマスクの中の貌小さし       吉田鴻司


     マスクしてゐても猫にはわかるらし     北川沙羅詩


     マスクして人に逢ひ度くなき日かな     稲畑汀子


     肝心な事言ふマスクはづしけり       石垣 弘子


     つき添ひの母の特大マスクかな       指澤紀子


     マスクして少年切に漫画読む        石塚友二


     マスクするたび耳朶は生え変る       宇多喜代子 



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです
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11月 27日

2021-11-27 05:40:21 | Weblog
                       返り花・帰り花・狂ひ花・忘れ花・狂ひ咲き


          帰り花(かえりばな)とは、11月頃の小春日和に、桜、梅、梨、躑躅などの草木が本来の季節とは
          異なって咲かせた花のこと。 ひとが忘れた頃に咲くので、「忘れ花」といった言い方もされる。
          「返り花」とも書き、「二度咲」「狂い咲」ともいう。 また、帰り花には、遊女が再び遊郭に勤めに出る
          意味もある「返り花」は元の状態に戻ることで「帰り花」は元の所に戻ること、上手に使いこなせれば
          句の詩情も広がるのでしょう簡単なようでなかなか奥深い季語ですね
          ( 知識はサイトからお借りしました )



     ぐみの木に返り花あり花川戸        細見綾子


     水戸公の二畳の書斎返り花         栗田やすし


     山の日の翳りやすさよ返り花        下里美恵子


     返り咲く桜ひと花一揆の地         上杉和雄


     補聴器の姉と筆談帰り花          上田博子


     摩文仁丘晴れて紋羽の返り花        松永敏枝


     埋門跡たんぽぽの返り花          掛布光子


     生かされて返り花めく余生かな       田畑 龍


     甲斐の武士果てしいくさ場返り花      神尾朴水


     写経堂百合一本の返り花          村崎妙子


     龍馬駆けし土手に桜の返り花        市原美幸


     湖北路や影うすうすと返り花        河村惠光



          



     帰り咲くつつじやさしや紅さして      山口青邨


     忘れ花わがマドンナも猫背かな       小原樗才


     石仏のねむき青天返り花          野見山ひふみ


     寺の茶の日向臭くて返り花         岡本 眸


     帰り花母の言の葉詩に近し         加藤知世子


     帰り花兄妹睦びあひにけり         安住 敦


     たしかなる老木の命返り花         下村梅子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです
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11月 26日

2021-11-26 05:34:51 | Weblog
                       蒲団・掻巻・蒲団干す


     蓮田より日にふくれたるふとん見ゆ     細見綾子


     海晴れて防潮堤に干し布団         栗田やすし


     蒲団干す姥捨山の真向かひに        都合ナルミ


     潮錆びの伊根の舟屋や布団干す       福田邦子


     路地の日の移り易さよ蒲団干す       関根切子


     明日嫁ぐ子の蒲団干す日和かな       若山智子


     干蒲団並ぶベランダ子沢山         小長哲郎


     朝市の川原隔てて布団干す         二村美伽


     ふとん干す佃の路地の行き止まり      幸村志保美


     日の匂ふ蒲団に寝落つ母の家        豊田紀久子


     旅籠屋の日当たる二階布団干す       江口ひろし


     家康を匿ひし寺布団干す          森 靖子


     出漁の船に仮寝の布団干す         篠田法子



          

          平林寺 干し座布団



     右左に子をはさみ寝る布団かな       杉田久女


     あるだけの布団ブロック塀に干す      右城暮石


     一枚は綿の片寄る干布団          飯島晴子


     母恋ふや蒲団の縫目撫でながら       岡本 眸


     村々を眺めて叩く冬布団          飯田龍太


     佐渡ヶ島ほどに布団を離しけり       櫂 未知子


     僧堂のたたみて薄き蒲団かな        佐藤うた子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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11月 25日

2021-11-25 06:47:03 | Weblog
                       冬桜・寒桜・緋寒桜


          冬咲く桜の事・冬桜は十二月から翌年一月にかけて咲く白色の一重咲きで木も小さい
          寒桜は緋寒桜のことで彼岸桜の変種という事です



     冬桜野の梅よりも疎なりけり        沢木欣一


     残花なほ小原の里の冬さくら        栗田やすし


     戦闘機低く飛ぶ町冬桜           国枝隆生


     冬桜淡々として影持たず          上田博子


     山林に一樹明るき冬桜           中山敏彦


     読経果て静もる寺や冬桜          牧 啓子


     咲き始めとも終りとも寒桜         小長哲郎


     冬桜一閑張の盆の艶            安藤幸子


     紅濃ゆき緋寒桜や瞽女の墓         夏目悦江     


     冬桜咲きて天守の影やさし         金田義子


     秩父路の札所巡りや冬ざくら        花村すま子


     一山を薄桃色に冬桜            河井久子




          



     涵徳亭はや灯点りし冬桜          清崎敏郎


     冬桜三十畳を拭きあげて          夏井いつき


     冬桜海に日の射すひとところ        岸田稚魚


     母癒えて言葉少なや冬桜          岡田日郎


     古きよき厠のにほひ冬桜          小川軽舟


     舞うほどの花びら持たず冬桜        宇咲冬男


     寒桜鰤寄る潮のうちかすみ         水原秋櫻子



         

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         マスクの着用を。あと少しです



     
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11月 24日

2021-11-24 05:55:01 | Weblog
                       枯蓮・蓮の骨・枯はちす


     鰻田につづく蓮田の枯れ尽くす          栗田やすし


     夫婦住む平穏小池蓮枯らし            細見綾子


     暖かき枯蓮の色日暮れても            沢木欣一


     夕ぐれの風吹けば鳴る蓮の骨           下里美恵子


     山積みの蓮の骨焚く輪中村            国枝隆生


     蓮枯れて水面の空の細切れに           伊藤範子


     枯蓮田この静けさの身に及ぶ           鈴木みや子


     城堀に枯れ初めにけり蓮の骨           大平敏子


     風に鳴る音の乾けり枯蓮             河村恵光  


     枯蓮を焚く火走れり立田村            金原峰子


     病み臥して聞く枯蓮の折るる音          森 靖子


     枯はちす音符のやうな影ゆるる          小澤明子



          



     枯蓮のうごく時きてみなうごく          西東三鬼


     蓮の枯極まる朱き浚渫機             岡本 眸


     幾百を刺さつて抜けず枯蓮            木村日出夫


     蓮枯れて何でも映る水のいろ           黒田杏子


     薬師寺や破れぬまゝに蓮枯るゝ          松藤夏山


     蓮枯るる弁才天は燭あまた            山口青邨


     氷るには美しかりし蓮の骨            吉田鴻司




          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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11月 23日 勤労感謝の日

2021-11-23 06:39:05 | Weblog
                        一葉忌・樋口一葉の忌日

          小説家・歌人として明治期に活躍した樋口一葉(1872~1896)の忌日
          母と妹を養いながら小説家として立つ決意をし、半井桃水の指導を受けながら、
          『闇桜』『たま襷』『別れ霜』『五月雨』などの小説を執筆した。
          『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』など今も読み継がれる作品や多くの和歌を
          残している。本名 奈津 24歳8か月の短い生涯でした



     荷札小さき古本届く一葉忌            栗田やすし


     一葉忌暗き三和土のしみ抜き屋          矢野孝子


     百円で甘酒飲めり一葉忌             栗田せつ子


     水仙のやはらかに伸ぶ一葉忌           鈴木みすず


     竹筒に禿びたる小筆一葉忌            佐藤とみお


     売薬の薬入れ替ふ一葉忌             荻野文子


     赤錆びし炭火アイロン一葉忌           横森今日子


     路地裏を子猫横切れり一葉忌           鈴木真理子


     路地裏の厨点せり一葉忌             神谷洋子


     本郷の古書店のぞく一葉忌            牧 敬子


     一葉忌すとんと暮れて飯が噴く          鈴木みや子


     一葉忌母にまだある糸切り歯           ころころ



          



     歌反古もおろそかならず一葉忌          水原秋櫻子


     霧の香のなかの菊の香一葉忌           飯田龍太


     頼まれし妻の足袋買ふ一葉忌           福永耕二


     酒すこし甘しと思ふ一葉忌            有馬朗人


     惜しまれて消ゆる銭湯一葉忌           吉田京子


     昏れ際の露地に豆腐屋一葉忌           菖蒲あや


     廻されて電球ともる一葉忌            鷹羽狩行



          

          一葉が18歳から21歳まで住んでいた本郷菊坂に生活用水として使っていた井戸
          一葉井戸と呼ばれています
          今日は勤労感謝の日なにか一葉忌と通じるものを感じます



        母のエプロン壁に勤労感謝の日           朝倉和江
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11月 22日

2021-11-22 05:59:46 | Weblog
                       短日(たんじつ)・日短か・暮れはやし


     書を売れば短日のひざし街を去る      沢木欣一


     短日の暮れはじめてははたと暮れ      細見綾子


     短日や一書を探しあぐねをり        栗田やすし


     客死せる画家の手紙や暮早し        河原地英武


     短日や葉書一日持ち歩く          都合ナルミ


     捨つる書を決めかねてをり日短し      磯田なつえ


     暮早し伊勢辰で買ふ小巾着         武藤光晴


     短日や仕舞ひ忘れし竹箒          伊藤旅遊


     紐引けば木偶のふり向く日短か       鈴木みや子


     短日の路地に来てをり豆腐売        梅田 葵


     母恋ひのジャガタラ文や日の短か      平松公代


     即身仏見て短日の山下る          ころころ



          



     紙漉を見て彳めば暮早き          富安風生


     うなぎやの奥の小部屋の日短き       車谷 弘


     短日のづしりとすわる土間の臼       石原舟月


     手毬買ひ旅の越後は日短し         中山純子


     もう雨戸締めねばならず日短か       吉屋信子


     ねこ舌にうどんのあつし日短か       久保田万太郎


     暮早し機関車刻々黒さ増す         永田耕一郎



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
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11月 21日

2021-11-21 05:51:36 | Weblog
                       寒し・寒気・寒冷・寒き日・雨寒し


     朝寒の大き足音牛乳来る          沢木欣一


     玉虫の瑠璃色きよき寒さかな        細見綾子


     糶牛に見据ゑられたる寒さかな       栗田やすし


     休講の貼紙多き寒さかな          河原地英武


     母の名を墓碑に加ふる寒さかな       下里美恵子


     日落ちて寒さ一気や大砂漠         都合ナルミ


     採血の針刺し直す寒さかな         兼松 秀


     図書室の書架のはざまの寒さかな      伊藤旅遊


     通夜終へて寒さ背に来る路地伝ひ      内田陽子


     友の訃のメールで届く寒さかな       山本正枝


     事故処理の警笛寒き交差点         安藤幸子


     朝寒や起きよと顔を撫づる猫        武藤けい子



          



     つくばひに笹の葉沈み伊賀寒し       鍵和田釉子


     野施行の山影寒きところまで        福永耕二


     口を閉じ寒し寒しのほか言わず       宇多喜代子


     山姥が塩買ひにくる寒さかな        大石悦子


     まのあたり地かげりゆく寒さかな      八木絵馬


     闇寒し光が物にとどくまで         小川軽舟


     万葉の古都の寒さもなつかしく       稲畑汀子



          

          すべての規制が緩和されつつあります、ひきつつづき油断せず手洗い、うがい、
         マスクの着用を。あと少しです



     
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