令和元年 5月 1日

2019-04-30 14:47:20 | Weblog
                    五月・皐月・聖五月


      「初春の月にして、気淑く風ぎ、梅は鏡前の粉を披き、
       蘭は珮後の香を薫す」
      『万葉集』巻五、梅花の歌三十二首序より

      いよいよ令和は初夏五月からスタートです


     赤ん坊掌より五月の朝動く           沢木欣一


     君がため五月を薔薇の咲きこぞる        細見綾子


     五月来る小瓶の化粧水澄みて          栗田やすし


     花嫁のゑくぼ光れり聖五月           福田邦子


     若冲の樹花鳥獣図聖五月            夏目悦江


     五月来るオールの飛沫光らせて         中野一灯


     聖五月パンを焼く香に目覚めをり        鈴木みすず


     羊刈るバリカンの音五月来る          武田稜子


     胸薄き少女の像や聖五月            奥山ひろみ


     江ノ島の潮路明るき五月かな          森垣昭一


     聖五月龍馬の墓所に千羽鶴           巽 恵津子


     廊下まで響く産声聖五月            桑原健次


     よく歩く東京の人風五月            伊藤範子  


      




          
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4月 30日

2019-04-29 15:56:07 | Weblog
                  四月尽  <平成尽>




     四月尽出しそびれたる文一つ           栗田やすし




     薔薇植ゑし手足のよごれ四月尽          細見綾子




     文机に陀羅尼助丸四月尽             磯田なつえ




     青邨の下図緻密や四月尽             中川幸子




     四月尽だらだら坂を試歩の杖           武藤光晴




          



     あまき音のチェロが壁越し四月尽         秋元不死男


     虎杖をむかし手折りぬ四月尽            石田波郷


     四月尽く抽斗深く真珠秘め             菖蒲あや


     わが書屋わが掃き坐り四月尽            亀井糸游




          

           一位の花


   ☆ 昭和で始めた俳句がいよいよ平成を渡り令和の時代に入ります
     お陰様でこのブログも開設から今日で4996日です
     俳句同様途中何度も挫折しても素晴らしい師・仲間・先輩の
     励ましで復帰出来ました ありがとうございました
     これからも拙いブログと拙い俳人をよろしくご支援ください

   ☆ 久しぶりに3月4月と良き仲間と吟行ができました
     数句は投句の為にお披露目できませんが・・・

     深川
     花を待つ忠敬像の旅姿
     ともらひに鳶の木遣りや花の空
     芽柳の堀をへだてて佃島

     川越
     花冷えを来て満願の朱印帳
     竹秋のすずめ饒舌羅漢寺
     神木の裾むらさきに菫草
     さくら蕊関守石に降りやまず
     掻い掘りの底の干割れや諸葛菜
     観音に一位の花の盛りかな

  感謝して  こころ

     
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4月 29日

2019-04-28 18:17:55 | Weblog
               鉄線花・クレマチス<園芸品種>・てつせんかづら




     一葉の路地一輪の鉄線花             栗田やすし




     てつせん花新聞記者の賜ひたる          細見綾子




     大八の輪に鉄線のからみ咲く           山下護




     垣越して風ともみあふ鉄線花           清水弓月




     嵐去り鉄線の花野放図に             高橋幸子




     鉄線の花幾鉢も寡婦の家             武藤光晴




     牧水の遺愛徳利や鉄線花             上田博子




     鉄線花藍工房の垣のぼる             伊藤範子




     晴れてほ空の重たく鉄線花             山 たけし




          



     鉄線を活けて山風畳摶つ              林 翔


     鉄線花うづ巻く蕊をのこしけり           正木ゆう子


     鉄線花住む人あらず咲きにけり           谷川八重子


     鉄線の花空中に遊び咲く              高木晴子
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4月 28日

2019-04-27 18:02:14 | Weblog
              卯の花・空木の花・箱根うつぎ・谷うつぎ・梅花うつぎ




     卯の花や白川郷へ橋一つ             栗田やすし




     朝霧の晴れて山見ゆ花うつぎ           細見綾子




     虚子へ向く立子の墓や花卯木           熊澤和代




     峠路にまぶしき白さ花うつぎ           内田陽子




     卯の花や釣瓶井残る生家跡            佐藤とみお




     喪に籠る雨の一日や花卯木            利行小波




     九頭竜に沿ひたる山路紅うつぎ          金田義子




     卯の花や板張り粗き外厠             武藤光晴




     水の鳴る木橋のほとり花空木           田畑 龍



          


          谷うつぎ


     谷ゆけば硫黄こぼるる花卯木            秋元不死男



          


          梅花うつぎ


     梅花卯木とはいみじくも呼びなせる         富安風生



          


          箱根うつぎ



     卯の花のころや沖には鰹潮             森澄雄
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4月 27日

2019-04-26 14:25:14 | Weblog
                 藤の花・藤棚・白藤・山藤・藤房




     天心にゆらぎのぼりて藤の花           沢木欣一




     藤はさかり或る遠さより近よらず         細見綾子




     北上のゆるき流れや藤の花            栗田やすし




     山藤の蔓のおどろに立ちすくむ          梅田 葵




     藤の雨人づてに知る師の病            玉井美智子




     地を均す補欠の球児藤の花            荒川英之




     藤伝ふ町家格子の深庇              小原米子




     山藤や化石生家へ橋渡る             中村たか




     髪に触れ九尺藤の濃く匂ふ            森 靖子




     山藤や白雲一つ浮きし空             武藤光晴




     御岳の風に色濃し藤の花             長江克江




     母のせて藤棚へ押す車椅子            松島のり子




     藤浪の甘き香りや転た寝す            松永敏江 




          



     反橋や池を巡りて藤の棚              政岡子規


     尼僧きて藤のむらさきくもりけり          秋元不死男


     島の藤漁網うち懸けたるごとし           阿波野青畝


     窓遠き逗子や炭屋に藤垂れて            飯田龍太


     修験道ゆるめて山の藤咲けり            百合山羽公




          
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4月 26日

2019-04-25 15:24:35 | Weblog
                杜若・燕子花・白かきつばた




     天然の風吹きゐたりかきつばた          細見綾子




     綾子亡し風と遊べるかきつばた          栗田やすし




     かきつばた男川女川のひゞき合ふ         下里美恵子




     戒壇を叩く雨粒かきつばた            金原峰子




     綾子師と吹かるる心地かきつばた         熊澤和代




     咲き揃ふ花びら重き杜若             内田陽子




     かきつばた触れ合ひて色濃くしたり        鈴木真理子




     雲映す流れかそけし燕子花            宇田鈴枝




     産卵の鮒が揺らせり杜若             中本紀美代




     池の面の光やまずよ杜若             利行小波




          



     残花なりしが業平のかきつばた           能村登四郎


     さざなみや弥陀階前の燕子花            水原秋櫻子


     蓬莱も比良も雲中かきつばた           鷲谷七菜子


     花どきの水のふくらみかきつばた          鷹羽狩行


     雨の日の庇は長し杜若               古舘曹人 




          
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4月 25日

2019-04-24 13:39:28 | Weblog
                  芍薬・玉芍薬・糸葉芍薬




     紙漉くや玉芍薬を窓にして(京都府黒谷)      細見綾子




     芍薬を抱くほど剪りて妻戻る           丹羽康碩




     散り際の芍薬の芯萌黄色             平松公代




     山からの風に芍薬首振れり            中村修一郎




     芍薬を活けて一日香の中             鈴木真理子




     木の臼に芍薬活くる紙問屋            兼松 秀




     芍薬が咲いたと母へひとりごと          松平恭代




     芍薬の蕾ほぐれて虫出づる            中山 ユキ




          


          玉芍薬



          


          糸葉芍薬



     塗桶に芍薬のまだ珠ばかり             能村登四郎


     芍薬や月山拝む山の邑               水原秋櫻子


     枕もと白芍薬の珠凝りて              山口青邨


     芍薬にはねたる泥の乾きゐる            富安風生




        
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4月 24日

2019-04-23 17:17:16 | Weblog
               薔薇・花薔薇・蔓薔薇・白薔薇・薔薇園<季=夏>




     背を曲げて古寺の路傍の薔薇を嗅ぐ         沢木欣一




     深き息せむ夜の粗ら壁に薔薇さして         細見綾子




     バラ園のホースの水を天に放つ           栗田やすし




          



     ベンチ去る女のあとに薔薇の風           梅田 葵


     薔薇の門くぐる画集を繰るやうに          米元ひとみ

 
     ひとり居に一人のリズム薔薇の花          井沢陽子


     薔薇の雨立子の小さき硯箱             伊藤範子


     壺の薔薇おおきくゆれし昼の地震          牧野一古


     朝摘みし花匂ひ立つ薔薇の風呂           服部達哉


     ペルシャ猫見ゆる出窓や薔薇屋敷          千葉ゆう


     たそがれといふ薔薇淡きすみれ色          小柳津民子


     口ずさみ薔薇園巡る車椅子             神尾知代


     仏間にも薔薇活け母へ香を分つ           桜井節子


     落日の光に薔薇の透きとほる            漆畑一枝


     雨近き庭の白薔薇剪りにけり            水野時子


      


          



     バラを挿し眠る一家に嗅がせたり           秋元不死男


     パン屋の娘気安く薔薇を呉れにけり          阿波野青畝


     その国の子が出て薔薇の大使館            鷹羽狩行


     少女美し薔薇もチョコレートも売れる          安住敦



         



         
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4月 23日

2019-04-22 14:50:06 | Weblog
              あやめ草・菖蒲・白菖・文目・白あやめ 




     あやめ見にゆくと女等裾つらね           細見綾子




     白菖蒲風の離れるときゆらぐ           沢木欣一




     母の文途絶えて久し白菖蒲            栗田やすし




     軍服の父の遺影や白あやめ            小田和子




     花あやめことばやさしき八瀬の宿         児玉美奈子




     抽んでて夕鶴といふ白菖蒲            森 靖子




     川風に睦み合ひたり花あやめ           武藤光晴




     花あやめ土手に子の声よく透る          池村明子




     サッパ舟往き交ふ水路花あやめ          坂本操子




     花あやめ手術控へし友見舞ふ           松平恭代




          



     旅かなし紫あやめ野に咲けば            富安風生


     月光に花びら傷め白あやめ             岡田日郎


     あやめ草誰と知られぬ戀をして           筑紫磐井




          


           三寸あやめ
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4月 22日

2019-04-21 14:42:06 | Weblog
                 桜草・プリムラ・乙女桜




     桜草買ふ干拓地巡り来て           栗田やすし




     さくら草一葉井戸の錆袋           佐藤とみお




     桜草咲きて日差しの柔らかし         天野アイ子




     ベランダに母咲かせたり桜草         小島千鶴




     漁師町小さき茶房に桜草           白鳥光枝




     介護士のやさしき問ひやさくら草       清水聡子




     婚の荷の着く庭桜草あふれ          久野和子




          



     プリムラや給水塔は風の中           石田 波郷


     夜の部屋に日向の色の桜草           片山由美子


     プリムラや眩暈のごとく昼が来て        岡本眸


     咲き満ちて庭盛り上る桜草           山口青邨


     売らるゝと知らで咲きけり桜草        正岡子規

     
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