9月 30日

2017-09-30 04:24:55 | Weblog
            (  むかご・零余子  )



蔓引けば顔に落ち来しむかごかな         細見綾子



ふだん着の師より給はる零余子飯         栗田やすし



露膨れむすびこぼるゝ零余子かな          阿波野青畝



初むかご供へて句碑に語りかく          倉田信子



師の忌日こぼさぬやうに零余子摘む        長江克江



朽葉ごと袋にもらふ零余子かな          河原地英武



大かたは取りこぼしたる零余子かな        菊山静枝



山城の堀切り跡や零余子蔓            山本悦子



父のこと母と語るや零余子飯           辻江けい



山盛りの零余子艶やか道の駅           小里育湖




零余子蔓絡む陣馬の馬防柵            服部鏡子


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9月 29日

2017-09-29 03:32:30 | Weblog
            (  栗・毬栗・虚栗・栗拾・笑栗  )


満願寺仔猿飼はれて栗食めり          栗田やすし



頂上に子と来て若き栗のいが          沢木欣一



家裏の栗落つ音の昔のまゝ            細見綾子



山びこのひとりをさそふ栗拾ひ          飯田蛇笏



笑栗を置けば艶めく綾子句碑          梅田 葵



毬入れて武蔵の栗の届きたり          松本恵子



一袋焼栗買へり夜の駅             河原地英武



毬栗を掌に転がせて句碑訪へり         国枝洋子



毬栗の青きまま落つ不破の関          清水弓月



栗飯や村の名消えし父の郷           菊池佳子



近づけば城の隠るる栗拾ひ           櫻井幹郎



毬栗や冠者顔して木曽に入る          吉田鴻司



山栗や少年の日の土の橋             鷹羽狩行


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9月 28日

2017-09-28 03:41:47 | Weblog
           (   秋の灯・秋灯・灯下の秋  )



啄木の間借りの二階秋ともす          栗田やすし



愛情や秋灯いずれも格子中           沢木欣一



秋の灯のほつりほつりと京の端          日野草城



秋灯や行李の底に母子手帳           武田稜子



秋の灯に影あはあはと女身仏          国枝隆生



紅型の栞のぬくみ秋ともし           伊藤範子



背を丸め日記書く子や秋灯下          太田滋子



紅殻の格子より漏る秋ともし          武藤光晴



秋灯生涯学ぶ側にゐて             櫻井幹郎



秋ともしガレの花瓶のまろき肩         鈴木みすず



古書店の床板きしむ秋燈下           河原地英武



訪ふ人に子規堂秋の灯を入るる          轡田幸子



声かけてともす秋燈母は亡き           古賀まり子
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9月 27日

2017-09-27 03:30:13 | Weblog
             (  木犀・金木犀・銀木犀  )



金木犀風の行手に石の塀              沢木欣一



木犀の匂へる宿の能登飯田             細見綾子



木犀の風やはらかし産着干す            玉井美智子



金木犀ほろほろこぼる通学路            遠藤斎子



板塀を越えてこぼるる銀木犀            小島千鶴



金木犀かをる町屋の奈良格子            石川紀子



薬師寺を出て木犀の香を浴ぶる           二村満里子



木犀の風吹き抜くる杓子庵             矢野愛乃



木犀の散り敷く薩摩義士の墓            角田勝代



木犀や夕じめりたる石だたみ            芥川龍之介



山麓の百年の家銀木犀                坪内稔典




銀木犀


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9月 26日

2017-09-26 05:02:59 | Weblog
             (  萩・白萩・こぼれ・萩の宿・萩の花  )


   9月16日~10月1日まで向島百園では萩まつり開催中です
   園内では茶会(野点)、俳句、短歌の投句、草笛教室、新内流し などのイベントがあり
   秋の七草を園内ガイドとともに堪能できると思います



暗がりに子規の小机萩咲けり             栗田やすし



驟雨来て瑠璃岩盤に萩散りぬ             沢木欣一



白萩の触るるたび散る待ちて散る            細見綾子



大寺の渡り廊下や萩の風               鈴木みすず  



筆となる鹿毛の温み萩の花              栗田せつ子



岸突いて出る棹舟やこぼれ萩             八尋樹炎



西行の井戸のにごりや萩の雨             矢野孝子



丹波いま萩咲く頃か空青し              下里美恵子



湯田中へ通ひし一茶萩の花               伊坂壽子



幾重にも山車の轍や萩の辻               高橋悦子



白萩のまことに白き師の忌日              長江克江



風抜けて萩のトンネル膨らみぬ             こころ



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9月 25日

2017-09-25 04:01:45 | Weblog
             (  稲刈り・田刈、収穫・稲車・稲束  )



風生れて大和の稲田刈り急ぐ          栗田やすし



水漬く稲陰まで浸し農婦刈る          沢木欣一



山水を引きて稲刈鎌をとぐ           細見綾子



稲を刈る母の鎌音確かなる           幸村志保美



稲刈つて輪中の空のがらんどう         国枝隆生



堂守の稲刈りゐたり渡岸寺           中村たか



田を刈りし足跡深き千枚田           小田智子



稲を刈る畦にいびつの大薬缶          大橋 良



稲刈って鳥入れかはる甲斐の空         福田甲子雄



降り止まぬ雨に重たき稲を刈る         瀬戸 十字



稲束を抱き学童に声をかけ           西村和子
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9月 24日

2017-09-24 03:32:05 | Weblog
                (  草紅葉  )



御嶽の噴煙はるか草紅葉            栗田やすし



良寛の辿りし峠草紅葉             沢木欣一



草もみぢ一図な道を火口湖へ          細見綾子



草紅葉七戸の守る平家村            奥山比呂美



草紅葉燃ゆ長瀞の岩畳             坂本操子



草紅葉ヤクのチーズを吊し売る         井沢陽子



馬つなぐ石は真ん丸草紅葉           江口ひろし



ぼた山の形変らず草紅葉            齋藤真人



草もみじ碧の句碑の字読み切れず        神尾朴水



貝塚に火を焚きし跡草紅葉           荻野文子



湖の波寄せて音なし草紅葉            深見けん二



晴天や水の中まで草紅葉             今瀬剛一
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9月 23日 (秋分)

2017-09-23 02:43:12 | Weblog
             (  芋・衣被・里芋・芋の秋・芋畑・芋水車  )



粒選りの子芋ばかりを届けらる          栗田やすし



里芋の赤芽大吉丹波から              大石悦子



芋水車水を叩いてよく廻る             野見山朱鳥



洗ひ場の程よき流れ芋洗ふ            磯田なつえ



衣被つるりと妻に言ひ負けて           櫻井幹郎



衣被指三本で押し出せり             兼松 秀



菊坂の露地の一隅芋育つ             石川紀子



芋洗ふ水車のひびき山暮るる           中本紀美代



故郷の土の匂ひの衣被              渡辺慢房



穏やかな峡の日差しや芋洗ふ           山本法子



忘れたる頃に汽車来る芋の秋           大峯あきら



芋の露連山影を正しうす             飯田蛇笏
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9月 22日

2017-09-22 04:12:29 | Weblog
               (  無花果  )



まだ青き無花果に触れ田舟過ぐ        栗田やすし



家探す薄暮無花果小指ほど          沢木欣一



いちじくの家に急ぐに雨降り来        細見綾子



無花果を手籠に旅の媼どち          飯田蛇笏



口中に解ける無花果大夕日          山 たけし



窓越しに庭の無花果祖父に見す        工藤まみ



無花果の匂ふ路地来て朝のミサ        玉井美智子



無花果の風や仔牛の耳動く          鈴木真理子



葉にのせていちじくを売る朝の市        八巻絹子



うつくしき無花果むざと割りくるる        辻桃子



無花果や八百屋の裏にまだ青し         正岡子規



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9月 21日

2017-09-21 04:06:39 | Weblog
             ( 藪からし・貧乏蔓  )



藪からし枯れてゆく時みやびやか         細見綾子



月の出て蔓先潤ふ藪からし            岸田稚魚



藪からし振り捨て難く村に住む          百合山羽公



猫多き陶器の街や藪枯らし            田畑 龍



藪枯らし絡む陣馬の馬防柵            服部鏡子



孔子像の裾に茂れり藪枯らし           武藤光晴



生垣の貧乏かづら引きおろす           竹中和子



木喰の里静まれり藪からし            石原進子



筏師の小屋にすがれり藪からし          鈴木真理子



藪からし石切の棲む石の谷             下田稔



古池のはたと日暮るる藪からし           上林孝子
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