11月 1日

2020-10-31 15:42:05 | Weblog
                        十一月


     峠見ゆ十一月のむなしさに         細見綾子


     師の句碑に十一月の日差しかな       栗田やすし


     川筋に十一月の月明り           江口ひろし


     癒えし実に十一月の滝ひびく        栗田せつ子


     師は逝くけり十一月の鵜鋭声        片山浮葉




          



     少女の素足路地へすつ飛ぶ十一月      能村登四郎


     二の丸へ十一月の女坂           廣瀬直人


     何となく煙たく十一月なりけり       岡本 眸


     コート買ふ十一月の旅のため        西村和子


     帽子やや目深に十一月の旅         鷹羽狩行


     今日よりは十一月の旅日記         星野立子


     はきはきと十一月の雨蛙          日野草城



          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 31日

2020-10-30 13:44:22 | Weblog
                        ハロウィン・万妖祭・万鬼祭


          ハロウィンとは毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭のこと。
          現代では特にアメリカ合衆国で民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いは
          ほとんどなくなっている。カボチャの中身をくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を
          作って飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったり
          する風習などがある
          (これは内緒ですが数年前に山手線で朝帰りの魔女に逢った事が有ります)



     ハロウィンの悪魔のしつぽもげてをり       関根切子


     ハロウィーン魔女の分厚きつけまつげ       金原峰子


     ハロウィーンのかぼちや笑へる駅の花舗      中山敏彦




          



     キャラメルの函の天使やハロウィン        星野 麥丘人


     ハローウィンの仮面吊して英語塾         梅原富子


     ハロウィン来る子に持たす袋菓子         松崎鉄之介


     担任に似たる南瓜やハロウィーン         山火律子


     ハローウィンの魔女へ天使へ舞ふ木の葉      中村悦子


     ハロウィンの南瓜パレード港町          古賀まり子




          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 30日

2020-10-29 13:34:50 | Weblog
                        障子貼る・障子入れる・襖入れる・障子替える


     禅寺の大障子張る雨の日に           細見綾子


     障子貼り替へし座敷に碧の軸          栗田やすし


     障子貼る朝より風のなき日和          下里美恵子


     山の日を集めて峡の障子貼り          藤田岳人


     声ひびく仏間の障子張り替へて         岸本典子


     二人居や不器用に貼る白障子          武藤光晴


     茅屋根にやはらかき日や障子貼る        井沢陽子


     貼りたての障子明かりに嬰寝かす        久野和子


     貼り終へし障子にぬくき入日かな        幸村志保美


     貼り替へし雪見障子に鳥の影          高木佐知子


     障子張り蛹のやうに眠りけり          八尋樹炎


     谷川の音を遠くに障子貼る           高橋幸子



          



     相睦ぶ薄きへだての障子貼る          林 翔


     貼り替へし障子の中に寝過しぬ         菖蒲あや


     障子貼るひとり刃のあるものつかひ       橋本多佳子


     ささやかな幸逃さじと障子貼る         朝倉和江


     親鸞の話障子を貼りながら           関戸靖子


     月を待つ如く貼り終へたる障子         今瀬剛一


     話しつつ妻隠れゆく障子貼           白岩三郎




          
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 29日

2020-10-28 13:15:26 | Weblog
                         茶の花・花茶 < 季=冬 >


     日を恋ふるこれからか茶の花を挿し       細見綾子


     茶の花に届きてゐたり窯の影          栗田やすし


     茶の花のほつほつ咲いて事無き日        下里美恵子


     茶の花が咲けり芭蕉の故郷塚          小島千鶴


     茶の花のほのと香れる宇治の寺         松平恭代


     夕闇の迫りて白しお茶の花           中山ユキ


     茶の花や旗屋に墨の匂ひ立つ          服部鏡子


     茶の花や絵馬剥落の舞楽殿           近藤文子


     茶の花や淡き朱唇の観世音           大島知津


     茶の花の咲きつぐ垣や尼の寺          廣島幸子


     茶の花や打ち解けやすき湯治客         朝比奈照子



          



     茶の花も崖も静かにこぼれゐる         水原秋櫻子


     八つどきの炉火のちらつく花茶かな       芝不器男


     午後は雨茶の花日和つゞかざる         稲畑汀子


     茶の花にほのとゆくての夕がすみ        飯田龍太


     蝶低くさらに低きをお茶の花          渡辺桂子


     茶の花の金を沈めて垣低し           今井千鶴子


     茶の花に押しつけてあるオートバイ       飯島晴子



          
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 28日

2020-10-27 13:13:01 | Weblog
                        新松子・松ぼくり・松ふぐり・青松笠


     句碑の松松ぼつくりも落すなり         細見綾子


     人気なき誓子の浜や新松子           栗田やすし


     新松子潮の香りの浜通り            中村修一郎


     御油赤坂結ぶ街道新松子            小長哲郎


     新松子飛騨の陣屋の空ま青           岸本典子


     信長に焼かれし寺や新松子           金田義子


     新松子浜に誓子の住まひ跡           奥山ひろみ


     曲水のかそけき音や新松子           高橋ミツエ


     磯風の海女の祠に新松子            野島秀子


     新松子都大路の空に映ゆ            牧 啓子


     大きかり誓子の浜の新松子           廣島幸子


     松ぼくり破風に翳して神楽殿          神尾朴水


     潮風に吹かれて青し新松子           不破志づゑ


     新松子灘風匂ふ源平碑             巽 恵津子



          



     将門の首を洗ふや新松子            角川春樹


     すこやかに青松笠に父母のゐて         瀧澤伊代次


     蚶満寺海鳴り響く新松子            佐藤トミ


     松ぼつくり百年のちの晴れた日に        有住洋子


     新松子夫の手鋏鳴りやまず           小林弘子


     霞より猫の持て来し松ぼくり          村越化石


     新松子雨の明るき一の宮            内藤恵子



           
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 27日

2020-10-26 14:00:16 | Weblog
                        枇杷の花 (季=冬)


     妹病めりガラス戸越しの枇杷の花      沢木欣一


     歳月の屋根のなだれを枇杷咲けり      細見綾子


     咲き満つと言へど淋しき枇杷の花      小長哲郎


     寺屋根に緑青浮けり枇杷の花        清水弓月


     枇杷の花久女の里の昏れはやし       栗田せつ子


     寄木屋の木屑の匂ひ枇杷の花        国枝洋子


     ふるさとの路地に迷へり枇杷の花      矢野孝子


     枇杷咲くや松陰引かれゆきし道       富田範保


     車なき島の暮らしや枇杷の花        斉藤陽子


     火袋に隠し十字や枇杷の花         廣島幸子


     一葉の柔き筆あと枇杷の花         武藤光晴


     明治より続く醫院や枇杷の花        中根多子


     枇杷の花荷役揃ひて体操す         野島秀子




          



     病む妻に嘘いくつ言ふ枇杷の花       能村登四郎


     遠ざけし人恋ふ枇杷の咲きてより      鷲谷七菜子


     枇杷の花らしからぬこの純白は       夏井いつき


     鉄橋の影が白洲に枇杷の花         飯田龍太


     あらそひの古文書ばかり枇杷の花      大島民郎


     無住寺に人来る日あり枇杷の花       大峯あきら



          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 26日

2020-10-25 17:22:35 | Weblog
                        石蕗の花・つはぶき<季=冬> 


     石蕗卑し湯屋の煙の一すじに          沢木欣一


     石蕗咲いて母亡き庭を明るくす         栗田やすし


     石蕗の花の大株昔のまま            細見綾子


     石蕗咲いてぬくき日差しの二三日        下里美恵子


     分校は介護施設に石蕗の花           田畑 龍


     徳川の蔵書の匂ひ石蕗の花           栗田せつ子


     石蕗日和窯小屋で聴くジャムセッション     矢野孝子


     将棋さす老いの溜まり場石蕗日和        上杉美保子


     潮目濃き岬日和や石蕗の花           坪野洋子


     風音の絶えぬ禅林石蕗の花           三井あきを


     石蕗の花薬缶転がる窯場跡           横森今日子


     尼寺の飯噴く匂ひ石蕗の花           中川幸子



          



     黒濡の波のかゝれる石蕗の花          瀧澤伊代次


     蝶の黄を淡しと思ふ石蕗の花          五十嵐播水


     石蕗咲いて生家の間取おもひ出す        能村研三 


     石蕗の花膝を掴みて跼みけり          岡本 眸


     石蕗の花言葉短くあたたかく          林 徹


     一人来て一人去る島石蕗明り          中嶋秀子


     仏心のそこらに咲いて石蕗の花         森 澄雄



          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 25日

2020-10-24 17:43:21 | Weblog
                      平林寺 紅葉

                        紅葉・紅葉づる・紅葉狩り・谷紅葉・夕紅葉・紅葉山


     月残る紅葉始めの南木曽岳           栗田やすし


     村中の池や紅葉をひた映す           細見綾子


     松島に椿多しと紅葉晴れ            沢木欣一


     もみづれり湖畔を染むる箒草          中村修一郎


     寝釈迦佛もみぢ明かりに黒光る         上田博子


     帝井の底まで紅葉明りかな           都合ナルミ


     能舞台桜紅葉の一葉散る            栗田せつ子


     山紅葉和紙工房の薪爆ずる           鈴木みすず


     一本の紅葉明るし座禅堂            武藤光晴


     紅葉山背負ひ百戸の隠れ里           篠田法子


     濃紅葉や谷間に狂ひ小屋の跡          坪野洋子


     廻廊の白き三和土や紅葉冷           井沢陽子


     百済仏紅葉あかりに拝しけり          谷口千賀子


     もみづれり八丁味噌の蔵通り          江口ひろし



          

             毛越寺 紅葉



     御仏をふかく蔵して紅葉晴            今瀬剛一


     ほどほどに老いて紅葉の山歩き          能村登四郎


     きつつきの穴見ゆ紅葉せるその木に        瀧澤伊代次


     あと一人来ず混浴の紅葉谷            鷹羽狩行


     ははきぐさ箒となりて紅葉せり          長谷川櫂


     紅葉山背負ひ百戸の隠れ里            篠田法子


     木の色の仏に紅葉明りかな            林 翔





          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 24日

2020-10-23 14:13:02 | Weblog
                        秋思・秋あはれ・傷秋・秋さびし

          「秋思」の意味は秋に感じるものさびしい思いのこと
           これはなかなか厄介な季語に思います
           もの寂しいという感覚は人によって違います
           ですから独りよがりになりやすくなるのです



     橋を渡る水に魚ゐる秋思かな          細見綾子


     秋思かなぎつくり腰の背を屈め         栗田やすし


     未来とは死後も含むや秋思濃し         櫻井幹郎


     秋寂ぶや梁に鳩除け五寸釘           矢野孝子


     足細き空也立像秋思かな            鈴木みすず


     旅の文届き秋思の深みたる           清水弓月


     阿修羅像眉根に深き秋思かな          佐藤とみお


     秋思濃し父出征の城仰ぎ            上田博子


     青すぎる千曲の川面秋思濃し          武藤光晴


     秋寂ぶや寺田屋にある裏梯子          鈴木真理子


     口ずさむ寮歌秋思の盃重ね           中野一灯


     紙踏絵板踏絵見て秋思濃し           倉田信子


     篝火に浮かぶ小面秋思濃し           野島秀子



          



     釦はづし又はめ秋思行ききせり         能村登四郎


     力杖秋思の杖となりにけり           鷲谷七菜子


     塩を置くこんな秋思の入口に          櫂未知子


     マニキュアの指に秋思の息かける        柴田奈美


     一笑に付されてしまふこの秋思         三田きえ子


     ぽろぽろと外す秋思の耳飾           杉野郁世



          
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月 23日

2020-10-22 14:23:17 | Weblog
                        柿干す・吊し柿・柿すだれ


     雪来るを待つとしもなく柿干して        細見綾子


     柿干すや軒の蜂巣に蜂居らず          栗田やすし


     餘部の高き波音柿を干す            河原地英武


     やはらかき光差しけり吊し柿          梅田 葵


     白壁に影の伸びたる吊し柿           下山幸重


     柿吊す軒に山の日溢れけり           平松公代


     不揃ひに吊る民宿の柿すだれ          篠田法子


     波静か伊根の舟屋に吊し柿           白鳥光枝


     駐在の軒に粉をふく吊し柿           横森今日子


     百目柿あるだけ吊し甲州路           大谷みどり


     峡の村二階も下も柿すだれ           岡野敦子


     高遠の町のはづれやつるし柿          橋本紀子


     軒裏を夕日に染めて吊し柿           ころころ



          



     柿吊られ酒売る店のはや灯す          角川源義


     これよりの海の匂はぬ吊し柿          岡本 眸


     干柿や京に近くて上天気            大峯あきら


     柿簾ひとつこぼれてころがれる         長谷川櫂 


     三日目といへる朱さの吊し柿          片山由美子


     曲り家に闇の匂の吊し柿            橋本榮治 


     干し柿の渋みの中の齢かな           能村登四郎



          
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする