6月 30日

2023-06-30 04:43:46 | Weblog
                      夏越(なごし)・茅の輪・夏祓・形代流す



          旧暦の6月末に行われる「夏越の祓」は、半年分のケガレを落とす行事で、この後の半年の健康と厄除けを
          祈願します。由来は神話の伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらひ)にまで遡るそうですが、
          新暦に移った現在でも、6月30日ごろ日本各地の神社で行なわれている伝統行事です。
          (写真は深川八幡)



                    



          惜命や形代に息吹きかくる            清水弓月


          雨傘をつぼめ茅の輪を潜りけり          関根近子


          大仰に禰宜が絹裂く夏祓             武藤光晴


          神官の声のこだまや夏祓             本多俊枝


          里宮に響く夏越の触れ太鼓            内田陽子




                   



         茅の輪くぐり星降る夜空詣でけり         星野立子


         みづうみへゆらりとぬけて茅の輪かな       大石悦子


         あをあをと津軽が匂ふ茅の輪かな         鈴木鷹夫


         橋殿に燭ぞまたゝき御祓かな           岸風三楼


         ライオンの抜けてきさうな茅の輪かな       小野口正江




                    


         人形(ひとがた)とは、人の形を模した紙の形代(かたしろ)です。人形に自分の名前や年齢などを書き、
         それで体を撫でて人形に罪やケガレを移し、身代わりとして神社に納めます。人形を川に流したり、
         篝火を焚いたり、水や火を使う神事で清め、厄を落とします。 (写真は川越氷川神社)



         形代に太釘のあと蛇苺              栗田やすし


         形代の襟しかと合ふ遠青嶺            能村登四郎


         形代に書きて佳き名と言はれけり         片山由美子


         形代となりて流るるけさの夢           桜井千種


         蓮田風起ちて形代流しかな            石田波郷




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6月 29日

2023-06-29 04:55:50 | Weblog
                            百日紅・さるすべり



          藁草履買ふ山麓の百日紅               栗田やすし


          島のバス曲がりて散らす百日紅            小原米子


          日の沈む港の倉庫百日紅               桑原 良


          百日紅雨に明るし石光寺               長江克江


          百日紅のみに風ある真昼かな             梅田 葵


          ほろほろと百日紅散る苔の庭             河合義和




                    



          百日紅園児ねむりの刻来る              飯田龍太


          大伽藍炎上の跡百日紅                広瀬直人


          暁の夢たゆたうて白さるすべり            林 翔


          百日紅片手頬にあて妻睡る              加藤秋邨


          先づ黄なる百日紅に小雨かな             夏目漱石



            女来と帯纏き出づる百日紅              石田波郷



                    


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6月 28日

2023-06-28 06:20:43 | Weblog
                             夕菅・黄菅



          海鳴りや黄菅群れ咲く葦毛崎           栗田やすし


          夕菅や単線果つる海の町             舩橋 良


          夕菅の風に向き替ふ信濃かな           土方和子


          夕菅の芽吹けり水の中にまで           都合ナルミ




                    



          日光黄菅とその名覚えてまた霧へ         加藤楸邨


          古道跡石に黄菅が咲くばかり           鍵和田釉子


          夕菅の野より奈落となる樹海           桑田青虎


          夕菅や風のたてがみ触れて咲く          山田弘子


          日光黄菅後姿の夏を見き             川崎展宏


          夕菅やつぎなる湖ヘカヌー抱き          中戸川朝人




                    


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6月 27日

2023-06-27 07:44:32 | Weblog
                           昼顔・鼓子花・容花



          ひるがおの虹色砂上夢しかと           沢木欣一


          昼顔の野原横切り貰ひ乳             細見綾子


          昼顔や大聖堂は静まれり             野々垣理麻


          昼顔や陸より暮るる鹿島灘            渡辺慢房


          昼顔の柵にからめり無人駅            長谷川雅子




                    



          昼顔や捨てらるるまで櫂痩せて          福永 耕二


          これ以上待つと昼顔になってしまう        池田澄子


          昼顔や川ひろがりて京の果            長谷川櫂


          昼顔のゆるりとからむ箒の柄           中嶋秀子


          昼顔にひと日けだるき波の音           鈴木真砂女 




                    



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6月 26日

2023-06-26 04:03:31 | Weblog
                           凌霄花・のうぜんかずら



          凌霄のなだれて咲けり間垣村           二村美伽


          伸びきつて風捉へをり凌霄花           伊藤範子


          のうぜんの花散る子規の土蔵裏          奥山ひろみ


          凌霄の高さを風の渡りけり            吉田明美


          凌霄花男住まひの塀上る             小原米子




                    



          旅に遭ふ岬のまつり凌霄花            能村登四郎


          くろぐろと夜空なだるる凌霄花          岡本 眸


          のうぜんの花を数へて幾日影           夏目漱石


          凌霄花やものの影濃き土佐の国          奥坂まや


          凌霄を纏き曼陀羅となる一樹           福永耕二




                    



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6月 25日

2023-06-25 05:28:31 | Weblog
                       さくらんぼ・桜桃・桜桃の実・チェリー



          桜桃の艶におどろく夜学生            沢木欣一


          故郷の味と母云ふさくらんぼ           栗田やすし


          エフエムの正午の時報さくらんぼ         奥山ひろ子


          脚立より種とばし食ぶさくらんぼ         倉田信子


          あめ色の古き腰籠さくらんぼ           近藤文子


          アメリカ産ダークチェリーの悪女めく       小長哲郎




                    



          若き日を食らふが如しさくらんぼ         林 翔


          一つ食べ一句考へさくらんぼ           稲畑汀子


          さくらんぼ悲鳴のやうなアリアかな        辻 桃子


          桜桃やいのちみじかし恋せよと          加藤秋邨


          さくらんぼ舌に転がる英単語           吉原文音


          笑窪とてひとつは淋しさくらんぼ         清水衣子




                    



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6月 24日

2023-06-24 06:27:04 | Weblog
                        花魁草(おいらん草)・草夾竹桃



             散歩コースのいつもの場所にこの花が咲くと夏を感じます 昔のこととは言え命名に感心します
             ( 命名は槙野万太郎先生では無いようです )


                     



          黒揚羽花魁草にかけり来る        高浜虚子


          袈裟がけに花魁草に蛇の衣        富安風生


          花魁草一村朽ちて風の中         関戸靖子


          花魁草外人墓地に咲きいでし       岡本 眸


          落ちてゐる花魁草の簪かな        松藤夏山




                      



          花魁草甲斐山中の一軒湯         岡田日郎


          民宿の花魁草の厚化粧          後藤比奈夫


          花期ながきこともあはれや花魁草     堀 葦男


          昼の日の炎ゆるに燃ゆる花魁草      臼田亜浪


          射的場の灯のおよびたる花魁草      矢野典子




                      



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6月 23日

2023-06-23 05:37:43 | Weblog
                            沖縄忌・慰霊の日



          太平洋戦争の終わりの頃、沖縄は日米の最後の決 戦地になり、多くの民間人が犠牲になった。
          沖縄の日本軍が壊滅 した昭和二十年六月二十三日のこの日を、沖縄県慰霊の日とした。



          一匹の蟻地を這へり沖縄忌            栗田やすし


          十字描く飛行機雲や慰霊の日           河原地英武


          沖縄忌ペンのかするる宛名書き          国枝隆生


          生徒らと島に見し星慰霊の日           荒川英之


          慰霊の日影柔らかき花梯梧            野島秀子


          百合よりも白き雲湧く慰霊の日          栗田せつ子




                    



                    



          青甘蔗のうねりてなびき沖縄忌          鍵和田釉子


          石垣に海光とどく沖縄忌             柳田芽衣


          折れやすきクレパス沖縄慰霊の日         鈴木ふさえ


          大画布に万の声わく沖縄忌            石津きん


          薬莢も露店に並び沖縄忌             伊舎堂根自子


          アルバムの父と目が合う沖縄忌          玉城幸子




                    



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6月 22日

2023-06-22 06:19:51 | Weblog
                             青 柿



          青柿に囲まれし家豆腐冷ゆ            細見綾子


          青柿の転がる庭に鵜を遊ばす           栗田やすし


          青柿に陶器の固さありにけり           河原地英武


          柿青し分教場に紙芝居              岸本典子


          青柿や石垣粗き山の家              橋本紀子


          青柿の転げ落ちたる音二つ            玉腰成




                    



          駄菓子賣る茶店の門の柿青し            正岡子規


          狂人に青柿いくつ落つれば済む           飯島晴子


          隠し子のごとき青柿伊豆も奥            岡本 眸


          雷神と女陰を祀り柿青し              金子兜太


          青柿をはねし雨粒文机に              山口青邨


          あひびきの影の別れて青柿落つ           石川桂郎
 




                    


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6月 21日

2023-06-21 06:24:00 | Weblog
                               夏 至



          二十四節気の一つ、節気は期間ですから七月七日頃までの期間です 
          一年で一番昼の時間が長い日. 夏至とは、この日を過ぎると本格的な夏が始まると意味です
          この期間に食べると良いと言われている 夏至の冬瓜 地域によっては焼き鯖、蛸、うどん だったりします



          夏至の酒大徳利で酌み交はす           中山敏彦


          夏至の土間筵被せて壺干せり           梅田 葵


          有線が正午を知らす夏至の空           武藤光晴


          いつまでも夏至の夕日の赤きかな         渋谷さと江


          今日夏至の刻を告げたり鳩時計          岡島溢愛


          生れし嬰が足で空切る夏至の夜          片山浮葉




                    


                    



          のびきつて夏至に逢ふたる葵かな         正岡子規


          夏至愉し牛と羊は野にあそぶ           阿波野青畝


          地下鉄にかすかな峠ありて夏至          正木ゆう子


          夏至の日の仲見世ぺたぺた歩きけり        吉田鴻司


          葛飾や夏至のつばめをかほの前          黒田杏子


          白衣きて禰宜にもなるや夏至の杣         飯田蛇笏




                    


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