9月 30日

2016-09-30 15:31:12 | Weblog
金木犀風の行手に石の塀         沢木欣一


金木犀部屋かへて読む放浪記        鍵和田釉子


金木犀ふりむく季節来てをりぬ       森川光郎


木犀の金を小出しに法然院         伊藤敬子


友らみな白髪をまじへ銀木犀        三橋鷹女


銀木犀詩の投函は昏れてより        宮脇白夜


銀木犀は金木犀を未だ知らず        攝津幸彦


木犀の風やはらかし産着干す        玉井美智子


金木犀かをる町屋の奈良格子        石川紀子




*どこからか木犀の匂いがしてくる季節になりました


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9月 27日

2016-09-27 15:09:34 | Weblog
花野より白根を指せる雲の日矢          細見綾子


木の香よし花野の果ての製材所          栗田やすし


瓜坊の花野の寝床月のぞく            沢木欣一


満目の花野ゆき花すこし摘む            能村登四郎


明星と逢ふまで事もなき花野            福永耕二


花野よりこぼれし人もわが仲間           今瀬剛一


雲の帆をゆつくり渡す大花野            加藤耕子


同じ師に学びし日あり花野行く           八牧美喜子








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9月 25日

2016-09-25 06:54:38 | Weblog
御像の鉄より黒し秋時雨           沢木欣一


秋時雨師の句碑となる石濡らす       栗田やすし


怒濤よりほかに音なし秋時雨         中村汀女


奥能登の灯台一基秋時雨           櫛田多寿子


繭倉を残す丸子の秋時雨           松崎鉄之介


秋時雨古書の匂ひの駿河台          沢ふみ江


犬にのみ許す心や秋時雨           草間時彦



*写真=秋桐


大関・豪栄道 14日目にして優勝決定
久しぶりの日本人力士による優勝者 おめでとう
両国に生まれ育った私には少し溜飲の下がる思いもある

相撲も力士も秋の季語になっているが宮中の神事からの由来
数年前に東北の旅にとき小さな社の前に土俵があったのを
思い出した。一段高く土を持ってあるだけだったが
門前仲町にある富岡八幡の境内に横綱力士碑がある
ここが勧進相撲の発祥であることが頷ける


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9月 20日

2016-09-20 19:32:08 | Weblog
秋蝶の黄を強くせり土俗舞         細見綾子


旅カバン砂に置きたり秋の蝶        栗田やすし


秋草に一片墜ちし交い蝶          沢木欣一


秋蝶のまぎれ込みたり無言館         武田稜子


峠越すものみなかなし秋の蝶         日下部宵三


秋蝶や幼なさ残す修女の死          野村幸子


山の雨縫うて気儘や秋の蝶          西村和子

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9月 19日

2016-09-19 16:19:52 | Weblog
台風あと別な白さの萩咲ける         細見綾子


颱風一過女がすがる赤電話          沢木欣一


台風裡赤シャツを着てかしこまる       栗田やすし



梯子あり台風の目の青空へ          西東三鬼


台風のまっただなかの赤ん坊         山崎 聰


台風の眼に居て黒人霊歌聴く         岸本マチ子


黒猫ののそと起きるや台風来         宮坂静生


台風過ぐ妙義に青き星ひとつ         雨宮抱星




*台風が来つつあります 東京のマンション住まいでは
 なかななその実感も薄いのですが
 今日、掲載の句 台風がどんなものか分かっていても十七音で
 映像化するには大きな季語です
 掲載の句には皆色が入っています
 漠然とした季語の中にあってその色が鮮烈に活かされて入る事に
 気づきます

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9月 18日

2016-09-18 09:16:18 | Weblog
鶏頭を三尺離れもの思ふ          細見綾子


鶏頭のくれなゐ黒をきはめたる       沢木欣一


鶏頭に音なき雨や綾子の忌         栗田やすし


泣く吾子を鶏頭の中に泣かせ置く      福永耕二


鶏頭の影地に倒れ壁に立つ         林徹


鶏頭の赤が最も暗き庭           山田弘子


鶏頭のたたみ尽せし花冠かな        斎藤夏風


鶏頭の十四五本もありぬべし        正岡 子規



* 埼玉にある農林公苑に行く  サルビアの群れ咲きに目が痛くなるほど
  彼岸花にも鶏頭の赤とも違う
  彼岸花も鶏頭もその足元はさみしく、サルビアの足元には
  葉が茂ってその緑との補色対比の効果なのだろう
  一株ではそれほど感じないものなのに
  俳句の構成にも主を際立たせる従の力が大切なのかも知れない


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9月 15日

2016-09-14 17:54:06 | Weblog
中秋や座布団かさね一茶像         村越化石


中秋や娯捨駅を昼過ぐる          相馬遷


中秋や松にとびつく水陽炎         坂本 登


中秋の正しき繊き月となる         後藤夜半




月光に踊る亡者の頬冠り          栗田やすし


月下にて毛遊びせし跡ならむ        沢木欣一



* 中秋 東京では名月は雲の中でしょうか

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9月 13日

2016-09-13 16:43:28 | Weblog
蕎麦はまだ花でもてなす山路かな            松尾芭蕉


蕨姫杉間に白し蕎麦の花                沢木欣一


そば畑の花の盛りを富士晴るる             細見綾子


花蕎麦や畑中にある童子堂                落合千鶴


花蕎麦や十戸に満たぬ隠里               石丸美代子


秩父路や天につらなる蕎麦の花             加藤楸邨


月光のおよぶかぎりの蕎麦の花             柴田白葉女


遠山の奥の山見ゆ蕎麦の花               水原秋櫻子


紫に暮るる山河や蕎麦の花               関根切子



* 新蕎麦が待ち遠しい




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9月 12日

2016-09-12 18:57:04 | Weblog
秋風や石あればみな風化仏           栗田やすし


秋風をきくみほとけのくすりゆび        沢木欣一


でで虫が桑で吹かるる秋の風          細見綾子


秋風や大工の腰の釘袋              鈴木真砂女


縁起絵の閻魔はやさし秋の風           鍵和田釉子


秋風のどこかにいつも母の声           福永耕二


編笠を脱ぐや秋風髪の間に            秋元不死男


秋風に建つ太柱十二本              夏井いつき




*朝晩めっきりと秋らしく



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9月 11日

2016-09-11 07:07:34 | Weblog
撫子の花野浄土となりにけり        沢木欣一


木の香よし花野の果ての製材所       栗田やすし


奥志賀の神の隠せし花野かな        細見綾子


満目の花野ゆき花すこし摘む         能村登四郎


断崖をもつて果てたる花野かな        片山由美子


昼は日を夜は月をあげ大花野         鷹羽狩行


明星と逢ふまで事もなき花野         福永耕二







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