( 杉玉 )
造り酒屋にこの緑の杉玉が下がれば、「新酒が出来上がったぞ~」って事ですね。
新酒は秋の季語。ここのところのこのブログは秋,冬混在でした。
仕事柄建築現場に出入りしていますが、例年なら季節の境目がはっきり分かる
コンクリートの建物。今年はどの現場も暖房器具の用意がされていないようです。
熱せられる事も、冷やされる事もコンクリートの中で働く人々には過酷な条件です。
一見穏やかな冬がもしかしたら温暖化による気候変動の前触れでない事を祈る
ばかりです。
生きてあることのうれしき新酒かな 吉井勇
そばかすをくれたる父と新酒汲む 仙田洋子
ワイン新酒ひとはきらきら才こぼす 紅露ゆき子
( 憂国忌 )
11月25日は故三島由紀夫の命日、憂国忌とされて39年目にあたる。
忌日俳句は言うまでもなく難しいが、中でもこれを季語として詠みがたい。
松籟の闇にたかまる憂国忌 鷲谷七菜子
憂国忌朝より鵙を鳴かすべし 河野南畦
少年の耳輪の揺れや憂国忌 黒川江美子
( 藪柑子・十両 )( 酉の市 )
今日は二の酉です。
二の酉やもてあましゐる雨支度 水原秋桜子
目いつぱい日向を使ふ藪柑子 晏梛みや子
藪柑子淋しくなれば空があり 貴葉志行
子の帰り待ちわぶ谿の藪柑子 福田甲子雄
藪柑子もさびしがりやの實がぽっちり 種田山頭火
( 山茶花・勤労感謝の日 )
山茶花の一とたび凍てて咲きし花
月夜にて山茶花が散る止めどなし
山茶花は咲く花よりも散つてゐる 細見綾子
ヌーボーで乾杯勤労感謝の日 成田郁子
万歩計腰に勤労感謝の日 寺田青香
遅ればせながら今日は一葉忌でした。
一葉忌とはこんなにも暖かな 川崎展宏
( 朴落葉 )
ブログ作成の編集画面に入ると「ブログ開設から1549日」とありました。
単純に365日を一年と考えると4年半以上になります。
最初の内は生意気にも自分なりの俳句考を述べてきましたが、見ていただく
人が増えるにつれ,書き難くなるのものです。
最初は8人の方にこの存在をお知らせして、今、多いときに300人,少ない
時にでも100人の方に見ていただいています。
寡黙な方が多く、ご意見を頂くことが少ないのですが、見ていただいている事を
励みに更新していくつもりですので、宜しくお付き合いください。
今日の東京は一月の気温、小雨が降っています。
鉄錆の重なるごとく朴落葉 沢木欣一
朴落葉一枚に岨ひびきけり 馬場移公子
朴落葉して洞然と御空かな 川端茅舎
頭の上に雲ゆく重さ朴落葉 藤田湘子