( 九月尽 )
少年の商才かなし九月尽 楠本憲吉
雨降れば暮るる速さよ九月尽 杉田久女
ガラス器を磨きてしまふ九月尽 種市清子
まが雨の降りもつづきて九月尽 佐藤鬼房
・・ 写真 高麗巾着田の曼珠沙華 ・・
曼珠沙華火の色波に巾着田
この巾着田に何万本もの曼珠沙華がいっせいに花開く世界は分かっていても
一種異様を呈している。息苦しくなるほど赤という色に責められている。
巾着田に入ると花を見るというより花に見られている、そんな感じだろう
その中に見つけた白花の曼珠沙華に安堵の息を吐く。
責めたてられる赤色の波に咲く一株は焦点となり,回りの景色が見えてきた
そうなると白という色を中心にまさに涅槃のような想像がうまれる
曼珠沙華から仏はいかにもの付き過ぎだろうが詠まざるをえない
白一株釈迦の如くに曼珠沙華