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11月 21日

2019-11-20 14:54:21 | Weblog
                落葉・落葉焚・落葉山・落葉掻



     すずかけの落葉と人にかこまるる      細見綾子


     落葉踏む音や亡き友来るごとし       沢木欣一


     音立てて踏む子規庵の柿落葉        栗田やすし


     城跡へ踏むたび匂ふぬれ落葉        岸本典子


     トンネルの奥の奥まで椎落葉        丹羽康碩


     朴落葉はりつく雨後の石畳         伊藤範子


     柿落葉散り込む耶蘇の隠し井戸       廣島幸子


     平家谷くるぶしまでの朴落葉        佐藤とみお


     桂落葉甘き香ほのと関所跡         桜井節子


     堆き銀杏落葉の明るさよ          武藤光晴


     落葉してすずかけの実の揺れどほし     服部鏡子


     はけに沿ふ小径に乾く柿落葉        藤本いく子


     幇間の碑の辺落葉の吹き溜まり        こころ



          



     手が見えて父が落葉の山歩く        飯田龍太


     かさなりて栗の落葉のみな長し       長谷川素逝


     ニコライの鐘の愉しき落葉かな       石田波郷


     夜の園のひろびろと敷く落葉かな      大峯あきら


     教会の辻に落葉の手風琴          加藤耕子


     夫見舞ふけふを限りの落葉道        石田あき子




          
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11月 20日 二の酉

2019-11-19 13:53:29 | Weblog
                酉の市・酉の町・熊手市・一の酉・二の酉・三の酉


     十一月の酉の日を順に一の酉、二の酉、三の酉となります 
     酉の日は十二日ごとですから
     六日以降に一の酉があるとその年は二の酉までと言うわけです
     昔から三の酉がある年は火事が多いと言われています
     浅草の大鷲神社では三の酉の日にだけ火除けのお札が授与されます



     此頃の吉原知らず酉の市           高浜虚子


     くもり来て二の酉の夜のあたゝかに      久保田万太郎




          



     裸灯におかめ艶めく酉の市         中野一灯


     青テント小さき熊手飾りをり        鈴木みすず


     裸火に熊手の千両箱光る          佐藤とみお


     裸灯におかめ眩しき酉の市         森垣一成


     おかめ市ギャルの売子の長睫        武藤光晴


     大熊手掲ぐ女の力こぶ           篠田法子


     リヤカーに熊手積みゆく酉の市       菊池佳子


     丼をはみ出す海老や酉の市          こころ



          



     酉の市行かず仕舞の水仕事          菖蒲あや


     二の酉もとんと忘れて夜に入りし       星野立子


     お多福の一人笑や酉の市           酒井土子


     どぜう屋に老の気勢や酉の市         本郷和子
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11月 19日

2019-11-18 13:28:42 | Weblog
                葱・葱畑・根深汁・根深引く・根深・ひともじ



     青葱を藁囲ひして不破の関         栗田やすし


     ねぎ種を干す一と筵運河べり        細見綾子


     妻の留守温め直せる根深汁         丹羽康碩


     ボーナスに縁なきくらし根深汁       国枝隆生


     漉き土間に朝採りの葱泥まみれ       栗田せつ子


     白ねぎを薄暮に抜けば匂ひ立つ       鈴木英子


     神輿蔵前ひと畝の葱の青          伊藤範子


     のんべゑの父でありしよ根深汁       千葉ゆう


     合掌家あふるる水に葱洗ふ         江本晴子


     葱提げて立読みしたり旅の本        井沢陽子


     退院の父に作りし根深汁          松原和代


     泥つきし葱一抱へ朝の市          中山ユキ


     根深汁静かに老いて味深し         丹羽一橋


     葱を引く媼に余呉の夕日濃し        山本光江



          



     葱味噌を嘗め疑はず酔ひにけり        草間時彦


     友訪わむさかさに提げて葱青し        寺山修司


     ことごとく折れて真昼の葱畑         鷹羽狩行


     円墳の丘へつながる葱の畝          上野澄江


     子を負ひて日の沈むまで葱洗ふ        ながさく清江


     下仁田の土をこぼして葱届く         鈴木真砂女



          


     
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11月 18日

2019-11-17 13:59:49 | Weblog
                冬菫・寒菫・冬すみれ



     言葉少き日の縁下の冬すみれ          細見綾子


     教会の庭に屈めば冬すみれ           栗田やすし


     冬すみれ八雲ゆかりの猟師町          矢野愛乃


     鷹匠の墓に一輪冬すみれ            奥山ひろみ


     戒名の無き母の墓冬すみれ           渡辺慢房


     城郭の日当たるところ冬すみれ         武藤光晴


     冬すみれ咲く王陵の珊瑚垣           倉田信子


     病院へ長きスロープ冬菫            小原米子


     燭揺るるガラシャの墓や冬すみれ        松原 香


     アスファルト割つて一列冬すみれ        千葉ゆう


     冬すみれ潮騒の音吹き上ぐる          服部鏡子


     椅子ひとつほどの日溜り冬すみれ         こころ



          



     犬より荒き少年の息冬すみれ          鍵和田釉子


     勝ち牛も負け牛も踏む冬すみれ         石 寒太


     わが影のさして色濃き冬菫           右城暮石


     藁葺きの王妃の館冬すみれ           三国眞澄


     冬すみれ雲白き日は雲を恋ひ          大串章


     冬すみれ汝も平家の裔として          津田清子


     子を生まぬこと冬菫愛さぬこと         夏井いつき
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11月 17日

2019-11-16 13:34:13 | Weblog
                小春・小春日・小六月・小春日和



     若き日の友の文読む小春かな        栗田やすし


     小春日や青き蝗の生き残り         沢木欣一


     めがね拭くことを幾度も小春かな      細見綾子


     叺干すそば屋の庭や小六月         岸本典子


     島小春礎の叔父の名をなぞる        佐藤とみお


     釣人が猫に声かく小六月          中村修一郎


     小春日や案内板に五カ国語          関根切子


     小春凪浜に寝そべる下校生         巽 恵津子


     木洩れ日に羽虫の光る小六月        武藤光晴


     繕ひの漁網の嵩や浦小春          小栁津民子


     糸みみず動く小春の水田かな        金田義子


     島ことばひとつ覚えし旅小春        小石峰通子


     潮風が匂ふ蓮如の寺小春          吉田幸江



          



     小春日や孤りかたぶく十字墓        石田 波郷


     祖母山も傾山も小六月           黒田杏子


     人混みを妊婦すぎゆく小春かな       松崎鉄之介


     どの道をゆくもかへるも園小春       上村占魚


     大佛に足場かけたり小六月         星野立子


     よき硯拝見甲斐の国小春          山口青邨
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11月 16日

2019-11-15 15:16:35 | Weblog
                八手の花・花八手 < 季=冬 >



     炭を切る筵明るし花八ッ手           沢木欣一


     空広く声たまにくる花八ツ手          細見綾子


     暗きより牛が貌出す花八手           下里美恵子


     白極む室生の里の花やつで           鈴木英子


     猫出入り自在の地窓花八手           伊藤範子


     出格子の残る商家や花八ツ手          山 たけし   


     白壁の剥げし味噌蔵花八ツ手          関根近子 


     花八ツ手庫裡立て替への杭を打つ        神尾朴水


     上げ舟の櫂の細さや花八ツ手          加藤ノブ子


     あと幾度訪ふ故郷や花八ツ手          小長哲郎


     花八手引出し浅き楽譜入れ           松本恵子


     町並に残る火の見や花八手           池村明子


     爪立ちて玻璃拭く巫女や花やつで        小田二三枝


     花八手活く煤色の野焼壺            玉井美智子



         



     出家には遺書などいらぬ花八手         無着成恭


     花八ツ手貧しさおなじなれば安し        大野林火


     日の落ちて土の香しるき花八手         片山由美子


     君発たせ来し駅裏の花八ツ手          寺井谷子


     どの路地のどこ曲つても花八ッ手        菖蒲あや
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11月 15日

2019-11-14 15:19:24 | Weblog
                木枯し・凩



     海の上進む木枯見えにけり         沢木欣一


     葛飾の句座木枯しが灯を強め        細見綾子


     木枯や伝言板に髑髏の絵          河原地英武


     木枯や海に船見ぬ能登の旅         櫻井幹郎


     木枯やスタバの広き硝子窓         武藤光晴


     木枯が懐に入る日暮畑           雨池志津乃


     書を習ふ窓を木枯叩きづめ         吉川利雄


     木枯しに嬌声あぐる女学生         荒深美和子


     木枯や寺に仁吉の旅合羽          山本悦子


     木枯しやビルの谷間の占ひ師        下山幸重


     木枯の途切るる路地やピアノ鳴る      山本法子




          



     凩の御油赤坂は雨まじり          能村登四郎


     木枯や子を思ふとき神だのみ        岡本眸


     凩の吹ききはまりし海の紺         深見けん二


     木枯の口に吹き入る修那羅仏        古舘曹人


     朝のパン外の木枯を見つつ焼く       福田蓼汀


     木枯やだらりとさがる象の鼻        飯田龍太




          


     
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11月 14日

2019-11-13 14:27:26 | Weblog
                石蕗の花・つはぶき <季=冬>



     石蕗卑し湯屋の煙の一すじに           沢木欣一


     石蕗咲いて母亡き庭を明るくす          栗田やすし


     石蕗の花の大株昔のまま             細見綾子


     石蕗咲いてぬくき日差しの二三日         下里美恵子


     石蕗日和窯小屋で聴くジャムセッション      矢野孝子


     嫁ぐ子にたつる朝湯や石蕗の花          花村登美子


     墓一つ残す故郷石蕗の花             吉田嘉三郎


     徳川の蔵書の匂ひ石蕗の花            栗田せつ子


     潮目濃き岬日和や石蕗の花            坪野洋子


     将棋さす老いの溜まり場石蕗日和         上杉美保子


     風音の絶えぬ禅林石蕗の花            三井あきを


     尼寺の飯噴く匂ひ石蕗の花            中川幸子



          



     石蕗の花言葉短くあたたかく           林 徹


     石蕗咲くや裏口に入る母のみち          小檜山繁子


     石蕗の花膝を掴みて跼みけり           岡本眸


     筆塚へ茎かたむけて石蕗の花           荒井正隆


     蝶の黄を淡しと思ふ石蕗の花           五十嵐播水




          
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11月 13日

2019-11-12 15:08:15 | Weblog
                冬薔薇・冬の薔薇



     待つ人あり睫毛の影と冬の薔薇          沢木欣一


     冬薔薇日の金色を分かちくるゝ          細見綾子


     問診の女医は教へ子冬薔薇            櫻井幹郎


     保育器の嬰が微笑めり冬薔薇           横井美音


     下町や都電の柵に冬の薔薇            武藤光晴 


     グラバー園茎たくましき冬薔薇          矢野愛乃


     農学部冬薔薇束で売られをり           太田滋子


     日時計の影の薄さや冬の薔薇           渡辺慢房


     尼寺にひそと一輪冬薔薇             石川紀子


     寒の薔薇一輪挿しに開ききる           中山敏彦



          



     散るまへの光にゆだね冬薔薇            鍵和田釉子


     冬薔薇や仕事で逢ひて好きな人           岡本 眸


     三面鏡ひらきてふやす冬の薔薇           朝倉和江


     四季咲きの薔薇の小さき冬の色           今井千鶴子


     戴いてその日咲ききる冬の薔薇           池田澄子


     銀座には銀座の生活冬薔薇             高木晴子




         
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11月 12日

2019-11-11 13:13:23 | Weblog
                実南天・南天の実



     船倉の壁に影濃き実南天            栗田やすし


     ふるさとに南天の実と石路の花         細見綾子


     南天の実に惨たりし日を憶ふ          沢木欣一


     艶やかや馬籠峠の実南天            角田勝代


     実南天蔵に出入りの藁草履           栗田せつ子


     井戸蓋に難点の実の散りこぼれ         中山ユキ


     実南天綾子生家に蔵二つ            熊谷タマ


     酢の倉の庭に鳥居や実南天           幸村志保美


     実南天町家に残る屋敷神            日野圭子


     灯籠に触れて色濃き実南天           大津千恵子


     実南天朝日に紅を深めたり           関根近子


     四間道の低き軒端に実南天           伊藤登美江



         



     とやかくの家相を払ふ実南天          能村登四郎


     実南天鴎外旧居北向きに            松崎鉄之介


     存命の父母を軽んず実南天           正木ゆう子


     実南天十二神将眉あげて            野澤節子


     実南天二段に垂れて真赤かな          富安風生
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