若いころやせていたのに、中年以降に10㌔以上太った男性は、 体重が安定していた人に比べ、心筋梗塞など虚血性心疾患にな る危険度が二倍高いとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班 (主任研究者・津金昌一郎国立がんセンタ-予防研究部長)が 発表した。研究班の磯博康大阪大教授(公衆衛生学)は「年齢が 進んで運動をやめたり、基礎代謝が落ちたりしても若いころと同じ 食習慣を続けると、心臓への負担が増える」と注意を即している。 研究班は全国八県で40~69歳の男女約九万六千人を1990 年から最長で十二年追跡。この間、男性の399人か虚血性心疾 患になった。肥満度を表す国際的指標で、体重(キロ)を身長 (メ-トル)で2度割って算出する体格指数BMIとの関係をまず調 べたところ、BMI30以上(肥満)の男性は、標準的な体格(23以 上25未満)の男性に比べ心疾患発症の危険度が1・8倍で、肥満 と心疾患の関係がはっきりした。女性は発症者が少なく、関連は 不明だった。そこで、研究班は次に、男性の約半数に当たる 約二万三千人を対象に、体重の増減との関係に注目して分析。 すると、20歳時点でBMI21・7未満とやせ形だった人で、調査時 までに10㌔以上体重が増えた人は、増減が5㌔以内だった人と 比べ、危険度が約二倍になることが分かった。
虚血性心疾患 :心筋への血流が不足し、酸素や栄養が行き渡 りにくい状態となって、心臓の機能が低下する病気。血管が狭く なって血流が減り、運動をした場合などに、心筋が一時的に血液 不足になる狭心症や、動脈硬化の部分に血栓ができ、血管が詰 まってしまう心筋梗塞がある。突然死で多い急性心臓死は、大半 が虚血性心疾患か゛原因とされる。