地球温暖化対策が主要議題となる来年七月の北海道洞爺湖サミ ットに向け、国土交通省が海外に発信する四つのプロジェクトを検 討していることが分かった。北海道では温室効果ガスである二酸 化炭素(CO2)の排出分を吸収するための植樹運動を始める計画。 来年度の重要施策に位置づけ、日本が地球環境問題に積極的に 取り組む姿勢を世界に示していく。プロジェクトは
- 植樹など北海道発の事業
- 地球環境の変化を示すデジタル地球地図作製
- アジア諸国支援のための水不足対策
- アジアでの交通機関のCO2削減-の四事業
道内での事業は、同省北海道局が「北海道環境イニシャチブ(率先)」 と銘打って植樹運動や廃熱利用などを展開する。植樹や自然エネル ギ-発電の促進で、CO2など温室効果ガスの排出分を帳消しにする 「カ-ボンオフセット(炭素の相殺)」という考え方に着目。国内初とな る、民間主導による国道や都市公園などへの効果的な植樹プログラ ムを実行し、全国のモデルとなる道民運動に育てていく考えだ。
道内では冬期間の暖房燃料として灯油を使うケ-スが多く、道民 一人当たりの一年間の温室効果ガス排出量は、全国平均の約 1・4倍の約4㌧(CO2換算)に達する。このため、工場などの廃 熱を抑える試験事業も検討している。地球地図は、国土地理院が 世界約百七十カ国・地域からデ-タ提供を受け、縮尺百万分の一 相当のデジタル地図を作製。河川、植生、交通網、人口集中地区 など八項目を入力し、洞爺湖サミットまでに完成させてインタ-ネ ット上で公開する。これらの項目が整備された詳細な地球地図作 製は世界初の試みという。五年ごとに更新し、温暖化や砂漠化の 進展を比較することで原因究明や対策に役立ててもらう狙い。 アジアの水不足対策では、水害・渇水対策や水の衛生管理法の マニュアルになる「水管理ガイドライン」をまとめる。アジア諸国には 自動車や船舶、航空機からのCO2削減技術を提供するとともに、 国としての削減制度づくりにも協力する。