京大など技術開発=万能細胞に応用も 視細胞培養20~30%に
網膜の奥にあって光を感じる視細胞を、胚性幹 細胞(ES細胞)から高効率で培養する技術を、 理化学研究所発生・再生科学総合研究センタ- (神戸市)や京都大のチ-ムが開発し、4日付けの米科学誌ネイチャ- バイオテクノロジ-電子版に発表した。 網膜色素変性症などの患者の目に移植できれば、失われた視力 や視野の回復につながる。京大が開発した人工多能性幹細胞(iP S細胞)でも応用できそうで、理研の高橋政代チ-ムリ-ダ-は 「網膜の再生医療実現に一歩近づいた。iPS細胞でも試してみる」 と話している。チ-ムは、人のES細胞にタウリンなど四種類の物 質を混ぜて数段階で培養し、20~30%を視細胞に分化させるこ とに成功。これまで1%未満だった培養効率を大幅に引き上げた。 また従来必要だった胎児網膜やウシ血清など、倫理性・安全性に 問題が残る材料も不要とした。患者本人の体細胞からつくったiPS 細胞を使えば、移植時の拒絶反応が抑えられる。理研の笹井芳樹 グル-プディレクタ-は「今後は、ES細胞とiPS細胞を用いた研究 を同時並行で進めたい」としている。