北大・研究班 粉末加工、新たな食材に
北大大学院農学研究院の鈴木卓准教授(園芸 学)らの研究グル-プが、捨てられているアスパ ラガスの擬葉にルチンなどの栄養分が多く含ま れているという研究結果を明らかにした。粉末に 加工すれば、新たな食材やサプリメント(栄養補 助食品)の原料になとして、今年から食品会社な どへの売り込みに力を入れる。アスパラガスの擬葉は、若茎(食べ る部分)が伸びた後、枝分かれしてできる茎で、葉に代わり光合成で 養分を作る。露地栽培なら5、6月ごろに若茎の大半を収穫するが、 翌年用に養分を根に蓄えるため一部をそのまま残し、擬葉に成長さ せる。擬葉は硬くて食用に向かず、秋に破棄物として処分する。鈴木 准教授は2002年、アスパラガスの栄養成分を研究した際に、若茎 だけでなく、食べない部分も分析。血管を丈夫にして脳卒中や動脈硬 化を防ぐとされるルチンが、乾粉末にした状態のアスパラの擬葉には 100㌘あたり約1500㍉㌘と、若茎の中央部の約10倍、ソバの実の 約100倍も含まれていることが分かった。擬葉の粉末を試した口にし たところ、緑色でかすかに甘みと苦みのある抹茶のような味で「新た な食材として活用できると思った」(鈴木准教授)。これを受け、藤女子 大の知地英征教授(栄養学)が擬葉の栄養成分などを詳しく調査。ラ ットに与えると肝臓の中性脂肪を抑える効果はなどが確認された。知 地教授は「人間への効果はまだ分からないが、メタボ対策に使える可 能性がある」とみる。乾燥粉末100㌘あたりの食物繊維、カルシウム の量も擬葉はそれぞれ約49㌘、約520㍉㌘と、若茎の2倍近かった。 財団法人の北海道農業企業化研究所(空知管内浦臼町)も研究に参 加。低コストで擬葉を粉末にする技術を開発中で、商品化を進め今年か ら積極的に販路を拡大する計画だ。道内のアスパラガス作付面積は約 1900㌶で、都道府県別では全国一。鈴木准教授は「栄養だけでなく 色もきれい。うどんに加えるなどさまざまな活用ができる」としている。