道内 ワ-クシェアや正社員登用
不況で企業の人員削減が続く中、道内の事業 所で派遣社員の雇用を守る動きが出ている。熟 練労働をこなす派遣社員は貴重な戦力との考え で、一人当たりの労働時間を減らすワ-クシェア リングの導入や正社員への登用で、働く場所を 確保している。自動車のエンブレムなどを製造す る上原ネ-ムプレ-ト工業(東京)の旭川事業所。自動車販売の不振 で、1月下旬から、平日の操業日のうち毎週金曜日を一斉休業にした。 同事業所には派遣社員約60人が働いているが、社員・パ-ト120 人を含めた180人の一人当たりの労働時間を短縮することで、派遣 社員の雇用を維持した。派遣社員は、製品に傷がないかを目で点検 するなど、経験が必要な業務に携わっているため、「一人前に育った 派遣社員を辞めさせるのは損失になる」(岡田東洋司同事業所長)か らだ。労働時間短縮で社員の給料は約2割減ったが、同社労働組合 で旭川事業所のまとめ役をする稲田淳さん(38)は「派遣社員も職場 の仲間。一斉休業によりワ-クシェアするのは仕方ない」と話す。パ チンコ店経営の太陽グル-プ(札幌)は、派遣社員約230人のうち希 望があった約160人を派遣の期限切れとなる14日に直接雇用した。 160人のうち正社員は約80人。残りは、転勤がなく勤務時間に制限 がある自給制の準社員になつた。直接雇用で、人件費は約10%上 がるが、福井康浩人事部長は「新卒を一人前に育てるコストを考えれ ば、高くない」と説明する。段ボ-ル最大手のレンゴ-(大阪)は4月か ら、恵庭、旭川の道内二ヵ所を含む全国の工場で働く派遣社員約1千 人(道内40人)を、正社員に採用する。人件費は年間数億円増えるが、 「いなくなれば打撃が大きい。士気を向上させ、生産力を高めたい」(同 社広報課)と決断した。労働組合・札幌派遣ネットワ-クの大島利広事 務局長は「派遣を守るワ-クシェアは初耳。数十人以上の規模で直接 雇用するのも道内では珍しい。こうした動きが広まれば」と歓迎する。