夫婦で日本農業賞の大賞に輝いた
春まき小麦「ハルユタカ」の種を前年の初冬にま き、収量を安定させる栽培法を確立し、農業者の 最高の栄誉とされる日本農業賞(JA全中など主 催)個別経営の部で本年度、夫婦で大賞に輝い た。江別市の約30㌶で、小麦、コメ、小豆、野菜を栽培する。高タン パク質で味が良くパンに適したハルユタカは、病気に弱いため、作付 けか゜減り、一時は「幻の小麦」に。夫婦で知恵を出し合い、さまざま な栽培法を試みたが、効果は出なかった。そんな中、雪の下で発芽 させて生育期間を長くし、穂を大きく育てる「初冬まき」を知る。弘正さ んは「狭い畑の試験では力が入らない。挑戦は思い切りやらないと」と 1992年、当時2㌶の小麦畑すべてに導入。八重子さんも「失敗した らまたやればいい。それで終わりじゃないんだから」とうなずいた。今 や毎年の収量は、市内の平均値を上回る10㌃当り400㌔超。評判 は広まり、「初冬まき」に取り組む江別の農家は158戸に拡大。パン やラ-メンの製造へと付加価値を高め、地域おこしの起爆剤となった。 「質の良さでは外国産に負けない。価格差でも負けないよう挑戦を続 けるよ」。こう話す弘正さんは江別生まれで、屯田兵の四代目の64歳。 八重子さんは石狩管内当別町出身で59歳。長男夫婦と孫の5人暮ら し。(相川康暁)