パン教室「カフェ・タブリエ」主宰 森本 まどか ク-プで知る発酵状態
ハ-ド系のパンやフランスパンの表面にある模 様のような切込みを「ク-プ」といいます。発酵し たパンを窯に入れる直前、表面にナイフで切れ 目を入れます。「ク-プ」を入れるとパンに美しい 模様がつき、適度に水分が抜けます。さらに一 番大事な役割は、ボリュ-ムを出すこと。ハ-ド 系のパンやフランスパンの表面は、パリっと固いですね。これは熱い 蒸気をかけて焼くからなのです。230度近くに熱せられた窯の中に、 約30度の温度のパンを入れて蒸気をかけると、「結露」と同じ現象が おきます。窯の中で一番低い温度の場所、つまりパンに、水蒸気が 集まるのです。水蒸気はパンの表面を濡らし、生地をいったん軟らか くします。伸びの良くなった生地は、窯の温度でグンと大きくボリュ- ムを出しつつ膨らみます。パンに含まれるでんぷんが加熱され、表 面はのり状になります。表面温度が70-80度になると固まり、コチ ッとしたクラスト(外皮)になるのです。パンはどんどん内圧を高めてク -プの切れ目を押し広げながら、はじけるように大きく膨らむことで、 きれいなク-プができます。よく開いたク-プは発酵のタイミングが最 適だった証拠です。