説得力

川面を見ると、いくつものゴミ袋がぷかぷかと浮かんでいるのを見ながら、僕らのモラルの低さを考えていた。と、川沿いの柵に近所の小学生が描いた「ポイ捨てしないで！」というポスターが何枚も貼られているのに気づいた。

僕と同じように、子供たちも川面を見つめ何かを思ったのだろう。さまざまな絵を描き、そこにさまざまなメッセージが添えられている。それぞれが違った切り口で表現されていたが、僕が一番いいなと思ったのがこの１枚だ。

「笑顔になるよ！」っていう言葉にのって、川だけでなくどこでもポイ捨てをやめよう。

難関

大まかに歩く時間を決め、その位歩いたら近くの駅に向かおうと思いながら、川沿いの道を西へと向かった。

元日に歩いていた時は、少し気分がすぐれなかったが、今日は調子が良かった。多分風邪気味だったのだろう。昨日は早くに眠りにつき、蒲団のはぎ方もほどほどだったので…

携帯電話の時計と歩数計をちらちら見やりながら、その時間になったことを知ると、折り返し点よりかなり先まで来てしまっていたため、近くの駅を探した。けれどもそこは住宅街の真ん中で、地図も見つからず、仕方なくさらに川沿いを歩いた。
程なくして地下鉄の駅を見つけたものの、もうしばらく太陽の光を浴びていたいと思い、先へと進んだ。
やがて目の前に、大きな遊具の柱のようなものが見えてきた。そして、「としまえん」の文字も…

開園までまだ１時間以上あったので、入場券売り場にも人影はなかった。冬晴れの１日、多くの親子連れやカップルで賑わうのだろう。そう、ここは一人で来る場所ではなかった。そのことに気が付き、すぐに自動改札を入った。

子供の頃、親によく連れてきてもらったけれど、僕がこの先家族を連れて来ることはないような気がする。いや、ここに来ること自体ないのかもしれない。
だから、ここの門は僕にとって永遠の「難関」だ。

アンバランス

散歩の途中でブランコに乗ってみた。

座らずに立ったまま漕いでみようとしたが、グラグラと揺れるだけで、一向に前後の軌道に乗ることができなかった。結局諦めてしまい、腕の痛みだけが残った。

それでも、漕げないことがわかっただけでも良かった。