西武有楽町店が今日で閉店した。閉店が発表されて以降、一度は訪れたいと思っていたのだが、結局今日になってしまった。
開店した26年前、僕は高校生だった。登下校に使っていた西武池袋駅にも、開店を知らせる広告が溢れていた。その時に使われていたロボットのキャラクターが面白く、また、日劇の跡地に建てられた「マリオン」というビルの斬新さに興味を持った。それをきっかけに『新建築』という雑誌を買った。学校から地下鉄一本で行けることもあり、オープンしてすぐに行った。
隣の阪急は地下に食品売り場を設けたオーソドックスな百貨店なのに対し、西武は開店当初からファッションを重視した売り場構成だった。その後、有楽町とは縁がなかったことと、その後の改装で女性ファッションに特化されたこともあり、店を訪れることはなくなってしまった。この猫がキャラクターだったことも知らなかった。ただ、ここ数年この時期になるとブルーのクリスマスツリーを見に行っていた。ドリカムのメロディが流れていたあの時が懐かしい。
閉店記念にと、かろうじてバーゲン会場で見つけた男性用のバッグなど小物を買い求め、最上階まで行こうとしたら、こんなディスプレイを見つけた。
おもしろい袋だなあと思いながら特設売場に行くと、買いたい気持ちが背中を押した。クラフト好きの気持ちが騒いだのだろう。
若い作家のみなさんが、このお店へのメッセージを込めて集まっていた。こんな企画がこれ以前に行われていたのかどうかはわからないが、この場所でこんな出会いがあったら、もう少し行っていただろうか。
今日の朝日新聞夕刊の一面にも記事が掲載され、辻井喬さんの話が載っていたが、セゾングループが残っていたらどうだっただろうかと考えてみた。時代の変化に対応できなかった…としたら、もっと前に消えていたのかもしれないが、今もあちこちに残る「セゾン文化」を思うと、まだまだ可能性はあったのではないだろうか。
店を出ると、おなじみの閉店セレモニーを捉えようとするマスコミのための取材エリアが確保されていた。そこまで付き合うには寒すぎたのと、寂しさとでその場を足早に立ち去った。
今年はあの場所に青いクリスマスツリーはなかったけど、交通会館にあった羽根付きのツリーが目に止まり、立ち寄ってみた。
思い出の場所が消えてしまうのは寂しい。だけど、「家電量販店にはならないでほしい」という願いは叶った。マリオンというビルは今も輝きを持っている。後に入るLUMINEがどんな文化を作っていくのかはわからないが、いつまでも「有楽町で逢いましょう」と思えるような輝きをもった街でいてほしい。