長い目

電車が着くたびに、たくさんの人が降り、また乗り込んでいく。いつもの通勤で見慣れた光景だったが、「土曜日は休み」という前提と、通学時間に重なったこととで感覚が狂わされた。

普段の通勤だったら、きっと苛ついてしまうのだろうと思いながら、急ぐことのない今朝はその光景を少し余裕を持って眺めていた。先を急ぐ男がすれ違いざまに肩をぶつけてきた時は一瞬イラっとしたが、いつもの自分も似たようなものだと少し反省する。

だが、そんな混雑も電車が出て行くと嘘のように階段から人の姿が消えた。その場その場で気持ちが揺れ動くのは仕方がないが、もう少し長い目で見られたら、きっともっと生きやすいのだろう。