ジャーナリストの筑紫哲也さんが亡くなられた。
リニューアルされたころから、『NEWS23』をあまり見なくなっていた。その後、筑紫さんがガンにかかり休まれていることは知っていたが、今のメインキャスターの方に正式に後退したということすら知らず、復帰を望んでいた。
以前かかわっていたNPOのイベントに来られていた時にちらっとお見かけしたことや、恵比寿の写真美術館で開催された石原都知事との対談を聞きに行ったことなどが思い出される。
鳥越俊太郎さんが、筑紫さんのことを「座標軸」と表現されていた。最近では、『NEWS23』を見ることもなく、雑誌『週刊金曜日』を読むこともなくなっていた僕は、その座標軸から遠く離れているのだろうか…とも思うが、芯の部分は変わっていないはずだと信じたい。
ただ、それを確かめる座標軸を失ってしまい、これから自分がどこに行ってしまうのか、それが気になる。
『NEWS23』以前の筑紫さんのことはあまりよく知らない。番組ではさまざまなゲストが登場し、生き生きした表情の筑紫さんとの会話を楽しんでいた。Coccoさんもその一人だった。数年前の沖縄戦終結の日だっただろうか、現地で彼女と筑紫さんの対談を放送していた。彼女は筑紫さんに対し文句を言っていたが、そんな言葉を投げかける彼女も筑紫さんのことを好きだったに違いない。
筑紫さんがいなくなった穴はあまりにも大きい。だが、その大きさを本当に悔やむのはもう少し先なのかもしれない。筑紫さんのDNAを少しでも受け継いでいると思っている人は、彼が思ったであろう言葉を紡いでいこう。そう、彼が「多事争論」という形で私たちに投げかけたその思いを…