ヘタレのS君(仮名)の「ゾ~とする話」
S君たちが現在常駐している事務所は、とあるお寺の境内にあります。
そのお寺の境内は広く、その中には集会所や寺務所、僧侶の宿泊棟などの建物が点在しています。
そして、S君たちが居る建物にはトイレがありません。
トイレに行く時には地下で繋がっている隣の建物に行く事になります。
その建物の地下は昔は厨房でしたが現在は使用されておらず、倉庫となっています。
その場所は昼間でも薄暗くヒンヤリとした部屋で、トイレへ行くにはその部屋を通り抜け、さらにその奥へ行く事になります。
トイレの中も薄暗く、どこか寂しい雰囲気が漂っています。
さらに、夜も21時を過ぎると境内には殆ど人はおらずヒッソリと静まり返ります。
そんな中、S君は仕事に追われ、その日は事務所で徹夜をする事となりました。
同じ事務所の上司と同僚はさっさと帰宅し、事務所に残っているのはS君ただ一人・・・。
しばらく仕事に没頭していたS君ですが、夜も深々と更けてきて流石に疲れが出てきました・・・。
ふと気付くと時計の針はもう1時をとうに過ぎています。
もう直ぐ、草木も眠る丑三つ時・・・。
辺りは物音一つせずシ~ンと静まりかえっています。
こんな時に限って思い出すのは昔聞いた怖い話・・・。
考えまいと思っても何となく自分の後ろが気になります。
そして、S君が恐れていた事態が・・・。
グッ、グ・グ・グ~・・・。
下の方から何やら嫌な音・・・。
それはS君のお腹が鳴る音でした。
続いて、下腹がシクシクと痛み出しました。
そうです、S君を襲ったのは○意・・・。
何故にこんな時間に○ンコがしたくなるのか・・・。
でも、あのトイレには行きたくない・・・。
朝まで我慢,我慢・・・。
人一倍大きな体のS君ですが、結構気は小さい・・・。
しかし、我慢しなくちゃと思えば思うほど、無常にも○意は強くなるばかり・・・。
ついに我慢しきれずに、意を決したS君は恐る恐るトイレへと向かったのでした。
薄暗くヒンヤリとした空気の倉庫を通り抜けて、ビクビクしながらもなんとかトイレへ。
トイレの個室に入って用を足していても、何となくブースの上から誰かに覗かれているような気配が・・・。
その時・・・。
コッ・コッ・コッ・・・。
誰も居ないはずの上の階から人の歩く靴音が・・・。
コッ・コッ・コッ・・・。
その靴音が階段を降りてきます・・・。
ギィ~・・・、バタン~・・・。
トイレの中に誰かが入ってきたようです。
コッ・コッ・コッ・・・。
靴音はさらに近付いてきます。
そして君が居るブースの扉の前で・・・
ピタッ!
と、止まる気配が・・・。
静寂が辺りを包みます。
中でじっと息を殺して震えるS君。
しばらくすると・・・
念仏を唱えるような声が・・・。
さらに・・・・
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
何故か鈴の音が・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
次第に大きくなる鈴の音・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
さらに大きく・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
チリ~ン・・・、チリ~ン・・・。
あまりのうるささにS君は目が覚めたのだとか・・・。