九州のおいしい地酒はどこかとか、燗酒でおいしい酒は何かとか、ネットでいろいろ調べているうちに、驚くべきことを発見!
徳利でお酒を注ぐ時に、注ぎ口から注ぐのではなく、注ぎ口を真上にした状態で注ぐのが正式なマナーだというのである。
これがまた冗談ではなく、確信に満ちて真面目にそう説明する記事が何件も出てくる。
わが人生、今まで数多くの宴会をこなしてきたこの僕が、今まで聞いたこともないマナーである!
しかも、つい最近までいた滋賀の宴会では、今でもお銚子でお酌、返盃、返盃の世界だった!
注ぎ口を真上にして注ぐ理由が諸説いろいろあるところからして、確定的なマナーと言えない、いい加減な臭いがする。
諸説を説明すると長くなるのでやめておくが、例えばその一つは、円の一部を注ぎ口に変形しているので、注ぎ口を使うと「円が切れる」=「縁が切れる」というもの。
「そんな注ぎ方をして俺と縁を切ろうというのか」と言われれば、あわてて注ぎ口を真上にして注ぎそうである。
徳利は江戸時代から酒器の主流になったようであるが、初めて酒用の徳利を作った人は、注ぎ口は注ぐために作ったとみるのが素直なところだと思う。
徳利はそもそも実利的な器であり、作った人が、注ぎ口としてではなく宝珠の形を意識しながら飾りとして設けたとはとても思えない。
円に注ぎ口があるのは徳利に限らない。
醤油差し、水差し、いろいろある。
理屈から言えば、徳利に限らず、円に注ぎ口が設けられているものは、すべて注ぎ口を真上にして使わなければ、縁を切ることになる。
そんな馬鹿な、である。
酒器でも、冷酒用の酒器がある。
陶器とかガラス製とかいろいろあるが、僕が持っているのはこれ。
中空部分に氷を入れて、冷たい状態を保持するようになっている。
これを、注ぎ口を上に注ごうとしたら、絶対氷がこぼれる!!!
ちなみに、今(1月3日)入っているのはお屠蘇。中空部に氷は入れてない。
戦国武将が毒殺を免れるためとか(そもそも戦国時代には徳利は使ってないはず)、いかにも俗説っぽいことがまことしやかに正式マナーの理由として言われていることや、また読んだ人が素直に「そうだったんですか」みたいなコメントをしているのを見ると、わが国は大丈夫かと思う。
マナーと信じる人はどうぞご勝手にの世界ではあるが。