年齢を重ねると、勿論、老化現象が気になるようにはなるのだが、暗黙知の理解力のようなものは向上するような気がする。「長年の感」という言葉あるが、例えば初めて出会う人とか場所について、五感を超えた情報を捕捉できる能力が研ぎすまされてきたように思う。最近、初対面の人がどのような性格でどの程度の知性の持ち主なのか、会って最初の数分でなんとなく了解されるような気がするようになった。もちろん、そのような感覚の働きは子供にだってある。問題はその確度なのである。人の善し悪し、信頼に足るか否か、そういった判断基準がここ数年の間に明らかに自分のなかで変化している。よく言われるように、人は関係性の中を生きている。その関係性や人格について思い巡らす機会を重ねると、自ずと経験則が蓄積されるものなのだろう。仕事や家庭など、生きる場での自分の立ち位置が変化すると、それまで見えなかったことが見えてきたりもするものなのである。今日、初対面の人と話をしていて、ふとそんなことを考えた。